2010年 トルコの労働事情

2010年12月3日 講演録

トルコ労働組合連盟(TURK-IS)
ゼケリエ ナズリン(Mr.Zekeriye Nazlim)

トルコ・セメント・セラミックス労働組合 (CIMSE-IS)
委員長

 

1.トルコの労働情勢(全般)

 私達が参加しているTURK-ISは1952年に設立され、1961年までは困難な時期を経験した。1961年に行われた憲法改正により労働組合の権利及び自由が保障された。
 1963年に制定された労働組合法・団体労働協約及びストライキとロックアウトに関する法律が労働者の組織化や団体労働協約に関して重要な法的環境の整備をもたらした。 その結果としてトルコの労働者の生活は最も良好な時期を経験し、1970年には労働組合に加入している労働者数が200万人に達した。
 1980年代以降労働組合に関する権利は後退し、1982年発布の新憲法によって多くの既得権が失われた。労働組合の組織化や団体労働協約のプロセスを妨げる一連の禁止事項が導入された。ここ30年間、法的整備の不足や誤りを議論し、是正できるよう私の加入するトルコセメント・セラミック・土器・ガラス産業労働組合及びTURK-ISが法律改正に向けた闘いを継続している。

2.労働組合が直面する課題

 雇用条件が緩和され、その結果として非正規雇用が違法な経済活動を促進し、労働組合の組織化の大きな妨げとなった。労働組合が直面している最大の課題は組織化である。私達は組織化するために企業に働きかける際に使用者の圧力を受けている。労働組合への加入が憲法上の権利であるにもかかわらず、法的整備の不足や使用者の圧力によって労働組合が新しい組合員の登録に苦労している。
 我が国においては2,300万人が雇用されている。これらの労働者のうち1,051万9,000人が何らかの社会的保障を受けておらず、違法な労働状況で勤務している。残りの1,200万人を超える労働者は賃金労働者である(この数字は国家公務員を含む)。労働組合に加入している労働者の数は100万人未満である。

3.課題解決に向けた取組

 労働組合が直面している諸問題の解決は、労働条件を整理する法規の改正によって可能である。TURK-ISがこれらの問題解決のための法改正を政府に要求している。   
 我が国の労働者の生活や労働条件に関する法律第2821号及び法律第2822号の改正が議題にあがっている。本年度末までに政府と話し合いを行い、来年度中に成果があると期待されている。
 我が国において団体交渉開始に必要とされる産業別及び企業別の組合員数の下限条件が議論されており、引き下げに向けたコンセンサスが求められている。
 団体労働協約を持たない企業が多くを占めている。私達はそれらの企業での組織化を推進している。組織化のためのコストが高いことが活動を減速する最大の理由である。
 また、私達は、労働組合への加入を理由に解雇された労働者に対する雇用保障を求めている。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 労働者を代表するTURK-ISは政府との社会的な対話によって問題を解決しようと努力している。社会的対話の装置の一つとして三者相談委員会があり、労働社会保障大臣を座長として開催される三者相談委員会には労働者団体及び使用者団体の代表が出席している。この委員会で労働者の生活条件に関する総ての問題が議論されている。

5.多国籍企業の状況

 多国籍企業の組織化は困難である。これらの企業における労働組合の組織率は全体の組織率を下回っている。また、これらの企業はヨーロッパでは労働組合の組織化を認めているにもかかわらず、トルコでは認めていないのが現状である。