2011年 パレスチナの労働事情

2012年2月10日 講演録

パレスチナ労働組合総連盟(PGFTU)
Mr. アフメド・S. A.・カミール
Mr. サーミー・A.A.・フカハー

 

1.労働情勢(全般)

 パレスチナの労働力は2011年には80万人以上に達したが、パレスチナの土地を支配するイスラエル占領当局によって苛酷な暴力行為や抑圧を受けている。占領軍の設置した検問所で勤労者の通勤が妨げられ、さらに民族差別的隔離壁によってパレスチナ経済や農耕地が破壊されている。
 パレスチナの労働者が占領当局の支配によってこうむる困難はそれだけではない。イスラエルの占領というのは、軍隊による一時的な占領ということにとどまらず、入植活動を伴っている。1967年6月以降、占領当局が進めている入植地の建設では、入植民あるいはイスラエルの投資家たちがパレスチナ人の労働者を用いながらの投資が行われている。こうした入植地プロジェクトにおいては、パレスチナ人の労働者は最悪の抑圧、搾取に直面している。労働条件は非常に不当、過酷なもので、パレスチナ人の労働者とイスラエル人の労働者の待遇は全く平等ではない。長年にわたり、こうしたイスラエル側のプロジェクトで働くパレスチナ人労働者にはヨルダンの法律が適用されてきた。この条件改善のため、14年間にわたる法定闘争が行われ、その結果、イスラエル最高裁は、パレスチナ人労働者に対してもイスラエルの法律を適用することを認める判決を出した。社会的な権利、最低賃金、病気欠勤に関する条件や年金等に関しても同等の権利を認めるという判決が出た。
 パレスチナ自治区におけるパレスチナ側の企業における労働者も、非常に深刻な、困難な状況のもとに置かれている。特に、パレスチナの経済はイスラエル側の封鎖やさまざまな圧力のもとで非常に困難な状況に置かれ、民間部門において働いている労働者の状況は非常に厳しい。
 PFGTUはパレスチナの民主的かつ独立した労働者の組織である。産業別に労働者を組織し、労働条件、労働状況を改善することをめざし、立法にもかかわる取り組みをしている。組合の活動を通じて社会対話を進め、団体交渉を推し進めていくことに取り組んでいる。戦略的な目標は、内部の組織の強化、組織化の推進、持続的な開発・発展への寄与、財政的な独立の維持である。
 直近のPFGTU総会は2011年12月開催され、シャーヒルサード書記長が再選された。この総会でのスローガンは、最低賃金引き上と社会保障制度の実現だった。

2.労働組合が直面している課題

 PGFTUは数多くの課題に直面している。なかでも深刻なのはイスラエルの占領であり、パレスチナ人民一般から労働者に到るまで、占領当局の野蛮な諸施策による被害を受けている。
 また、重要な課題として、最低賃金法と社会保障法の制定をめぐる問題が挙げられる。それらはパレスチナの土地に住む人民の不屈の姿勢を支え強化するために必要な最低限の課題である。

3.課題解決に向けた取り組み

 PGFTUは各種の活動を組織することを通じて、経営者側及び政府に対して、最低賃金法と社会保障法を承認するよう圧力をかけている。またPGFTUは国際的にも、パレスチナの正当性を認めさせ、1967年の境界線を国境とするパレスチナ国家を樹立し、国連に194番目の国家パレスチナとして正式に加盟するとともにイスラエルの占領を終結させるべく、顕著な役割を果たしている。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 PGFTUと労働省に代表される政府の間には相互補完的な関係が存在している。我々は1948年に占領され、占領当局によってあらゆる暴力や抑圧、差別が行われているパレスチナの土地における労働者の尊厳ある生活を確保すべく努めている。

5.多国籍企業の進出状況

 現時点ではパレスチナの土地に多国籍企業は進出しておらず、多国籍企業の問題は存在しない。しかし将来、多国籍企業が進出してきた場合は、先ず労働者の権利を守るために対話を行う。対話が不可能になった場合は司法に訴えて企業側にパレスチナ労働法を適用させ、労働者が組合を組織して権利を守ることを認めさせる。また、社会的な側面や環境保護、そのほか国際的な基準に基づく基本的な条件や人道に関する条件を遵守させる。