2005年 ヨルダンの労働事情

2005年9月7日 講演録

ヨルダン労働組合総同盟(GFJTU)
医療職労働組合 中央執行委員兼GFJTU女性委員

アマル・アブドゥルカーデル・アッサイイド

 

 ヨルダンの労働組合運動は、社会的権利の保護、民主主義の確立、社会開発への参加に関し、着実な活動を行っている。
 総同盟は、公正な社会の実現、労働者のレベルと労働条件の向上、労働組合活動や経済・社会活動の権利を守る活動を行っている。
 ヨルダンの憲法は労働組合の自由を保障し、労働者の労働組合への加盟は自由に選択できる。労働組合総同盟は唯一のナショナルセンターであり、全ての労働分野をカバーした17の組織が加盟している。
 総同盟の構造は、地方レベルと全国レベルから成り立っている。各地方組織が組合運動の核となり、職場や居住地を単位として構成され、選出された労働組合委員会によって運営され、要求事項の作成を行っている。これら地方組織、支部がひとつの一般組合を構成している。
 全国組織の活動の統括、運営は様々な委員会をもとにして作られた行政事務局が行う。組織は民主的な原則があり、すべての人が参画することができる。特に、小規模な組合においては、組合員が直接意思決定に参加が可能となっている。
 組合活動には男女の差は無い。選挙への立候補においても平等である。
 しかし、現実には活動している女性はあまり見られない。これは社会的な状況の影響であり、労働組合には参加している女性は全体の15%となっている。
 もちろん組合リーダーは、社会が復興し、発展していくには男女が協力し、活動しなければならないことは認識している。男女平等の確立が国の発展度、民族の発展度を表す指数と考えられる。
 ヨルダンでも女性労働者が注目されてきて、総同盟でも女性の活用という方向に努力が集中されている。その結果として総同盟の中に女性労働者委員会が設置され、17組織の女性代表から構成され、女性の地位の確立、女性労働者へのサービス活動が行われている。第5回大会において、各組合の執行機関には必ず女性を入れるべきとの勧告がだされた。しかしその実現には、女性を支援する法律の修正、女性労働者とその家族の権利を守る、労働組合の女性委員会の活動支援、社会的・職業的義務においても女性が充分に遂行できるようサポートすること等々があげられる。
 ヨルダンにおける社会対話プログラムは、国際労働組織が支援している中で、政労使3者に、民間団代表を加えて行われている。プログラムの目的は、社会的調和の強化、労使関係の法律の整備発展によって、国際的労働基準、政府が批准した様々な条約に合致させること、すべての労働者が参加できる相談・諮問、支持機関を設立し、さらに社会から参加者の力を強め、より友好的、恒常的な社会対話が目標となる。
 政治的、経済的側面においては、ヨルダンの労働運動は世界のそれと切り離すことはできない。グローバリゼーションや技術革新が今やすべての労働運動に影響を与えている。特にグローバリゼーションの方向性には矛盾した側面が見られる。世界が声を合わせて、多数による支配、民主主義、人権尊重といっている一方で、人道的・人間的な苦しみを味わう人も増えている、さらに環境が破壊されている。総同盟は、こうしたグローバリゼーション、WTO問題、国際金融市場等の問題に対応しようとしている。国家の役割はこれらの危機に対して弱いものである。
 これらの問題に対応して、総同盟は国内レベルにおいて、国際レベルにおいて団結することにより、国際的労働協約の締結と実施、国際的連帯を実現しなければならない。
 組合においては、組織を拡大し、女性や若者を組織化する必要がある。
 労働組合は、民主化闘争の中で大きな役割を果たしてきた。労働運動は国内外の政治情勢に大きな影響を受けてきた。特に政治に重きをおき、関係のある法律の改正・修正に 力をおき、選挙法がその目的となっている。
 しかし、求めているレベルに達していない。それは、国会に労働者の代表がいないためで労働者の政党を設立しようとしている。