2000年 ヨルダンの労働事情

2000年11月22日 講演録

アブードゥ・ラーマン・モハマッド・エルジャダ
全国サービス業労働者組合委員長

 

政治について

 私どもの地域は、イスラエルとパレスチナの紛争のために、大変に困難な影響を受けています。ヨルダンはエジプトに続きまして、3 番目にイスラエルとの平和条約に署名した国ではありますが、政治的な環境の急変に我々は大変な困難を経験しています。それはヨルダンがイスラエル、シリア、レバノンに囲まれているという地理的な位置が原因です。イスラエルとシリアの間には平和条約がまだないので、緊張状態が続いています。またレバノンからイスラエルは一応撤退したことに
なっていますが、一部のシャバーと呼ばれる地域においては、まだ兵力を残していて、緊張状態が続いています。テレビでご承知のように、占領地では子供が石で自分の身を守って占領に抵抗しています。この子供たちの毎日の死亡数は平均5 人で、それ以外に数多くの人がけがを負されています。
 したがって、平和が中東にとっては必須であり、ヨルダンの戦略的選択であるということを申し上げたいと思います。ヨルダンは政治的には多党化を果たしており、あらゆる場面において、民主的な政治活動が行われています。

経済・社会について

 経済について申します。最近、ヨルダンはアメリカとの自由貿易協定に署名しました。この協定の重要な点は、アメリカが諸外国との間で、労働者の完全な権利について明記してある初めての条約を結んだという点で、この調印にはヨルダンの労働総同盟も代表として参加しました。この自由貿易協定はヨルダンだけでなく、我々の地域に大変よい影響をもたらすことと確信しています。
 社会面についてですが、ヨルダンの国内には、雇用機会が少なく、失業は幅広く発生しています。失業率は約14 %です。イラクに対する国連制裁からは大きな影響を受けています。なぜなら、イラクの市場はヨルダンにとって、大変に重要な市場だからです。
 ヨルダンはパレスチナからの難民を最も多く受け入れているばかりか、湾岸戦争の際に、クウェート、イラク方面から逃げてきた多くの避難民を受け入れています。

GFJTU の活動

 ヨルダンには、北部、中部、南部地域にそれぞれ自由貿易加工区が設けられることになっていますが、ヨルダン労働総同盟では、積極的に関与し、それらの地域にオフィスを開くことになっています。そこで、組合の幹部及び新しくその地において労働者になる人たちの教育・訓練に努める所存です。
 我々は、これまで最低賃金法を制定する努力をしてきましたが、今年、最低賃金法が成立することとなりました。また、ヨルダン労働法の第23 条及び第31 条改正のために国に対して強く働きかけ、対話、交渉を行ってきています。これらの条項は、使用者側が利用して、労働者を容易に解雇する際の刀として使われています。この条項を改正して、労働者の権利を守るために三者構成の委員会が発足しています。
 また、我々総同盟と政府との間で社会保障法の改正についても検討しています。その中で、退職制度及び早期退職制度の内容を変え、退職金の支払い率を上げるための交渉を行っています。この法案については、来月開かれる国会で審議されることになっています。
 最後にこの場をかりて、日本政府が我が国のインフラストラクチャー、例えば、水や下水等の布設整備のためにご援助いただいていることに感謝したいと思います。