2008年 トルコの労働事情

2008年6月18日 講演録

トルコ労働組合連盟(TURK-IS)
メレキ・タラク

トルコ金属労働組合チェルケズキョイ支部事務局長

シェレフ・オズジャン
トルコ金属労働組合ゲブゼ支部支部長

 

1、トルコの労働情勢

 トルコの2007年の人口は7260万6千人で、経済的に活動できる人口は5166万8千人、雇用者数は2233万人であります。そして雇用者の27.3%が農業、25.4%が工業、47.3%がサービス業に従事しています。さらに雇用者の56.5%が賃金を受ける労働者として働いています。労働組合の組織率は約10%で、賃金を受ける労働者の約25%です。また団体交渉による協約を利用できる労働者の数は約100万人です。
 トルコの労働者数は、公式発表に寄れば535万人で、そのうち労働組合に参加している労働者数は314万人程度です。94の労働組合と三つの労働組合連合会があります。これに対して52の使用者組合と、一つの使用者組合連合会があります。更に労働及び社会保障省と経済社会委員会が労働者生活に関する諸団体であります。
 トルコにおける労働生活の困難な問題の根本に、現在もなお実施されている経済的・社会的政策があります。現在我が国では、個別労働権利や共同労働権利の領域で様々な制限や禁止事項が存在しています。労働生活の基礎をなす憲法規定と特に共同労働関係を整理する法規は民主主義が一時停止された時期の産物であります。現行法制における国際的な最低限の基準をも充たさない条項が、根本的な改正によっても一掃されていないわけです。このことに関して、労働者側の改正要求に答えられていません。
 労働者の権利や自由を制限し、国際労働機構(ILO)の普遍的な基準に相反する法規が改正され、我が国が承認しているILO条約が国内法制に反映されなければならないと考えています。

2、労働情勢における課題

 労働生活に直接または、間接的に影響を与える多くの問題があります。経済的には、収入分配の格差や一般的賃金レベルの低さ、失業や生活条件水準の低下がすぐに思い浮かべられる基本的課題であります。
 具体的には、無記録(闇)雇用の普及(雇用合計のほぼ半分)や下請け産業が施行されていること、労働組合組織化を妨げる法的・行政的な措置、民営化や雇用保障の欠如やフレクシブル・ワーキング、賃金に対する天引き分が大きく、また女性及び若年層の雇用や経済参画における困難な問題があり、労働生活に悪影響を与えています。
 社会保障及び医療分野で繰り広げられる改悪が勤労者の年金や医療分野での既得権を奪おうとしています。年金退職の条件がますます厳しくなり、医療サービスに対する労働者の負担も重くなっています。そして今、グローバリゼーションの過程で、特に競争力の増強や労動力コストのより一層の低減に向かう取り組みによる諸問題が注目を浴びています。

3、課題解決に向けての取り組み

 これらの問題はTURK-ISの2007年12月の第20回定例大会で協議され、実施されるべき政策が決定されています。その政策課題は、民主化、組織化、人間的な社会経済政策、雇用増加、無記録経済(闇雇用)に対する闘争、税金、民営化、社会福祉国家の定着、労働生活、社会保障、欧州同盟加盟過程です。そして我が労働組合連合会の権限を有する諸委員会や、会員労働組合らが上記の方向で活動を展開しています。
 労働組合組織化及び労働組合教育のために行われるプログラムの確定に向けては、教育課長や組織化課長ら、及び専門家らが集まり、「ロードマップ」を作成して活動を活発化しています。
 社会保障及び医療分野での改悪に対しては、全ての産業において、全労働者の参加によって様々な抗議行動が実施され、政府に注意を促すために「2時間のゼネスト」行動が実行されました。今この法改正に関しては、国民議会に働きかけています。
 大会決定に応じて、組織化のために「ファンド」が形成され、新たな管理体制が発足しました。また国際的な連帯・支え合い及び交流のために連絡体制が強化されています。

4、ナショナルセンターと政府との関係について

 トルコでは現在の第60内閣の政策において、「国の現実に見合った説得力と信頼性のある政策の実施」を掲げています。この政策によって政府は、国民の積み重なった諸問題に関して解決策を探りながら、構造改正や改革を実施する意志を表明しており、これに関して行動計画が作成され、世論に公表されています。
 しかし、政府の政策に掲載されているいくつかの項目は、互いに矛盾をきたす内容となっています。一方で「人間を基本とする経済政策が行われる」と表現しながら、もう一方で国際通貨基金(IMF)や世界銀行(WB)のプログラムの継続が約束されているわけです。これでは、内閣プログラム及び行動計画とTURK-ISの目標や要望の間に、多くの課題に関して、アプローチや意見の違いが存在しますし、労働生活の現在進行中の困難な問題は解消されません。
 TURK-ISは、民主化に関する取り組みを支持しており、新憲法制定準備を積極的な取り組みとして評価しています。社会的合意や対話は、組織化の自由によって確保され、定着することで健全なものとなります。今日の労働組合組織率の低下は、労働者や使用者の代表としての力を弱体化させ、政府の影響力を強化させています。社会的対話や合意文化の欠如が活動にも見受けられ、多様性の尊重の代わりに、多数による圧力が支配的になってきています。
 トルコにおいて、法律第4641号によって形成されている経済社会委員会に基づく「社会的対話」アプローチが積極的に実現されているとは言えない状況です。この法律に応じて3ヶ月に一度集まらなければならないはずの経済社会委員会は、最近2年間でただ一度だけしか集まっていません。経済社会委員会の会議においては、あらかじめ定められたテーマに関してそれぞれの構成者が、意見や提案を述べていますが、委員会で何らかの決定を行い、その決定を実施し、それをフォローアップし、成果を発表するようなことは不可能であります。

5、多国籍企業の進出状況について

 トルコに2007年に入ってきた直接外国資本投入は192億米ドルです。部門別に見ると、その内42億米ドルは製造業に向けて投入されていますが、114億米ドルは金融機関の活動(民営化や企業売買など)のために投入されています。そして外国資本の127億米ドルは欧州同盟諸国からであり、42億米ドルはアメリカ合衆国からであります。同年において、トルコでは30億米ドルの不動産購入が行われています。
 労働組合の組織化に直面する諸問題は、外国資本による企業や多国籍企業の事業所にも発生しています。トルコの最も売り上げの高い外国企業における組織率は非常に低いレベルのものです。TURK-ISに所属する労働組合は、最も売り上げの高い外国資本企業100社のうち27%の組織化であり、上位50社における組織率は34%、上位25社における組織率は44%であります。

TURK-IS / エニス・バーダーディオール / 2008年4月30日、をもとに