国際労働機関(ILO)は世界の強制労働で働く者が2100万人に上り、そこで年間1500億ドル(約15兆2715億円)の利益をあげているとする報告を発表した。
そのうち、3分の2の990億ドル(約10兆792億円)は女性による売春やポルノという性的搾取および家事雑用からのものであり、男性や少年からの搾取は農業、鉱業、建築の分野に多い。
ガイ・ライダーILO事務局長は「かかる巨大な利益を搾取する根深い邪悪と奴隷労働の廃絶に向けて、政労使による一層の努力が早急に必要だ。貧困対策としての福祉の充実、非識字者の撲滅と教育の充実による人々の自覚、労働者の権利意識を育てなければならない」と強調した。
こうした不当な利益を地域別にみると、3分の1の469億ドル(約4兆7749億円)がEUなどの先進諸国、518億ドル(約5兆2738億円)がアジア・パシフィック地域であげられ、一人当たりでは先進諸国の3万4800ドル(約354万2988円)に対して、最低のアフリカでは3900ドル(約39万7059円)であり、業態別には世界平均1人当たり、性的産業で2万1800ドル(約221万9458円)、農業2500ドル(約25万4525円)、家内労働2200ドル(約22万3982円)となっている。
ILOは2005年にも同様の報告書を発表したが、当時の強制労働による利益額は440億ドル(約4兆4796億円)であった。また当時は調査対象を性的産業と農業としていたものを、今回は鉱業、建築、メイド、家事手伝い、そして使用者による脅迫と低賃金が言われる分野に広げて調査した。
*1ドル=101.81円(2014年6月16日現在)