カンボジアの基本情報

面積 18.1万㎢(日本の0.48倍)(2017年、The World Fact Book (WFB) )
人口 1601万人(2017年、国連推計)
首都 プノンペン(人口195.2万人、2018年、WFB)
主要都市 タクマウ20.6万人、バタンバン19.7万人 (2012年推計)
主要言語 カンボジア語(クメール語)
民族 クメール人90%程度。少数民族
宗教 仏教(国教)97.9%、イスラム教1.1%、キリスト教0.5%(2013年、世界年鑑)
GDP 223億米ドル(2017年、ジェトロ) ※分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 1,390米ドル(2017年、ジェトロ)
労働力人口 891万人(2017年WFB) ※分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) サービス業39.6%、鉱工業32.1%、農林水産業21.2%(2015年、公財)国際金融情報センター)
IL0中核8条約要 批准総数13  中核8条約:8(すべて批准) (2018年6月・ILO)
通貨 1リエル(KHR)=0.0269円 1米ドル=4,037リエル(2018年前半,IMF)
政治体制 立憲君主制
国家元首 ノドロム・シハモニ国王(2004年10月即位)
議会 二院制(上院、国民議会)
行政府 首相、大臣会議のもとに28省1庁 フン・セン首相(1998年1月~)
主な産業 農業、縫製業、建設業、観光業
対日貿易 輸出1416億円 輸入402億円(2017年財務省統計)
日本の投資 222億ドル(2017年、財務省統計)
日系企業数 184社(2018年6月現地商工会会員数)
在留邦人数 3,049人(2017年、外務省統計)
気候 亜熱帯 雨期5~11月(プノンペン)
日本との時差 -2時間
社会労働情勢概要 ・2017年に最大野党の救国党が解党され、強権的な政治へ内外の批判が強まる。2018年の総選挙では与党の人民党が圧勝し、下院の議席を独占した。
・経済は堅調な縫製品等の輸出、観光客及び海外投資の順調な増加により、当面は安定した成長が見込まれている。
・労働力人口約890万人のうち、労働契約を締結している労働者は約200万人であり、500万人以上がインフォーマル経済分野で働いている。
・2013年をピークに、繊維産業、皮革産業などで賃金引上げを求めるストライキが増加していたが、最近は沈静化の傾向にある。
・最低賃金は大きく引き上げられ、2018年現在、170米ドルとベトナムと肩を並べるようになった。2016年に「労働組合法」が施行された。
・中央労働団体は、与野党、中立系の3組織を中心に約10団体。
主な中央労働団体 カンボジア労働組合連盟(CCTU)
カンボジア労働組合連合(CCU)
カンボジア労働総連合(CLC)
労働行政 労働・職業訓練省(MLVT: Ministry of Labour and Vocational Training)
中央使用者団体 カンボジア使用者協会(CAMFEBA: Cambodia Federation of Employers and Business Associations)
最終更新日 -0001年 11月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 7.37.47.07.27.07.0
一人当りGDP(ドル) 9711,0181,0811,1681,2781,390
物価上昇率 (%) 2.93.03.51.23.02.9
失業率 (%)

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1953年 フランスから独立。1953-70年はシアヌークによる「王政社会主義」の時代。
1960年代後半 計画経済行詰り、ベトナム戦争が激化
1970-1975年 親米派ロン・ノル将軍によるクーデター、「カンボジア共和国」となる。
1975-1979年 クメール・ルージュ(ポル・ポト派)による恐怖政治。100〜200万人死亡
1979年 ベトナム軍が侵攻、人民党による人民共和国。クメール・ルージュ、王党派等と内戦。
1991年 パリ和平協定。1993年まで国連が暫定統治、「最高国民評議会」が新政府準備。
1993年 第1回総選挙(国民議会選挙)、王党派と人民党の連立政権。新憲法公布。シアヌークを元首とする新生「カンボジア王国」発足
1998年 第2回総選挙、人民党主導の連立政権発足
1999年 ASEAN加盟。外資導入などが活発化
2004-2007年 平均10%以上の経済成長実現
2012年 民主党・人権党合併、「カンボジア救国党」結成
2013年 第5回総選挙。与党・人民党67議席、野党・救国党56議席
2017年 地方選挙で救国党躍進。その後、救国党は国家転覆の疑いで党首逮捕、解党。
2018年 第6回総選挙。与党・人民党が125の全議席を独占。

