ネパールの基本情報

面積 14.7万平方キロ(日本の0.39倍)(The World Fact Book(WFB))
人口 2,930.5万人(2017年、国連推計)
首都 カトマンズ(118.2万人、2015年推定)(世界年鑑)
主要都市 ポカラ(32.9万人、2015年推定)、パタン(22.6万人、2011年推定)(世界年鑑)
主要言語 ネパール語、ほか
民族 パルバテ・ヒンドゥー、マガール、タルー、タマン、ネワール等(世界年鑑)
宗教 ヒンドゥー教81.3%、仏教9%、イスラム教4.4%ほか (2011年、WFB)
GDP 282.8億米ドル(2017年、IMF推計) ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 848.1米ドル(2017年、IMF推計)
労働力人口 1,681万人(2017年、WFB)  ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) 農林業31.3%、貿易14.8%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 批准総数:11、中核8条約:批准7、未批准1(87号)(2018年6月、ILO)
通貨 1ネパール・ルピー(NPR)=1.04円、1米ドル=104.6NPR(2018年前半、IMF)
政治体制 連邦共和制
国家元首 ビディヤ・デビ・バンダリ大統領(2015年10月就任・任期5年)
議会 2院制:上院59議席、下院275議席。
行政府 首相のもとに26省。 シェール・ルバ首相(2017年6月就任)
主な産業 農林業、貿易・卸売業、交通・通信業
対日貿易 対日輸出12.2億円 対日輸入37億円(2017年財務省統計)
日本の投資 5億円(2017年、 財務省統計)
日系企業数 53社(2017年、外務省統計)
在留邦人数 1,147人(2017年、外務省統計)
気候 高山性から温帯性まで、5~9月雨季、11~1月乾季
日本との時差 -3.25時間
社会労働情勢概要 ・2015年の新憲法制定により共和国の体制が整えられ、2018年には連立政権を組む二つの共産党が統合した。
・経済は農業への依存度が高く、GDPの三割、就労人口の三分の二(2015年)。産業では工業化の進展が遅れている。海外からの直接投資はインドと中国が中心。
・アジアの最貧国の一つで一人当たりGDPが800米ドル台。労働力の大半がインフォーマルセクターで働く。海外への出稼ぎ者からの送金がGDPの3割に達する。
・2018年度の最低賃金が2年半ぶりに約38%と大幅に引き上げられたが、使用者の一部は不満を表明している。
・労働組合はITUC加盟の3つのナショナルセンターがあり、最近では加盟組織協議会を結成するなど共同行動を行っている。
主な中央労働団体 ネパール労働組合会議(NTUC)
ネパール労働組合総連盟(GEFONT)
全ネパール労働組合連盟(ANTUF)
労働行政 労働運輸管理省(Ministry of Labour and Transport Management)
中央使用者団体 ネパール商工会議所連合会(FNCCI)(Federation of Nepalese Cahmber of Commarce and Industry)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 4.84.16.03.30.47.5
一人当りGDP(ドル) 682689706747729834
物価上昇率 (%) 8.39.99.07.29.94.5
失業率 (%) 2.52.93.03.13.12.7

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1945年 ラナ将軍家による専制統治続く(1846年~)
1947年 ネパール国民会議派結成。1949年インドでネパール共産党結成。
1950年 国民会議派と民主派合併、ネパール会議派(NCP)結成。
1951年 トリプバン国王復帰、立憲君主制。1955年マヘンドラ国王即位。
1959年 新憲法公布・選挙実施。コイララ首相(NCP)。
1960年 マヘンドラ国王、憲法停止し国王親政。議会解散。政党、労働組合の活動禁止。
1990年 ビレンドラ国王、主権在民の新憲法制定。1991年、コイララ政権(NCP)。
1994年 総選挙で統一共産党(UML)政権。1995年に崩壊し連立政権。
1996年 UMLから分かれた毛沢東主義派、武装闘争を開始。1998年、コイララ首相に復帰。
2001年 王宮で国王など王族殺害事件、その後王室混乱。2005年、国王が親政を表明。
2006年 民主化運動高まる。政府と毛沢東主義派、包括和平成立。2007年、暫定憲法成立。
2008年 制憲議会発足。王政の廃止、連邦民主共和国への移行決定。その後、国政混乱。
2014年 制憲議会発足、コングレス党コイララ氏、首相就任
2015年 首都カトマンズで大地震、約8900人死亡。1か月後に東部でも大地震。
2015年 新憲法公布 オリ首相(UML議長)、バンダリ大統領(UML副議長)。
2016年 オリ首相辞任、ダハル(ネパール共産党マイオストセンター(MC)党首)首相
2018年 UML、MC連立政権、オリ首相。UMLとMC統合、「ネパール共産党」設立。

