1997年 イスラエルの労働事情

1997年10月1日 講演録

イフラ・シュロモ
レウミ銀行労働者協議会議長

 

イスラエル労働総同盟(HISTADRUT)について

 現在、HISTADRUT(ヒスタドルート)は、アミール・ペレツが議長となり、今、活動全体を引っ張っています。
 そして、HISTADRUTという大きい組織は、さまざまな委員会を抱えておりまして、そこは各リーダーが取り仕切ってます。私はまた、その中の委員会の常任委員長でもあります。そしてまた、HISTADRUTはそれぞれの分野においていろいろな部会を持ってまして、それは政府関係者、医療関係者、または学術、エンジニアの各部門に分かれてます。私の銀行部門では、銀行関係の労働問題、労使関係などに直接取り組んでいます。イスラエルの各市町村、都市にそうした代表機関の支部が置かれていて、その支部が、その地域の労働問題や労使関係などのさまざまな問題を扱っております。
 数年前に、HISTADRUTは大きな改革を行いました。しかし、その改革を行った後も、いろいろな争議が発生し、苦労しました。例えば、私が所属するレウミ銀行が銀行全体のためにストライキをしたくても、それぞれの利害関係が絡まってきている。例えばポアリム銀行などが協力してくれないなど、統括する上で大変な苦労を経験しました。しかし、HISTADRUTが現在、こうした改革を一体化したことによって、過去のそうした銀行同士のコミュニケーションの欠如等がどんどん消え始めております。例えば、銀行の組合を統括しながらいろいろと問題を解決していく上で、非常に公平な立場で統括してコントロールができるようになりつつあります。
 そして、来年予定されておりますHISTADRUTの役員選挙によって、さらなる改革が期待されております。そうした改革が起こることにより、HISTADRUTにこれまでずっと根深く残っていた一いわゆる政治的ないろいろな絡みといったものは払拭されているように私は思います。そして、私は、過去において何度も、労働党(私は所属していません)にちょくちょく顔を出して、早くHISTADRUTの組織を一体化して、一つの強力な組織にするようにと主張をしました。それは、一体化することにより、それぞれの労働者の共通の理念、共通利益というものが得られるからです。そのほうが、はるかに効率的だと感じたからです。
 来年予定されているHISTADRUTの選挙、これによってさらにHISTADRUTそのものの組織力が強力なものになると確信しています。つまり、これまでばらばらな組織を一つにすることによって、さらに強い力を発揮できるのではないかと思います。一体化によって、労働者の一つの目的を獲得することが、さらに容易になるからです。これは、パレスチナの組合の方々も同じだと思います。結局、どの組合も、労働者が良い労働条件のもと、そして、さらなる高い賃金を得られるようにするのが組合の目的であり、イスラエル全体の目的でもあります。そうした意味でも、こうしてパレスチナ労組メンバーと同席できる機会を拡大し、今度はヨルダン、パレスチナ、イスラエル、これにまたエジプトをくっつけていくなど、いろいろな地域の方々を一緒に招いて、同じ目的のために話し合いをもち、そして共に頭を悩ませて政策を考えることは、和平プロセスにとっても大きな貢献になると私は感じています。
 現在、この一つの部屋に双方が一緒に座っているわけですが、かつて、新聞とかさまざまなメディアによっていろいろ誇張をされたり、また歪曲をされたりして、双方にとって不利益なことがいろいろ伝えられてきました。我々3人はヘブライ語以外にアラビア語もわかりますし、またそちらの方々もヘブライ語がわかる方が何人もいらっしゃるので、言葉の問題や壁というのは相互になく、そうした中で、お互いに話し合いを持てることは非常に有意義なことだと考えております。さらに、こうした機会を与えてくれたJILAFの方々には、心から感謝を示したいと思います。

イスラエルの金融産業

 私は、レウミ銀行の議長として、1万人近い労働者を抱えています。そして、その中には、パレスチナ系、アラブ系の方もおります。そうした方々が、何年にもわたって私を支持してくれ、そしてさらに、仕事に熱心なだけではなく、私自身にも非常に忠実な気持ちをあらわしてくれます。そのおかげで、私は選挙でも勝つことができて、現在でも議長という役を務めているわけです。そうした意味で、私の仲間たちがアラブ人だろうが、イラン人だろうが全く対等であり、全く平等な立場にあると私は見てます。そのように対等に扱う、それが、私のような人間の務めであると考えています。
 そして、現在、私が取り組んでいる週休2日制という問題なのですけれども、これも来年の1月中旬にはおそらく実現すると考えています。金曜日と土曜日が、銀行組合に加盟するすべての労働者にとってのお休みの日になると確信しています。
私にとっての現在の最大の敵というのは、政治問題ではなく、パレスチナ人でもユダヤ人でもなく、失業問題です。今後、銀行がどんどん民営化していくことによって、その過程の中で、多くの方々が職を失うのではないかと私は非常に危倶しており、それが心配の種です。