2.国家統治機構

元首

  • 国家元首:ノロドム・シハモニ国王(2004年10月29日即位)。政治的実権は首相。

議会

  • 2院制議会(1993年に上院設置)
  • 元老院(上院):定数62/任期6年/解散なし
    議席数(2018年2月25日選挙結果)
    (与党)カンボジア人民党 58/ 62 (94%) (前回46/61)
    フンシンペック党(王党派)2/62
  • 国民議会(下院)定数123/任期5年/1年間に2度内閣総辞職の場合、解散可能。
    議席数(2018年7月29日選挙結果)
    (与党)カンボジア人民党:125/125(100%)(前回67/123)
    (野党)カンボジア救国党:0/125(0%)(前回56/123)

行政

  • 議院内閣制。
    首相の下に、閣僚評議会と27省1庁がある。
    首相:フン・セン(人民党:社会主義時代から通算27年間首相職にある。)
    労働行政は労働職業訓練省が担当。

司法

  • 三審制。一般裁判所として州々特別市裁判所、控訴裁判所、最高裁判所があり、その他に軍事裁判所がある。労働法典は労働裁判所を規定しているが未設立。

3.政治体制

政体

立憲君主制。普通選挙にもとづく民主主義だが近年は専制色。

主な政党

カンボジア人民党 インドシナ共産党から分離したクメール人民革命党がルーツ。1979年に「カンボジア人民革命党」(共産党)として再建。1991年に現党名に改称、マルクスレーニン主義、一党独裁を放棄。フン・セン首相が議長、名誉議長はヘン・サムリン。
カンボジア救国党
2012年、サム・レンシー党(民主党)と現党首のケム・ソカ率いる人権党が合流して発足。サム・レンシー党は1995年結成の国民党がルーツで民主化の推進勢力。選挙では増勢であったが2017年に解党命令、欧米などから批判も。
フンシンペック党

前シアヌーク王系の王党派の政党。1993年総選挙では第一党であったが2013年総選挙で議席を失う。

4.人口動態

  • 総人口:1,601万人(2017)、平均年齢:25.6歳、平均寿命:69.0歳(2016年)
  • 人口分布:年少人口31.6%、生産年齢人口64.5%、高齢者人口4.0%(2016年)

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 1990年代までは農業が最大分野。2017年のGDPの分野別構成比はサービス産業等42%、製造業等33%、農業等25%(2017年WFB)。主産業である縫製業や農業、観光業、サービス業、建設・不動産業では今後の成長が見込まれている。

労働力人口

  • 2017年の労働力人口は891万人。分野別比率は農業等48.7%、サービス産業等31.5%、製造業等19.9%(2013年WFB)。なお、1993年には農業等が79.2%を占めていた。就労者のうち労働契約を締結している労働者は約200万人に過ぎず、残りの500万人以上はインフォーマル経済分野で働いている。

6.経済状況

経済情勢

  • カンボジア経済は世界同時不況の影響を受け、2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの、2011年以降、7%台の高成長を維持しており、2017 年の成長率は7.0%である。

所得の動向等

  • 一人当りのGDPも年々増加。2013年には1000ドルを上回り、2016年は1,278米ドル、2017年は1,390米ドルに上昇。特にプノンペン市では5,000ドルクラスの世帯も台頭。
  • 中間所得層の増加に伴い、個人消費が活性化。ファストフード店、ブランド店も市内に進出。

