2017年1月15日~28日の日程で、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ウルグアイの5ヵ国計10名(うち、女性4名)を招へいした。参加者の多くが労働組合の求心力の低下に懸念を抱いており、自国での労働組合イメージおよび組織率の向上を主眼に、日本の労働運動に関する知識の吸収に努めていた。
労働講義を通して、日本の企業別労働組合のあり方に興味を持ち、組織化や建設的な労使関係の構築に関する質問が相次いだ。併せて、自国の組織における活動内容の紹介や他組織との情報交換を積極的に行ない、自国の今後の活動に役立てたいとの前向きな姿勢が随所に見られた。労働行政では、雇用および働き方と労働行政の役割について講義を受け、高齢化社会の実情に応じた政策内容や、日本の年金制度の仕組みについての質問がなされた。
連合訪問では、日本の企業別労働組合のあり方に共感すると共に、労使協議制の仕組み、中小企業の組織化の課題解決事例などを概観した。また、現在の組合の求心力低下の原因やその解決策に関する意見交換もなされた。
地方プログラムでは、連合愛知を訪問し、日本の労使関係や春闘、ディーセントワーク等に対する具体的な取り組みなどについて意見交換を行なった。また、労働の現場を視察するため、工場訪問としてオークマ(株)を訪問し、「多品種・少量生産」を可能にした最新の工場等を視察した。労使との意見交換では、労使協議制や品質向上に向けた会議、雇用安定に向けた取り組み等について質疑が出された。
生産性本部の講義に対しては、“労働者は使用者から搾取されてしまうのが一般的”と捉えている者もいたことから、日本の生産性三原則の考え方に驚嘆の意を表していた。また、労働者への公正な分配が具体的にどのような形で行われているのかについても強い興味を寄せていた。全労済協会では、参加者の母国で何らかの労働者間の相互扶助システムがあるため、共済制度への関心は高いものがあった。