9月22日のAUTO ニュース、インド・ビジネス・トゥデイなどが、「インドからの生産撤退を発表したフォード・インディア社(10,000人)が労働組合との間に最終的な退職金協定で合意した」と報じた。
同社発表によると、退職金は平均で勤続1年につき140日分で、当初提案の130日分を10日分引き上げる。その上に追加一時金として15万ルピー(26万円)を支払うという。個々の金額は最低345万ルピー(604万円)から最高865万ルピー(1,514万円)、平均で62ヵ月分、最低47ヵ月分、最高105ヵ月分となり、9月末には支払いの予定という。
1995年創立で総額20億ドルを出資したと言われるフォード・インディア社は2021年9月に工場撤退を発表し、グジャラート州サナンド組立工場は2021年第4四半期、タミール・ナドゥ州チェンナイのエンジン工場は2022年第2四半期までとしていた。
サナンド工場はインドのタタ・モーターズに約900万ドルで売却されたが、希望する従業員の雇用も条件となっている。パワートレインのチェンナイ工場は当面の間、タタ・モーターズから設備をリース・バックして生産を継続するが、従業員の雇用は、タタ・モーターズに引き継がれる。
フォードは1953年にも撤退を余儀なくされたが、当時は厳しい輸入制限による高額な生産コストが理由であった。現工場は1995年に創立されたものだが、今回もまた世界第4位の自動車市場から撤退する。
売却に応じたタタ・モーターズは、2008年のフォード倒産時にもフォード傘下のジャガーとランド・ローバーを現金で買い取り、救済に協力したが、今回も工場買収に協力する。
フォードの失敗は輸出を重視する余り、排気量と車両サイズを基準とするインド国内の自動車税制を軽視して、1.2L以上、主要車種には1.5Lを採用したことであり、安全装置や新装置でもタタやスズキ(シェア45%)、ヒュンダイ(17%)、起亜などに対抗できなかった。
因みにインドで成功のスズキ車は大半のサイズを税金の安い4m以下に抑え、エンジンも0.8L、修理代も考慮してバンパーをプラスティックでなく金属製に変えている。なお、GMはインドでの販売を2017年に中止している。