2011年 フィジーの労働事情

2011年6月17日 講演録

フィジー労働組合会議 (FTUC)
Mr. Amal Prasad(アマール・プラサッド)

FTUC 青年部 - 副会長
FLGOA - 副事務局長

 

1.当該国の労働情勢(全般)

 フィジー政府は、2007年公布雇用関係法という新規の労働法を承認した。この法律は、軍隊や警察、刑務所サービスを除くフィジーのあらゆる職場の全労働者及び使用者に適用される。

 同法は、最低限の労働基準の制定、あらゆる形の差別による原状回復、誠実な交渉の推進、苦情や労使紛争の解決における個々の窓口の設立、協議の推進、国際的義務や法の原則の順守を通じて、全国民の福祉や繁栄を促す法令枠組みを提供する。
 景気後退や政変といった国内情勢を受けて、失業率が上昇している。
 政府を含む使用者はかかる状況を最大限に活用している。
 幸いなことに、政府は最低限の賃金や労働基準が適用される八つの様々な部門を対象とした賃金評議会の管理指導にもあたっており、心強い限りである。
 それとは裏腹に暫定政権は、2014年に実施される自由で公正な選挙での投票に先立って人民憲章の内容を実現することを優先している。
 多くの組織で再構築や改革が進められており、余剰人員解雇の大部分はこのことに起因する。国家雇用センターによれば、求職者は2万8,000人にのぼった。しかしながら、先に述べたように国内状況が安定せず、経済情勢は失業の現状に対処することができない。

失業率 (%)
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
フィジー 6 6 7.6 7.6 7.6 7.6 7.6 7.6 7.6 7.6

失業率の定義::記入された数字は、仕事に就いていない労働人口の割合を示す。実質的な不完全雇用が注目されるかもしれない。

 公的部門や政府機関、その他の法定当局において労働者の権利が抑圧されている。又、労働組合員数も減少しつつある。組合組織率は約30% で、二つのナショナルセンターが存在する。

2.労働組合が現在直面している課題

 暫定政府の労働組合への姿勢が当面の課題となっている。多くの問題について協議は最低限のものであるか、又は全くなされていない。政府、使用者及び労働者が各々の懸案事項を共同で表明する三者フォーラムは適切に機能していない
 労働組合権が抑圧されており、厳密な意味での誠実な交渉は公的部門のどこにも存在せず、この傾向は徐々に民間部門の組合にも拡がりつつある。

 新たな法律や政策が制定され、団体交渉や結社の自由に関する労働者の基本的権利が剥奪されるかもしれないという脅威が存在する。
 このことはILO条約及び普遍的人権への違反となるであろう。
 司法命令管理の制定によって、雇用司法制度のあらゆる事柄が却下され、又は無効となった。公的部門における雇用条件や団体交渉の改善は過去のものとなった。
 多くの公営企業における再構築や改革プロセスのために、労働者は労働組合からの脱退や個別契約の受諾を余儀なくされている。
 公布雇用関係法は大方、組合が正当性を認識されず、それ故に組合員が苦労の末に勝ち取った権利を否定される各種命令の添え物のような存在である。
 執行や遵守が常に使用者に監視されているのを目にすることで、管理当局としての労働省への懸念も存在する。
 ある意味、このような環境において労働組合の存在や存続は不可能と言える。

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか

 ナショナルセンター(FTUC)は、経済的、政治的及び社会的問題に関する現政府との対話に介入し参加するために、部分的なものであれ全体的なものであれ国際的連携や支援を求めている。
 FTUCは政府主催のフォーラムや会合に参加し、あらゆる機会を捉えて懸念を提起している。
 三者フォーラムのコンサルティングは継続中であり、時間が見解の相違を埋めてくれるであろう。
 これは、現実と向き合い、一貫して労働者の権利を提示することにおける強い結束を示す試みである。

4.あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください

 一種「愛憎の絡み合う」関係である。当初、政府はナショナルセンターと提携していたが、後に関係は悪化した。
 ナショナルセンターは、暫定政府と連携して議会制民主主義や人権保護への回帰に向けて迅速な解決方法を見出し、国を動かすという明確な志を掲げていたが、これは実現に至らなかった。
 結局のところ、全てが悪いというわけではないが、あらゆる利害関係者は徹底した再編成を実施し、フィジーの労働権改善に向けて実現可能な解決策を見出す必要がある。誠意が早急に求められている。

5.あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください

 フィジーの多国籍企業に目を向けると、大きな利益を出しているもののそれを労働者と分かち合うことは拒んでいる感がある。現政府がERP(企業資源計画)の排除を進めているためであり、この場合もやはり多国籍企業にとって労働者を不当に扱う格好の機会となる。
 正当な評価、尊重及び報奨という観点から見た労働の尊厳は最もないがしろにされている。
 労働法の施行及び遵守に関しては、企業は非常に巧妙で、調査が実施される前に突如として業務を閉鎖、移転してしまうことが指摘されている。
 多くの事案が係争中であり、最終的に労働者に資することなく処理される。
 多国籍企業に関しては、結社の自由、自由で公正な団体交渉、健康と安全等の中核的な特徴が剥奪されている。