2010年 ヨルダンの労働事情

2011年1月28日 講演録

ヨルダン労働組合総同盟(GFJTU)
イヤード モハンマド ムスタファ アルオマリ(Mr.Iyad Mohammad Mustafa ALOMARI)

鉱山労働組合執行委員兼GFJTU青年委員会委員長

 

1.当該国の労働情勢(全般)

 ヨルダン労働組合総同盟(GFJTU)は1954年に結成され、現在17の組合が加盟しており、これらの組合で24の労働協約が結ばれている。
 先の世界的金融危機とその後の世界経済状況は、世界の他の国々同様ヨルダンにも影響をもたらし、中でもヨルダン労働者に与えた影響は大きかった。石油価格や生活必需品の価格が上昇する中、賃金が据え置かれたことにより、国民の購買力が低下し、特に労働者層においてその傾向が強い。最低賃金はヨルダン労働組合総同盟(GFJTU)が求めているレベルに満たず、GFJTUが政府に要望した最低賃金の150ディナールから250ディナールへの引き上げは、現時点ではまだ実現されていない。
 また、GFJTUは外国人労働者の流入を制限し、その穴埋めをヨルダン国民の雇用によってまかなうこと、及びディーセントワークの創出を要望している。失業率は13%に達し、犯罪が増加、ヨルダン社会の安定を脅かし始めている。法制面では、国際労働基準に合致するよう社会保障労働法を改正しており、労働問題や労働者の状況改善に役立っている。

2.労働組合が現在直面している課題

 我々が直面している課題は多いが、とりわけ賃金の低さ、組合未加入労働者の問題、失業率が挙げられる。

3.課題解決に向けた取り組み

 GFJTUはこれらの課題に対処するため、以下のような対策を講じている。

  • 賃金問題:インフレに見合った最低賃金の引き上げを協議するため、政府、組合、事業主の三者からなる委員会の設置を政府に要請し、労働大臣がこれを近々に実現する旨を約束した。
  • 組合未加入労働者:改正労働法は25人以上の労働者を雇用する事業所の事業主に少なくとも年2回、労働者代表との話し合いに応じるよう義務付けており、これにより各事業所の労働者の組合加入が促進されるであろうと考える。
  • 失業率:政府はすでに就職斡旋と職業訓練を行う国営企業を設立しており、ヨルダン国民の就業が少ない業種における職業能力の取得を促している。加えて、職業教育訓練会議を設置し、学生の職業訓練への参加を促し、労働市場の需要に即した卒業生を輩出できるよう努めている。

4.ナショナルセンターと政府の関係

 GFJTUと政府の関係は全般的に良好であるが、経済状況によってはその関係が緊迫することも時としてある。目的を持った建設的な社会的対話を継続することより、GFJTUは政府との良好な関係を築いていけると信じており、事実、満足できるような結果を得ている。

5.多国籍企業の進出状況

 多国籍企業に関しては、アメリカとの自由貿易協定に基づいた工業地区が国内に複数できており、それらの地区において国外からの投資が盛んである。
 しかしながら非常に残念なことに、これらの多国籍企業がヨルダン経済に恩恵をもたらすことはなく、少人数のヨルダン国民を低賃金で雇用しただけであった。労働者のほとんどはアジア諸国の出身で、賃金や住環境、食事、社会保障などの面において労働者の権利が侵害されている。これらの労働者が所属する労働組合は、多くの問題を解決することに成功したが、いまだ解決すべき問題が残っている。ILOは「最良の労働」と名付けた特別プログラムを設置し、労働者や投資家の問題、アメリカ企業との取引における問題の解決に努めている。