2001年 パレスチナの労働事情

2001年10月24日 講演録

パレスチナ労働組合総連盟(PGFTU)
アーミナ マファルジャ

パレスチナ労働組合総連盟 中央執行委員

 

国内の状況

 パレスチナ人及びパレスチナ問題に関する幾つかの統計資料をご紹介します。1997年の人口統計によれば、西岸地区、ガザ地区および東エルサレム地区に居住するパレスチナ人の数は約350万人です。約300万人程度のパレスチナ難民が、ヨルダンやシリア、エジプトなどの近隣諸国の難民キャンプに、さらに、ヨーロッパに居住しています。人口増加率は比較的高く、出生率も日本とは逆で高いです。したがって、2005年までに人口は約450万人に増加するものと推測されています。また、年齢別で人口の構成を見ると、老齢人口が少なく、労働力人口および児童・青年人口が非常に多くなっています。人口の47.1%は14歳以下で、49.4%が15~64歳の年齢層、65歳以上の人口は3.5%です。老齢人口が非常に少ない人口構成です。戦争の影響や健康上の問題が原因ではないかと思います。
 社会保険制度は、労働力人口の比率が高いことも寄与して、その運営が期待されています。
 パレスチナ労働組合総連盟(PGFTU)の創設は1994年ガザ地区の組合設立は1964年です。イスラエルの占領により、パレスチナの労働運動は長い間弾圧されてきました。1970年代の初めに、いくつかの労働組合が1つに統一されました。
 最近の過去13カ月間のパレスチナおよびパレスチナ労働者が置かれている状況について申し上げます。国連の特別コーディネーター5による去年の10月から今年1月31日までの4カ月間の報告があります。この4カ月の間に、イスラエル当局はパレスチナとの国境を93日間封鎖しました。パレスチナ内の封鎖もあり、都市と都市の間の通行を禁止しました。ラマラの人はナブルスに行こうと思っても行けない状況でした。このような封鎖は、この4カ月間でパレスチナ経済に多大なる打撃を与え、その損害額は約115万1,000ドルと計算されています。
 また、失業率は10月1日には約11%であったものが、公的な統計では約38%に上昇しました。しかし、実際にはこの率はもっと高いと考えられます。また飢餓率は21%であったものが32%に上昇しています。約100万人のパレスチナ人は飢餓状況に置かれています。1人の労働者が何人を養っているかを示す扶養率は従来は1人につき3人程度であったものが、現在は1人が5人以上を養わなくてはならなくなっており、一人当りの所得が大幅に減少しています。したがって、約20万人のパレスチナ人労働者がイスラエル領内または入植地、その他のイスラエル関係企業で働いていましたが、仕事がない状況になっています。
 PGFTUは暫定緊急計画を策定し、このような状況が労働者およびその家族に与えている影響をできるだけ軽減しようと努めています。その第一は医療保険制度の拡充です。労働者であれば治療は無償で受けられるという制度で、パレスチナ保健省との連携のもとに行っています。解雇されたり失職したりした労働者に対して、一時金として1回約120ドル、3カ月間支給される制度を創設しました。これは連帯基金と呼ばれる基金から拠出されることとなっています。
 ILOからは労働者の職業教育訓練について協力を得ています。それは離職者の再就職を図るための必要な教育訓練や障害者に職を与えるための訓練です。パレスチナの企業から離職を余儀なくされた労働者には、少なくともその離職についての保障がもらえるように努力しています。PGFTUの法律局や女性局、また組織局など活溌に活動しています。今年の末には懸案であった役員選挙ができるよう準備を進めています。
 国際関係につきましては、かねてよりICFTUに正式加盟の申請しているにもかかわらず、今のところ、まだ承認されていません。ヨーロッパ諸国のノルウェーやデンマークのLO、フランスのCGT、イタリアの組合などと協力関係を持っています。