2004年 パレスチナの労働事情

2004年11月10日 講演録

パレスチナ労働組合総連盟(PGFTU)
マナウェル イッサ アブデラル

パレスチナ労働組合総連盟 中央執行委員

モナ ジュブラン サレム
パレスチナ労働組合総連盟 女性局長兼PGFTUベツレヘム支部委員

 

労働運動の歴史

 ご承知のとおり、パレスチナ人はまだ国を持っておりません。しかし数年の間に独立国家を建設できるよう、今後も努力を続けていきたいと思っています。
 パレスチナの労働者は1920年代の初めごろより活発な活動を開始しました。1924年に結成されたアラブ総労働組合という組織はアラブが1948年に敗北するまで存在しました。この労働組織が立ち向かった相手は、当時この土地を占領していたイギリスの使用者です。1948年にパレスチナ人は離散し、国もばらばらになりました。同時に活動地域も3つ――イスラエルの主権下に属する地域、ヨルダンの委任統治に属する地域、エジプトの管轄下に入ったガザの3つの地域に分かれました。このような状況下で、たとえば西岸地区におきましてはパレスチナ人が独自の労働組合をつくり、国が存在しないにもかかわらず、委任統治国であるヨルダンに対して労働者一般の権利を守るための行動を起こしました。このような状況が1967年まで続きました。
 しかしガザ地区では状況は違っていました。ガザ地区ではPLOが地区全体を包括する労働組合を結成しました。パレスチナ労働総同盟です。ところが1967年に戦争が起き、イスラエルがすべてのパレスチナの土地を完全に占領することになりました。完全占領期間は67年から70年に至る期間継続しました。
 70年代から最初のインティファーダまで、すなわち90年頃まで労働組合活動は悲惨な状況にありました。労働組合員であるだけで拘束されたり、殺されたりしました。労働組合の拠点が襲撃され破壊されるというようなこともありました。それは、労働組合に属する者は労働組合活動をしているのはなく、パレスチナの政治活動をしているとイスラエル側から見られたためです。
 エルサレムにおいては67年の占領以降、イスラエルは領有権を主張せんがためにイスラエルの法律を住民に強制してきました。パレスチナ労働者としましては、イスラエルの法律もあれば、ヨルダンの法律もある、またパレスチナの法律もあるというところで苦労していますが、エルサレムはイスラエルの領土ではなく、逆にアラブ、パレスチナの一部であるという考えのもとに、イスラエルの法律に支配されることはできるだけ避けるように努めてまいりました。
 1967年から今日まで、イスラエルはパレスチナ人の労働組合を労働組合として認めないばかりか、67年戦争の休戦ラインの中で、いわゆるイスラエル領内でパレスチナ人が労働することを禁止してきました。しかし1993年のPGFTU再結成以降、傘下の労働組合員を率いて労働者の権利獲得に努めています。

労働運動の現状

 パレスチナでは労働法がほんの1年ほど前に制定されました。この労働法は政府に勤めている公務員をカバーしていません。公務員の中には学校の先生や保健医療関係に勤務する者が含まれておりますが、この人たちは別の法律で統制されています。
 一方、今日に至るまで労働組合法は存在していません。労働組合は活動として労働法の制定に大きな役割を果たしてまいりましたが、今後は労働組合活動が正当に、また、いろいろな規制を受けないように、労働組合法を制定させるための努力をしていかなければなりません。
 PGFTUはガザ地区と西岸地区に分かれておりますので、それぞれに執行委員会が存在しております。PGFTUが将来の重要な決定をするために会合を持とうとしても、イスラエルは私たちの自由な移動を移動を禁じておりまして、西岸地区においても、またガザ地区においても会合を持つことができません。通常はエジプトの同胞が私たちのために便宜を図ってくれるので、エジプトでようやく会えるという状況です。時にはエジプトに行くことも禁じられ、ヨルダンのアンマンで会合を持つこともあります。車で10分程度のところにいる同胞と会う自由さえないというのが現実です。
 しかし、そういったさまざまな障害にもかかわらず、PGFTUは今年の5月に統一した大会を開催することができました。この大会において、努力目標ではありますが、今後2年以内にすべてのレベル――単組のレベルから総連盟レベルまで――の役員選挙を実施することを決議しました。しかし私はこの大会について詳しく紹介することができません。というのは、私は大会が開催されていた時期に投獄されており、大会には参加できなかったからです。投獄されていた期間は3カ月ほどで、6月1日に出所しました。
 最後になりましたが、今日同席のアラブの同胞、トルコの皆さん、そして日本の皆さんに対しまして、PGFTUが労働組合としての役目を果たせるようにご協力とご尽力をいただきますようにお願い申し上げます。