7.労働組合の組織

  • 約10の全国中央組織、70強の産別労組、2600強の単位労組。
  • 全国レベル:CCU、CCTU、CLCがITUCに加盟しており、ITUC-CC(ITUCカンボジア加盟組織協議会)を組織。
  • CCTUは、ITUC未加盟のNACC(カンボジア全国労組同盟会議)と連携、CNU(カンボジア全国労働組合)を形成。与党との協力関係あり。
  • CLC、CCUは野党との協力関係やNGOの支援あり。
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。

産業別の状況

  • 繊維産業:工場の組織率は60%程度(約30万人程度)
    このほか、ゴム、タバコ、食品、教員・公務、建設、観光などの分野の一部の事業所が組織されている。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 支援組織:JILAF(日本)、FES(ドイツ)、ACILS(米国)
  • 国際産別労組(GUFs):EI、IUF、BWI、UNI、ITF、IndustriALL(旧TWARO-ITGLWF)

現地事務所設置

  • ACILS(米)

9.労使紛争の状況

  • 2010年代に、繊維産業、皮革産業などで賃金引上げを求めるストライキが増加したが、争議件数は2013年をピークに減少傾向にある。
  • これまでの主な労使紛争としてはつぎのようなものがある。①2012年、スバイリエン州(東部ベトナム国境近く)の衣料メーカーの工場で賃金改善を要求する2万人規模のストライキが発生。外部からの発砲があり労働者3人が負傷。②2013年、コンポンスプー省(東部)の皮革メーカー工場で大型のストライキ発生、国道が通行不能に。③2013年末には東部のバベット工業団地で、台湾系、中国系の製造工場でストライキがあり、同団地の日系企業にも飛び火した。

カンボジアの労働争議件数の推移

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
労働争議
件数(件)
80 105 58 45 34 121 147 108 118

カンボジア縫製製造業協会(GMAC)統計

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • カンボジアの最低賃金問題は社会的な課題として注目されている。2014年には、プノンペンにおいて、賃金の引き上げを求めストライキ中の労働者に治安部隊が発砲し、3人の死亡者を含む約40人が負傷するなどの事態となった。政府はそういった事態を受け、最低賃金を月間100米ドルに引き上げるとともに、この間、毎年連続して引き上げを行い、2018年には170ドルとなっている。
  • また、政府は、2015年に最低賃金制度について、労働紛争を防止すべく、1)対象について、繊維・製靴部門から他の製造業やサービス業へ、さらにすべての産業における一般的な最低賃金制度とするとともに、2)最低賃金の引き上げについてのプロセスについて法律で明確化する方向を打ち出し、制度化をめざしている。
カンボジア最低賃金の推移
1997 2010 2014 2015 2016 2017 2018
最低賃金額(米ドル) 40 61 100 128 140 153 170

労働・社会保障法制

  • 主な労働法はつぎの通りである。
    「労働組合法」(2016年)(※)、「労働法典」(1997年)。なお、労働組合法は新たに制定され、労働組合の登録制度、最大労働組合の要件と団体交渉権等を規定
    (※)印の法律については国際労働財団のアジア労働法データベースに日本語訳が掲載されている。

11.日本のODA方針 (外務省・「国別開発協力方針」(2017年7月)より)

  • 基本方針:これまでの支援活動の成果を踏まえ、カンボジアが目指す2030年までの高中所得国入りの 実現に向け、より高いレベルでのインフラ整備、次世代の人材育成、都市部と地方部の格差やプノンペンにおける都市問題の深刻化などの解決を図る。
  • 重点分野:①地域の連結性強化と農業等を含む産業振興、②上下水道、排水、電力など都市環境整備や保健医療分野での支援、③法整備支援などのガバナンスの強化への支援を行う。

12.JILAFの事業

  • 招へい事業:2001年度から累計で41人(男性26人、女性15人)を招へい(2017年度末現在)。
  • 現地支援事業:2010年度から労使関係セミナーなどを開催。テーマは「労使関係・労働法」(2010~2012年)、「グローバル化と労働運動」(2013年)、「労使関係・労働政策」(2013~2017年)。