JILAFタイ事務所だより(9月)

I.タイ情勢(9月)

タイ最低賃金引き上げについて

民間シンクタンクのタイ開発研究所(TDRI)は7日、国内各地で生活費が上昇しているとして、政府に最低賃金の引き上げを提言した。ヨンユット調査主任は、過去3年間にタイ全体の消費者物価指数(CPI)は6%上昇し、バンコク北郊ノンタブリ県では、9%上昇したと指摘。「政府は過去3年のCPI上昇率を基に最低賃金を引き上げるべき」と提言した。また「(物価上昇が続く中)経済回復を待っていたら、更に貧困も拡大してしまう」と述べ、早期引き上げをあらためて求めた。

最低賃金は、2013年から現在まで全国一律で1日あたり300バーツ(約900円)。複数のタイ労働組合、労働者代表らは、300バーツの最低賃金を360バーツへ引き上げることを政府に要求中。

これに対し、タイ貿易・産業雇用者連盟(ECONTHAI)のタニット副会長は、「中小企業の負担が増大し、経済の回復がさらに遅れる、地方の中小工場に賃上げを負担する余裕はない。賃上げは地域ごとの実情やインフレを考慮して実施されるべき」とし、全国一律の最低賃金300バーツから360バーツへの引き上げに反対した。また「技能労働者の賃金は既に1日360バーツを超えている。最低賃金が引き上げられれば、技能労働者を含む全体の賃金も引き上げざるを得ない」とコメントし、産業界全体に与える影響について警鐘を鳴らした。

9月14日、プントリック労働省事務次官は、最低賃金引き上げに関する決定を下す前段に、中央賃金委員会に新たな最低賃金算出方法を検討するための小委員会を設置すると発表。小委員会では、新たな最低賃金算出方法を作成、10月末までに中央賃金委員会に提出予定。なお、中央賃金委会のアッタユット使用者側委員およびソムバット労働側代表は、新たな算出方法は、来年初めからの採用を予定している旨明らかにした。

(NNA ASIA9月9日・20日、DIGIMANEWS9月23日より抜粋他)

II.東南アジア、南アジア情勢(9月)

1.大規模ゼネスト(インド 9月3日)

インド各地で9月2日、政府が進めている労働法改正に反対する大規模なストライキが発生。主導した複数の労働組合は、人口の1割超に当たる過去最大の1億5千万人が参加したと発表。公共交通機関や金融機関が営業停止に追い込まれた。

このストライキには、インド全国労働組合会議(INTUC)をはじめとする全国規模のナショナルセンターのほか、銀行、電力などの独立系全国労組や農民組合や農業労働者組合も参加した。なお、与党の支持母体であるインド労働連盟(BMS)は同ストに不参加。

モディ首相が掲げる労働改革全般には、採用や解雇の柔軟性向上などが盛り込まれていることから、労働者の多くが反発を強めている。

(日本経済新聞 9月3日より抜粋他)

2.最低賃金引き上げ決定(カンボジア 9月29日)

カンボジア労働職業訓練省は、9月29日、最低賃金に関する省令を公布し、2017年の縫製業、被服業および製靴業に従事する労働者の月額最低賃金を「月額153ドル」と裁定した。

9月28日に終了した労働諮問委員会では、労働組合側は月額171ドル、使用者側は147ドルを主張していた。最終的には、政府側の148ドル提案に、フン・セン首相が5ドル上乗せし、153ドルで決着した(2016年の最低賃金は、140ドル/月であったことから、2017年は9.2%増)。

(プノンペンポスト 9月29日より抜粋他)