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No.491(2018/2/6)
アメリカ、南米の労働事情

【チリの銅山各所でストライキ】

 世界最大の銅の生産国チリにおいて、の労働組合が会社側提案を拒否して政府調停に入ったが、バルディビア委員長は「合意形成できない場合は、1月10日を期してストライキに入る」と言明した。
 同様に先月、ケブラダ・ブランカ銅山でも105名の労働者が1週間のストライキを行っている。昨年11月には世界最大の銅山、BHPビリトン社エスコンディダ銅山でも24時間ストが起きており、今年は30余りの銅山で労働争議が起きると予測されている。

 背景には2017年4月に発効した新労働法の実施と相まって、銅の価格高騰があるが、特に新労働法はILO条約87号(結社の自由と団体権保護)および98号(団体権と団体交渉権)との整合性を目指して、経済面だけでなく男女平等や一時契約労働者の交渉権など団体交渉の範囲を拡大している。

【トヨタ・マツダのアラバマ州投資で4,000人の雇用産まれる】
 トヨタおよびマツダは合弁事業としてアラバマ州に$16億の投資を決め、年産300,000台の生産を目指すと発表した。これにより4,000人の雇用が生まれることになるが、トヨタはカローラ、マツダは新型SUVの生産を2021年から開始する。
 巨額投資の誘致を巡って南部各州は優遇税制や低賃金、UAW(全米自動車労組)の力が及ばない企業優遇策を訴えて競合したが、アラバマ州は$7億に及ぶ優遇税制や投資減税、労働者の訓練センター建設などを提案して誘致に成功した。カンフィールド商業長官は「同工場の20年間の支払給与だけでも$52億に上る。関連効果はもっと大きい」として高く評価し、トランプ大統領も「グッド・ニュース」とツィッターした。

 アラバマ州は昨年実績、テネシー州と並ぶ全米第5位の自動車生産の州として総数の9%を生産し、1993年の$2億5,000万によるメルセデス誘致以降、ホンダや現代自動車さらにはトヨタ・エンジン工場を招致して自動車の基幹州としての地位を築いてきた。
 米国の小型自動車販売は昨年、消費者がSUVと小型トラックに傾斜する中で10%の落ち込みを見せ、カローラの販売も14%落ち込んだ。それでも両社は相互の独立性と平等な関係を維持しながら、省エネを目指して合弁による効率化とスケール・メリットが実現できるとしている。

【ウォルマートが企業減税による賃上げ、同時に63店舗の削減】
 米国小売り最大手のウォルマートは全米の150万人従業員を対象に初任給の引き上げとボーナス支給を発表した。同時に660倉庫店舗のうちの10%に当たる63倉庫を閉鎖し、12個所は配送センターに変わる。

 発表は人員整理には触れずに人事異動としているが、ここでの組織化に取り組んでいる全米食品商業労組(UFCW)の関連組織、"ウォルマートの変革"は「10,000人が削減される怖れがある。賃上げを言い訳にしている」と批判する。 
 同社は従業員の質問に答えてツイッターで「組織全体を徹底検証して、新たな戦略に体制を合致させてゆく。法人税引き下げで賃上げが可能になった」と答え、トランプ大統領は歓迎の意をツイッターに載せた。

 米国では4.1%という歴史的に低い失業率の中で人手不足が深刻化しており、法人税の35%から21%への引下げもあって賃上げ圧力が強まっている。小売業界では求人数が2001年以来の711,000名に上る中で、メイシーなどの百貨店も人手不足に悩んでいる。
 ウォルマートも初任給を$9.00から$10.00に引き上げたが、同業のターゲットは昨年10月に$11に引き上げ、2020年末には$15にする計画である。
 ウォルマートは強力な競争相手、アマゾンへの対抗からもオンライン・ショッピング(OS)体制の強化が急務であり、OS従業員の賃金は一般店舗従業員より高いが、それでもアマゾンの初任給$14.50には後れを取っている。

 ウォルマートは賃上げのない時給従業員やレイオフされる従業員にも$200-$1,000のボーナスを支給する。また時給の正規従業員には従来の50%補助に代えて、全額有給の10週間の出産休暇と6週間の育児休暇を実施し、給与の正規社員には従来の10週の有給出産休暇に加えて有給育児休暇を加える。さらには時給・給与共に正規従業員には養子縁組1人について$5,000の手当てを支給する。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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