2000年 トルコの労働事情

2000年11月22日 講演録

チェティン・アルトゥン
トルコ鉱業労働者組合委員長

 

グローバル化による労働問題

 まず、トルコの労働問題について少しお話ししたいと思います。グローバリゼーションが始まってから、さまざまな国で似たような労働問題が生まれています。失業もグローバリゼーションから生じた一つの問題です。そして、賃金の不公正な分配は一国の問題ではなく、国際的な範囲で考えなければならない問題だと思います。また、労働条件の悪化もグローバリゼーションの結果の一つと言えましょう。グローバリゼーションに伴い、発展途上国も、また先進国にもいろいろな問題が生じています。グローバリゼーションが起こり、経済はその社会の必要に応じて動いているのではなくて、国境を超えた投資家の要求に応じて動いているという状況になりました。

IMF の資金援助の弊害

 IMF 、世界銀行といった組織は、発展途上国において資金援助をする代わりに、非常に厳しい条件を出し、それが原因で国の完全なる独立や国民主権を脅かすというようなことも起きています。この点において、労働組合が負う義務は、これまでよりももっと重要であるとともに、もっと難しいものになってきました。トルコは、経済を立て直すためにIMF から17 回、スタンドバイ条約を結び、一種の経済のショック療法を受けた国です。しかし、近年我が国における民営化は、労働者に非常に不利な状況をつくり出しています。

国営企業の民営化から起こる問題

 社会保障機構が完全でない国々において、民営化は非常に多くの問題を生じさせることになりました。失業、労働者の権利の侵害、それから労働組合の組織化に対する反対勢力の妨害などは、これらの問題の中でも非常に大きなものだと思います。
 国営にとどまるべき企業が民営化されることにより、企業運営に非常に大きな問題も生じています。例えば、非常に利益を上げ、国の経済に貢献していた国営企業が民営化されることにより、非常に安く売られてしまうというような現象が起こります。民営化された企業においては、民営化の際に解雇が非常に多く生まれたし、労働者の権利が守られない、労働組合の組織化が阻止されるというような現象が起こっています。

雇用の問題

 我が国において、今大きな労働問題となっているのが、雇用の不安定性です。
 トルコでは、ILO の158 号の条約を1995年1 月4 日に批准しましたが、まだ実際には履行されていないというのが現状です。例えば労働者は組合員であったり、組合員になろうとしたというだけで解雇されることもあります。そのせいで我が国の組織率があまり上昇しないという問題があります。
 我々の国においての、もう一つの重要な問題は、一時雇用者と季節労働者の問題です。一時雇用労働者は、正規の労働者と同じようにほとんど毎日働いていますが、正規社員になれないという現状にあります。国はこのことに関して、何ら具体策を講じていないというのが現状です。

社会保険機関について

 それから社会保険機関が今後再編成される必要があるというのも我が国の抱えている一つの大きな問題であると考えます。医療関係の政策も非常に不十分ですし、年金の支給率も非常に低いという大きな問題を我が国は抱えています。

TURK -IS の活動

 世界における今日の経済形態の大きな変化は、新しい労働形態を生み出し、よく言えば非常に柔軟な形態をつくり始めていることと言えます。そして、我が国において、使用者はこの柔軟な部分を巧みに悪用していると言えます。彼らは労働者を不法に巧みに雇用して、正規の労働者の権利を脅かすというようなこともしています。不法に雇用された労働
者たちには、残念ながら全く何の社会的な保障もないのが現実です。失業率が非常に高い我が国では、労働者はいかなる労働条件ものまなければならないというような切羽詰まった状況に置かれていますし、使用者側はそれを盾に組合員になることを拒むといったような状況があります。TURK -IS はナショナルセンターとして、これらの問題解決のため、積極的に政府に働きかけるなど日々努力しています。
 来日して数日たちますが、いろいろな講義を受けて、日本の労働関係の様々なことを伺いました。確かにいろいろな努力をされて日本独特の解決方法をされてきたと思いますが、現在の労働問題、また未来の労働問題というのは、共通の部分がおそらくどの国にもあると思います。資本主義社会も非常に新しい展開を見せており、国境のない資本だけが回っ
ているというこの資本主義体制がこれからどう変化していくのか、そして、それが我々労働者にも非常に大きな影響を与えると思っています。
 現在の世界経済を動かしている大きな会社は、おそらく100 程度が挙げられるのではないかと思います。それに対して、我々のような労働者の団体というのは、非常に力も弱いし、小さな存在でありますが、資本が国境を越えて連帯したように、我々も国境を越えて協力し合えば、色々な問題を解決することができると思います。