9月28日~10月2日、第13回欧州労働組合連盟(ETUC)大会が、欧州の39カ国90組合と、10の国際産業別組織(GUF)欧州地域組織から500人の代議員が出席して、パリで開催された。
開会式にはフランスのフランソワ・オランド大統領、パリ市長アンヌ・イダルゴ女史、ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長、マルティン・シュルツ欧州議会議長が来賓として出席、スピーチを行った。大会では、パリ宣言と行動計画さらに6本の緊急決議を採択されたが、その一つ「難民危機」についても論議され、緊急決議「欧州における難民危機」が採択された。
「欧州における難民危機」概要
「欧州では自国の戦乱から安住の地を求めて国境を越え、欧州に流入する人々の数が大規模に増大している。亡命希望者の多くは、平和で人間的な環境を探すために子どもや家族の命さえかけて移動している。ETUCは、人命と人間としての尊厳を守らなければならないと考える。ポピュリストや、外国人を嫌悪するような姿勢には反対する。地中海を横断するなかで、命を失っている亡命希望者もいる。人道的な立場から、捜索救助活動を続けるよう欧州委員会に要請する。難民が最初に到着している国々は、緊縮経済政策を余儀なくされている国々であり、二重の難題に直面している。人間の命と、その尊厳は尊重されなければならないという、欧州の核心的な価値観は実行に移されなければならない。EUメンバー国は、それぞれが相応の難民受け入れに、真摯に協力しなければならない。欧州関係機関の指導のもとに、建設的な連帯精神をもって対処しなければならない。しかるに、亡命希望者の受け入れについて、共通の対策から逸脱した政府がある。ETUCはこれを厳しく非難する。
亡命希望者の出身国の開発など、さらに効果的な協力を要請する。民主的経済的開発の推進が、大規模な人々の移動原因を除去することとなる。EUは、この推進に果たすべき役割がある。すべての人が安全と経済的保障、宗教的政治的自由、良質な医療サービスへのアクセス、良質な教育を受ける権利がある。
いかなる形態であろうとも、不寛容に対しては、欧州の6千万の労働組合員、労働運動はその防波堤となる。
人道的危機に対しては、人道的な対応を引き続き求めていく。欧州労連は、この欧州の危機の取り組みに当たって、国際労働組合総連合(ITUC)とも協力をすすめていく。この難民危機は、欧州だけでなくグローバルな問題でもある。」
今大会で、フランス出身で2011年からETUC書記長として活躍していた、ベルナネット・セゴール女史が退任し、イタリア労働同盟(UIL)出身で2011年からETUC本部専従だったルカ・ヴィセンティーニ氏が新書記長に選出された。