JILAFタイ事務所だより(8月)

I.タイ情勢(8月)

タイ国民、政情安定を優先、国民投票で憲法草案承認へ

 8月7日に行われた憲法草案の賛否を問う国民投票の公式集計結果が10日にタイの選挙管理委員会から発表された。賛成1,682万票、61.35%、反対1,059万票38.6%、投票率は59.4%で、草案は可決された。

 積極的に賛成に回ったとみられる有権者は、軍政を支持してきた軍人や官僚、都市富裕層ら既得権益層と見られるが、それ以外の層でも政治対立の再発を望まない人々が政情安定を理由に賛成に回ったとみられる。

 また、国民の敬愛を一手に集めてきたプミポン国王(88)の健康状態悪化もあり、草案を止む無く是とした有権者や、草案に基づく総選挙(制限付民主主義:上院の任命等)でも民政移管を急ぐべきとする層が賛成に回ったと分析される。

 暫定政権のプラユット首相は8月9日の閣議で、民政復帰に向けた総選挙の実施時期は、2017年11~12月になるとの見通しを示した。

 その一方、民主主義という観点でタイ国民が失うものは大きい。旧憲法で定めた民選の上院は消失し、「首相は下院議員でなければならない」という条文も同草案には存在しない。

 日本国政府は8月10日、国民投票が大きな混乱なしに実施されたことを歓迎し、新憲法の下、下院選挙を含む民政復帰に向けたプロセスが円滑に進むことを期待する旨表明した。

(日本経済ニュース8月8日、産経ニュース8月10日、外務省外務報道官談話8月10日より抜粋他)

II.東南アジア、南アジア情勢(8月)

不法外国人労働者の増加懸念(インドネシア 8月4日)

(1)インドネシア国防省他は、8月2日、不法外国人労働者の増加についての懸念を表明した。国防省担当官は、「ASEAN経済共同体(AEC)により人材流入について制限はできないものの、自国民の雇用機会を守るために規制が必要」と訴えた。AECの外国人労働者に関する方針では、「高度な技術を有した外国人につき労働移動を認可する」とあるものの、実際は遵守されていないケースが見られることからの懸念と受け止められる。

(2)この問題について、サイド・イクバルKSPI(インドネシア労働組合総連合)会長は、「外国人労働者の大量流入は、国民の適正な生活保障をうたう憲法に反している」と強く非難し、政府による制限・規制の早期設置を訴えた。

(NNA 8月4日より抜粋)