2.国家機構

元首

  • 大統領。任期5年。象徴的存在。
  • 現職 ビドヤ・デビ・バンダリ大統領。2015年10月就任。初の女性大統領

議会

  • 二院制 上院59議席、下院275議席。
    (議席)(2018年総選挙)
    上院:ネパール共産党42、
    下院:ネパール共産党174、ネパール会議派63、ラストリア・ジャナタ党17、連邦社会主義フォーラム16、無所属5

行政

  • 首相 プラチャンダ氏
  • 政府は、首相府、26省庁ほかで構成。

司法

  • カトマンズに最高裁判所。控訴裁判所、地方裁判所の三審制。

3.政治体制

政体

  • 連邦共和制

主な政党

ネパール会議派
(NCP)
1947年創設。 社会民主主義、平等と正義、公平な配分による経済発展を標榜。親インド路線。これまで6人の首相を輩出、ネパールの政治を担ってきた主要政党。2002年に「ネパール会議派民主」が分裂したが、2007年に再統合。
ネパール共産党 2018年に統一共産党(UML)と共産党毛沢東派(MC)が統合して設立。統一共産党(UML:ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派)は1991年に設立。MCは1994年にUMLから分かれて結成。なお1949年に旧ネパール共産党がインドで結成。
国民民主党
(RPP)
1990年設立の右派政党で議会では王党派であった。2013年の総選挙では24議席。これまでに二人の首相を出す。王政廃止には賛成。2006年に王政廃止と共産党との連立に反対するグループが離脱、「国民民主党ネパール」を結成。

4.人口動態

  • 人口は1940年代までは約500~600万人程度であったが、1970年代から増加。1991年には1,800万人を上回り、2017年には2,931万人である。
  • 人口増加率は2010~2015年は1.7%で、2030年には人口約3,300万人に達すると予測されている(国連)。また合計特殊出生率は2010~2015年は2.7と推測される。
  • 2015年の年齢中央値は24.1歳で、人口に占める若年層の割合が多く、24歳以下が52%である。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 代表的な産業は、農林業、観光、貿易・卸売業、カーペット産業など。GDPの産業分野別比率はサービス産業52%、農業等27%、製造業等145%(2017年、WFB)

労働力人口

  • 労働力人口は1,681万人(2017年)。産業別には農業等69%、製造業等12%、サービス産業19%(2015年、WFB)
  • 2015年には52万人が外国で就労している。地方から首都カトマンズへ、カトマンズから外国へと労働者が移動しており、高学歴労働者の頭脳流出問題も顕在化している。
    インフォーマルセクターでは、多くの児童労働が見られる。今後、国内で雇用創出の可能性があるのは、農業、観光、工業、インフラ事業などである。

6.経済状況

経済情勢

  • ネパールは、一人当たりGDPが800米ドル台でありアジアの最貧国から抜け出せていない。
  • GDPの産業別割合は農林業31.2%、卸売業14.2%、不動産業9.2%、運送業8.4%(2015年、WFB)。
  • 経済は農業への依存度が高く、就労人口では66.1%が農林水産業である。農業の生産性が低く工業化の進展が遅れている。
  • 海外の先進工業国からの直接投資が少ない。投資額の国別割合はインドが40.8%、中国が14.5%であるが、英国は2.6%、日本は1.2%である。産業インフラの脆弱性や政治の不安定性などが影響している。
  • 経済は海外の労働者等からの送金の役割がきわめて大きい。海外への出稼ぎ者数は約42万人。送金額は6651億ルピー(約6920億円)でGDP比では29.6%に達する(2015年)。

