JILAFタイ事務所だより(5月)

タイ、メーデーでプラユット首相、労働者の待遇改善に向けた努力を約束

  • (1)5月1日、バンコクの王宮広場で行われたメーデーにナショナルセンター(NC)等17団体約1,000名が参加し、政府に15の要求項目を提出した(別添参照)。出席したプラユット首相は、ILO条約第87号、98号の批准や最低賃金360B(約1,080円)を求めている労働団体などに対し、待遇改善に向け努力することを約束した。
  • (2)タイの1日あたり最低賃金は、2013年1月1日に全国均一で300Bに設定して以来3年以上引き上げが見送られてきた。タイ商工会議所大学ビジネス予測センターの調査によれば、単純労働者の95.7%が引き上げを強く求めており、平均希望額は356.76B。一方で、経営者を対象とした調査によると71.4%が最低賃金の引き上げ自体に反対、引き上げは310Bが限度であり、地域差、職種差も十分考慮すべきとの意見が大勢を占めている。
  • (3)今年のメーデーでは、労働組合代表のみならず、インフォーマル労働者の代表も登壇し、首相、政府に対してインフォーマル労働者の生活改善・底上げのための施策を要求。 具体的には社会保険第40条の充実、インフォーマル労働者代表の政策決定会合等への参画、労働省内のインフォーマルワーカー部局の強化等を訴えた。

(バンコク週報5月7日、メーデーブローシュアー5月1日より)

メーデー労働組合連合の政府要求項目(タイ)

  • 1.ILO第87号、98号条約の批准
  • 2.最低賃金の引き上げ、消耗品の価格抑制
  • 3.社会保険基金と社会保険事務局の改革
    • (1)全ての病院で社会保険が使えるよう省令修正
    • (2)社会保険第39条の被保険者資格未達の労働者が、新たに再登録できるようにすること
    • (3)社会保険第40条の恩典の増加
    • (4)社会保険の疾病、事故などの医療費の支払い能力の増加
    • (5)労災時の保障額を、現行の給与の60%から100%に変更
  • 4.1998年労働保護法と1975年労使関係法の改訂にかかる早急な国会審議
  • 5.会社が閉鎖した際、従業員に支払われる補償金の未払いリスクを防ぎ、従業員の仕事の安定を保証するための解雇補償金を保障する基金にかかる法律の制定
  • 6.会社が閉鎖した際、(民間、国営企業共に)従業員に支払われる解雇補償金や収入等についての所得税の免除
  • 7.1998年労働保護法13章における被雇用者福祉基金について、第 163 条に則って被雇用者福祉基金の積立金・積増金の徴収を実施するための勅令の発布
  • 8.国営企業開発法の支持、国営企業の民営化や清算方針の撤回
  • 9.労働安全事務局の労働安全局への格上げ
  • 10.タイ労動博物館運営のための予算計上
  • 11.事業所に1998年労働者保護法 第11/1条を厳格に遵守させるための管理監督
  • 12.労働省は、インフォーマルセクター労働者の生活の保護、底上げのための法律の改訂を迅速に進め、また、これらのプロセスにインフォーマルセクター労働者の代表や関連組織が参画できるようにし、これらが機能的に進められるよう、インフォーマルセクター労働者の生活の質の向上、保護局を設置すること
  • 13.託児所の設置と託児所の継続的な運営のための予算の設置
  • 14.社会の格差を是正するため、貧困線を下回らず、国民の平均所得を下回らない額を支給できる国民皆年金制度の設置
  • 15.今次メーデー要望内容フォローのための作業委員会の設置(労働大臣主管)

タイの水不足、未だに解消されず

  • (1)タイでは、4月の終わりから5月の初め(4月25日~5月2日)にかけ、雷を伴う降雨があり、その結果、いくつかのダムに雨水が流入。しかしながら、ダムの水位は依然として低く、チャオプラヤ水系の主要4ダムの3ヵ所が危機水域を脱していない。
  • (2)渇水による工業への影響は、各工場等が排水の再利用や民間企業からの工業用水の購入等の対策を取ってるため現段階では微小。その一方で、農業は渇水による影響を大きく受けており、野菜、果物、ゴム原料などの収穫量が大幅に減少。その結果、野菜や果物だけでなく、豚肉、卵など、多くの食料品の価格が上昇し、飲食料業界にも大きな影響を与えている。
  • (3)RID(王室灌漑局)はチャオプラヤ水系の渇水対策として実施している水の配給管理計画について5月4日に声明を発表。同水系に位置する主要4ダムに貯水されている17億8,500万立方メートルに関し、生活用水、生態系の維持、農業用水のために1日あたり1,800万立方メートルの供給制限を7月末まで継続する由。

(株式会社インターリスク総研、タイの渇水状況と今後の展望、5月19日より)

ミャンマー最低賃金の引き上げ要求

  • (1)5月1日のメーデーでは、ヤンゴン各所で労働者らが賃上げ(3600チャット/日約310円→5600チャット/日約510円へ引き上げ)を要求するデモを行なった。
  • (2)ミャンマーは、近隣諸国に比し人件費が低く、近年外資系企業の進出が増えている一方、労働者の賃金は低水準のまま。
  • (3)賃上げ要求に対し政府は否定的な考えを示している。最低賃金の引き上げが、物価上昇を誘発しかねないことや、外資系企業が移転しかねないことなどを強調。
  • (4)なお、同日、労働者に向けティン・チョー大統領は、労働者に対するメッセージを発信。さらなるミャンマーの発展のために、政府、労働者および雇用者が互いに良好な関係を築くことが重要と挨拶した他、ILOと連携し、[1]強制労働排除、[2]熟練労働者の育成、[3]海外で働く労働者らの権利強化を推進していくとの考え方を示した。

(ミャンマータイムズ 5月1日他より)

カンボジア健康保険制度の開始

  • (1)現地報道によれば、カンボジアの縫製労働者は2018年から国民社会保険基金より健康保険の受け取りが可能に。
  • (2)国民社会保険基金幹部によると、同制度は、縫製労働者の多いプノンペン市、カンダール州、コンポンスプー州の3地域でまず導入し、順次適応地域を拡大する見込み。また、健康保険財政は、労働者費用負担1.3%、企業負担2.6%としている。

(クメールタイムズ 5月15日他より)