2003年 パプアニューギニアの労働事情

2003年6月4日 講演録

パプアニューギニア労働組合会議(PNGTUC)
ベネディクト インブン

ナショナルアカデミックスタッフ労働組合 委員

 

国内の状況

 私は全国大学職員労働組合を代表して参りました。この組合は大学教職員の組合で、私も大学で教えています。この組合はPNGTUCに加盟しています。
 私は大学でいろいろ教えていますが、その中に日本の経営というものもあります。従って日本の生産性について聞いたり、日本の経営者についての話を伺うことは、国に帰って私の生徒にもそのような話ができるので、日本でさまざまなことを見聞することを非常にうれしく思っています。その意味でJILAFに感謝いたします。
 私は3つの主要なポイントについてお話ししたいと思います。パプアニューギニアは典型的な開発途上国の一つです。他の参加者と同じような問題を抱えています。パプアニューギニアで現在、緊急の課題について、一点ずつお話をしていきたいと思います。
 政治状況につきましては、パプアニューギニアは1975年にオーストラリアから独立しました。我が国が開発・発展のために行っていることは、すべてが新しい、最近のことであるということができます。その中にはインフラ建設、つまり道路やら橋の建設も含まれています。
 パプアニューギニアは民主国家で、去年7月に総選挙が行われました。議会は一院制です。政治状況は非常に不安定です。例えば、不信任案が可決されるようなこともしょっちゅうあります。ですから4年、5年にわたって同じ政権が継続するような状況ではないので、政策に一貫性がありません。それが経済開発、政治の面で一番大きな問題です。
 次に経済の状況ですが、パプアニューギニアは天然資源の豊かな国です。木材、金、銅等ですが、そのうち銅は日本に輸出しています。金も大変豊かです。しかし実際には、そのような豊かな天然資源からの利益の配分について、大きな問題を抱えています。例えば政府の腐敗があげられます。天然資源は豊かであるけれども、それから上がる利益を再配分するときに平等に配分されていません。そこでIMFとか世界銀行が登場してきますが、それについて次にお話しします。
 資金の無駄遣いの問題があります。それに関連してIMFと世界銀行が介入する状況になりました。パプアニューギニアの人口は2000年の国勢調査で350万人でした。それなのに公務員の数は25万人もいます。大変大きな官僚組織です。公務員への給与支払いだけでも大変巨額の資金が必要です。そのような状況の中で、生産性は世界水準ではなく、サービスは農村や町に十分行き届いていない状況です。ということで世界銀行が介入することになりました。彼らは我が国に対して、労働市場の再編成、再編のリストラ、それから巨大な官僚組織の3分の1削減を要求してきました。けれども、そのような要求を受けた労働者たちはもちろん喜んでそういうことをしません。それはつまり失業ということですから。もう一つは、独立国ながら外国から監視されて、様々な改革を無理やり強制されているのと同じなので、それには抵抗しています。それが今、経済の面で起こっていることです。
 今度は社会面に話を移します。ここでもやはり問題を抱えています。350万人の人口ですが、そのうち、35歳以下の人口が60%を占めています。ということは、我が国の人口は比較的若い人口構成であると言えます。労働市場にもその影響があります。毎年2万人の新卒者が出ますが、雇用されるのは1,000人にも満ちません。もちろん失業問題が生まれます。
 その中でも一ついいことは、我々の経済は二重構造経済であるということです。フォーマルな部門以外に、自給自足経済が別にあります。もし失業したら、その人たちは自給自足経済のほうで生計を立てるようになります。つまり、自分の持っている土地で、何らかの現金をもたらす作物を自分でつくって、収入の道を得るということでコーヒー、ココナッツ、バニラ、ココア等をつくります。
 私どもの労働組合はこのような状況の中で活動していると言うことができます。次にナショナルアカデミックスタッフ労働組合の状況について、概要をお話しします。まず第1に、二重給与制度の問題があります。つまり教職員の中には博士号を持っている人や、講師やら、いろいろなプロの職業集団ということができますが、政府の政策として2つの給与体系をつくっています。それから労働条件も2種類つくっています。1つは外国人教員、もう一つは自国の教員、それぞれ別の給与体系です。PNGTUはこの問題について、もう長年、政府と闘ってきました。しかし政府は政策としてみんなに同じ給料を払う能力がないと言っています。ですから給与体系を一本化できないと言っています。ほかに民営化問題などについても取り上げています。

PNGTUCの活動方針

 一つは民営化反対です。PNGTUCは昨年、労働者と学生を動員して反対運動を始めました。民営化反対でいろいろなセミナーを開いたり、講義室に学生を集めて、経済的な影響について、民営化されたらどのような悪影響を及ぼすかについて説明をしたりしています。この民営化は郵便、電信電話、銀行等の民営化の問題であるわけですが、それに対して反対運動を展開している訳であります。
 もう一つ、非常に緊急の問題は最低賃金の問題です。1992年、政府は労働市場の規制緩和を行いました。その前までは、最低賃金は消費者物価指数にリンクしていました。つまり消費者物価が上がったら最低賃金も上がっていました。しかし、労働市場が規制緩和された後は、市場における需給関係によって賃金が決まるようになりました。1992年から2000年まで、同じ最低賃金がずっと続いていました。それで2001年に、賃金に関する新しい委員会が政府によって設立され、そこで経営者と政府が組合の意見を聴取しました。組合は最低賃金の賃上げを要求しました。しかし、現在も1992年当時の最低賃金が適用されています。
 もう一つの問題はエイズの流行の問題です。教宣活動というかPRをして、組合員にエイズがどんな悪い面を持っているかということを教育しています。
 最後に、PNGTUCは財政援助をしてくれるいろいろな機関に協力を求めています。例えばAusAIDというオーストラリアの援助機関です。もしかしたらJICAもそういう援助機関の一つかもしれません。PNGTUCは財源が不足していますので、そういうところに財政援助を頼んでいます。いろいろな教育活動等について使っています。例えば新聞に民営化反対について広告を出したりする費用に充てています。