7.労働組合の組織

ナショナルセンター

  • ネパールのナショナルセンターは、ネパール労働組合会議(NTUC)、ネパール労働組合総連合(GEFONT)、 ネパール総労働組合連盟(ANTUF)の3組織がITUC(国際労働組合総連合)に加盟し同総連合ネパール協議会(ITUC-NAC)を形成している。
  • また、その他の政府に登録されている8つの組合を含めて労働組合協同調整センター(JTUCC, Joint Trade Union Coordination Centre)が作られている。
  • ITUCに加盟する3つの主要なナショナルセンターの概要はつぎの通りである。-ネパール労働組合会議(NTUC:Nepal Trade Union Congress)、約32万人(25産別、7地
    域委員会)。1947年に前身組織結成。1991年に再結成、組織者はネパール会議派(NCP)の
    代表で首相を経験したG.P.コイララ。政治的にはNCPに近い。
    -ネパール労働組合総連合(GEFONT:General Federation of Nepales Trade Union)。1989
    年結成。約35万人(29加盟組織、5地方組織)。政治的には旧UMLに近い。
    -ネパール総労働組合連盟(ANTUF:All Nepal Federation of Trade Union)
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 日本JILAF、米国ACILS、スウェーデンLO-TCO、ベルギーWSM、などがプロジェクトを展開している。

現地事務所設置

  • オランダのFNV、フィンランドのSAKが、ネパール事務所を設置している。

JILAF現地事務所

  • JILAFはカトマンズに現地連絡事務所を設置し、インフォーマルセクターの労働者や、その家族の支援活動などを推進している。

9.労使紛争の状況

  • 賃金・労働条件に関する個別的労使紛争は、公式統計が発表されていない。
  • 労働法上、労働裁判所の活用、団体交渉、ストライキについて、公序良俗に反するもの、根拠なく他者を誹謗する内容は「労働争議」として認められない。
  • ストライキは、団体交渉が不調に終わった場合に実施可能となっている。ただし、従業員の60%以上の同意および経営側に対する文書の通知が必要である。
  • ストライキに対し経営側はロックアウトの実施が可能である。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • ネパールの新年度(2018/2019)の最低賃金は従来の月額9700ルピー(約10,100円)から約38%引上げられ、月額13,450ルピー(約14,000円)となることが決定された。引上げ額3750ルピーの内訳は、基本給部分が2,250ルピー、手当部分が1,500ルピーである。従来の最低賃金は2016年2月に引上げられたもので、2年5か月ぶりの改訂である。
  • ネパールの最低賃金は2007年の労働法制で定められた。その当時の月額は3,300ルピーであったが、今回は6回目の改訂である。2017年の労働法改正では最低賃金は二年ごとに見直すこととされている。
  • なお、最低賃金は国レベルでの三者構成委員会で協議されるが、適用対象はフォーマル部門に所属する労働者についてである。農業分野と建設分野を含むインフォーマルセクターの労働者の賃金は、地方政府(郡行政局)が決めている。また、茶農園で働く労働者の最低賃金は、他の分野よりも低く設定されている。

労働・社会保障法制

  • 主な法律はつぎの通りである。 
    「労働組合法」、「労働委員会法」、「労働法」、「労働基準法」、「外国人雇用法」、「失業保険法」

11.日本のODA方針(外務省・「国別開発協力方針」(2016年9月)より)

  • 基本方針:後発開発途上国(LDC)からの脱却を目指した持続的かつ均衡のとれた経済成長への支援を行い、「2022年までの最貧国脱出」を掲げるネパール政府の取組みを後押しする。
  • 重点分野:①震災復興および災害に強い国づくり支援、②民間セクター開発、運輸交通、電力、都市環境など経済成長や国民生活の改善に直結する社会・経済基盤整備、③農業の生産性と所得の向上、保健医療や教育の水準向上等を通じ貧困削減とともに生活の質向上を支援、④カバナンス強化および民主主義の基盤制度づくりを支援。

12.JILAFの事業

  • 招へい事業:1989年から招へい事業を開始。今日までに、南アジアチーム、ネパール・パキスタンチームなどの参加 者として、65人(男性50人、女性15人)の若手労働組合指導者を招へいした(2017年度末現在)。
  • 現地支援事業
    ①教育セミナー:1994年から現地での教育セミナー実施。テーマは、「労災保険」(1994、1995年)、「団体交渉」(1996年)、「社会保障」(1997年)、「参加型職場環境改善」(2000~2010年)、「グローバル化と労働運動」(2013年)、「労使関係・労働政策」(2013~2017年)を実施。このうち、2013年度は新たに結成されたITUC-NAC(NTUC、GEFONT、ANTUF)を対象に実施した。
    ②学校プロジェクト:
    NTUCと協働で児童労働撲滅のための学校プロジェクトを継続(現在9校)
    ③インフォーマルセクター草の根支援事業(SGRA):
    2011年より、NTUCと共同で、インフォーマルセクターの労働者や、その家族を支援するセミナーや職業訓練などの事業を継続している。