2013年 イエメンの労働事情

2013年10月4日 講演録

イエメン労働組合総連盟(GFWTUY)
アザール ラバヒー(Ms. Azal Rabahi)

イエメン労働組合総連盟(GFWTUY)副書記長

 

1.イエメンの労働情勢全般

 イエメンでは、民主化の動きが軌道に乗り始めたばかりと言える。イエメンは世界で最も貧しい低開発の国の一つである。人口は約2500万人。イエメン経済は農業、サービス業、工業に依存しており、限定的ではあるが石油およびガスにも依存している。失業率は働く能力のある労働者のうちの4%を上回り、教育を受けた者の労働機会が十分に確保されていない。仕事と安心できる未来を求める青年たちが率いたイエメンにおける「アラブの春」の革命は、公正と平等のための革命であったが、諸政党によって封じ込められ、軍隊は分裂して武力衝突が発生し、観光・ホテル部門および非組織部門の労働者の数十万人が仕事を失うことになり、貧困が深刻化し、購買力が弱まった。さらに汚職が蔓延し、公的資金の管理・保全ができないため、経済は脆弱で崩壊状態にあり、外国の援助や借款に依存している。最低賃金は3米ドル(注)にまで下がり、社会的保護もなくなり、定年退職者や失業者は多大な被害を受けた。

注:世界銀行のレポートによると、イエメンの月額最低賃金は93.3米ドル。週当たりの労働日数を6日とすれば、年間労働日数は312日(365 ÷ 7 × 6)となる。これを12ヵ月分で割った(312÷12)数字 である26日を1ヵ月当たりの労働日数とする。従って、
93.3米ドル ÷ 26日 = 3.58
となり、日額3.58米ドルとなる(国際労働財団推計)。

2.イエメン労働組合総連盟(GFWTUY)が直面している課題

 イエメンの労働者および国民が直面している悲劇的な状況の中で、イエメン労働組合総連盟(GFWTUY)は、公共部門と民間部門の双方において対話や団体交渉によって正当な権利を獲得してきた成果を維持することに努めている。またGFWTUYは組織化に努めており、特に民間部門での工場や公共部門で労働組合結成が許されていない省庁や公的機関において、組織化に力を入れている。またGFWTUYは新しく結成された労働組合の組合員の意識向上活動にも取り組んでいる。イエメンは31以上の国際条約、労働者の権利や労働組合活動の自由に関する原則宣言、国際労働機関(ILO)の中核的8条約を批准している。

3.課題解決に向けたイエメン労働組合総連盟(GFWTUY)の取り組み

 イエメンの労働組合は、労働組合運動の政党・党派の影響からの独立を強化することに努めている。これには多大な困難を伴うことになる。なぜならば、労働組合の一部指導者は特定の政党・党派に忠実な立場をとることに固執しているからである。
 GFWTUYは、新しく結成された労働組合へ働きかけを行ない、研修やワークショップを通じた啓発活動や指導によって意識を向上させることに努めている。外務省、労働省、公共行政改革省、人権省など、労働組合の結成が禁止されている省庁における労働組合結成への支援を行なっている。
 公共部門、民間部門、半官半民部門において、団体交渉を通じて労働者の権利を獲得し、社会的保護や保険制度を確保することに努めている。労働者の連帯の原則を普及し、定着させるための努力も行なっている。

4.イエメン労働組合総連盟(GFWTUY)について

 過去の負の遺産に起因する諸課題と、未組織部門における組織化に向けた諸課題を克服していかなければならない。GFWTUYは過去にとらわれて時代の変化に適応しようとしない労働組合運動の負の遺産や、その思考を払拭するために集中的な努力をしていかなければならない。
 GFWTUYの第10回総会が開催されるが、この総会は労働組合運動における画期的な転換点になるだろう。有能で尊敬されるべき指導部が選出されることによって、GFWTUYの活動は大きく一歩前進するだろう。
 われわれは、国際労働組合総連合(ITUC)、国際労働機関(ILO)、ノルウェー労働総同盟(LO)、ドイツのフリードリヒ・エーベルト財団(FES)、そして日本の国際労働財団(JILAF)の篤い支援と絶大な助力に深く感謝の意を表するとともに、共通の目標に資するべく協力と連帯の関係を継続していくことを祈願する。