政治との関わり

 そして、もう一つ私が心配をしているのは、HISTADRUTと政治の関係がどんどん遠ざかっています。現在、民営化の過程で、株主の人たちが自分たちで労働党、他政党を通じてイスラエル議会の中で新たな法律をつくり、それが労働者にとっては利益になりません。民営化の動きが現在出始めています。私はそのことを非常に心配し、また危倶してます。
 私の哲学は、工場主であろうが、株主であろうが、この世で一番高価なものは労働者であるということを知るべきです。労働者の状況をよくすることによって、さらなる生産性がもたらされることが可能なわけです。もし、彼らがストライキを打ったりして工場をとめれば、経営者はその分だけ多くの被害を受けることになります。むしろ労働者をもっと大切に扱ったほうが、工場のためにも、また労働者のためにもはるかに有益であるということを、相互が理解すべきだと思います。ですから、労働者と経営者の協力というのは、今後欠かせないものだと思います。今、世界的に不況になりつつあります。そうした意味で、経営者のみならず、その会社にかかわるすべての人が経営に携わり、かつ心配をしていかないと、さまざまな問題を解決していくことは不可能ではないでしょうか。ですから、今後とも、経営者並びに労働者が一つの協力関係を築いて、いろいろな仕事に取り組んでいくことが、最も効果的な結果を出せるのではないかと私は感じています。

中東の将来

 私は、今回、パレスチナの方々と同席するということで、おそらく、すぐに政治的な話になって、いろいろと問題が生じるのではないかと心配をしていたのです。今回、皆様方と会って、非常に波長が合うというか、我々は兄弟であり、そして同じ一家族であるわけなのですから、きっと問題を解決できると思っています。いろいろと問題は出てきますが、それを共に解決していくべきです。それが、次の世代―私たちの子供たちにとって明るい未来を開くことになり、それが、つまり中東和平の一つの目的です。 労働者という立場から未来に向かって、よき未来のために一緒に働きかけていかなければいけません。新たな武器を開発するよりは、共に新たな医療の器具を開発するほうが、はるかに次の世代にとっては有益なのです。ですから、そうした意味でも、私は希望を持ち、また夢を持って、一人の労働者として、パレスチナの人たちとも一緒に和平のため、そして世界に貢献をする上でも、協力関係をしっかりと築いて取り組んでいくべきだと思います。
 今回、この場だけで終わるのではなく、これをまた来年はエルサレムで、そして翌年はヨルダンのどこかの町で、そして最終的には、世界的な労働者の組合という確固たるものを築ければということを私は強く切望してやみません。次のよき未来のために一緒に手を組んでいこうではありませんか。

イツハック・モヤル
公共部門労働組合シェケム(デパート)組合会長

 

パレスチナ・ヨルダンチームとの対話

 現在、こうしたパレスチナ・ヨルダンのメンバーと同席する機会は、私たちイスラエル側から見れば非常に有益なことであり、大切なことであります。こうした両者の会合を日本の皆様方に見ていただくことも非常に役に立つことではないかと思います。もちろん、今回のこうした話し合いによって、中東和平の問題が今日一日で解決するというものでないことは、私も十分に存じあげております。双方が出会って一緒に話をするということが今後、和平プロセスを進める上で、基礎を固める機能を果たすのではないでしょうか。特に、同じ労働者という立場からこうした問題に取り組むことは、今後、和平プロセスを進めていく上では大きな果実になると思います。

日本の労使関係の印象

 今回、私が訪日しまして、それほど長い期間ではありませんが、この数日、いろいろな講義を聞いたり、見学して、私は既にいろいろなことを学習したと感じています。特に気がついたことを3点ほど、私なりに述べたいと思います。
 1点目は、いろいろと講義の中でも勉強をしましたけれども、日本では、連合やJILAFといった労働者のための組織が非常に強力にかつ機能的に活用され、またうまく機能していること。
2点目は、これは非常にイスラエルとは違うと私は感じたのですが、個人の専門性を伸ばして、ずっとあるポストに1人の人間を置いておくのではなく、その人の能力を高く評価して、その人材をいろいろな部門に移しながらその人を向上させていくこと。それが、日本の失業率の低さというか、失業率を抑えている要因ではないかと私は考えています。
 3点目は、日本の労働組合というのは、労働者のために非常にさまざまサービスを提供しています。医療の問題から保険に関するまで、さまざまな形で、一つのパッケージとして労働者の面倒を見てあげている。こういったことは、我々の国とは違う点でもあり、また日本から学ぶべき点だと感じています。
 今、私が言いました3点がおそらく、日本を現在一つの大国にまで成長させた大きな原動力ではないかと私なりに理解をしています。日本はいろいろと不況の問題とか、経済的な問題を抱えているようですが、この3点は、今後とも維持していくべきではないかと私なりに考えています。

民営化の波とシェケム労働組合について

 現在、イスラエルで私が所属するシェケムの労働組合もさまざまな問題に直面しております。それは、今、私が挙げた3点から学ぶべきことが多くあると感じています。私が所属する組織というのは、かつては100%政府のものであったのが、民営化により、今では完全に民営化された民間の組織になり、その一つの過程の中で、株主が完全に変わるなど、さまざまな変化の中で一つの混乱を起こしました。そして、その混乱というのは、今から見れば、イスラエルの国にも大きなダメージを与えたことでありました。
 しかし、現在、イスラエルではこうした民営化の動きの中で、経営者が、すぐにできるだけ早く利益を欲しがる。非常に短期的な利益を追求する。それが逆に会社そのもの、労働者、さらには株主そのものにも大きなダメージを与えている、それが結果です。私がさっき挙げました日本の3点から見られるような、長期的な立場での利益を追求するという考えがまだイスラエルにはありません。民営化されることによって、できるだけ早く、利益の追求が始まってしまう。それにより、結果的に失業が増加し、その失業者を養うための失業保険を多く払わなくてはならない。国営のときと民営化されたときと、支払い金額が、ほとんど同じになってきている。それならば、一体何のために民営化をしたのか。その問題が今、どんどんと出始めてきています。私自身は、日々そうした問題と闘いながら改善をしようとしているのです。非常に難しい問題です。同じように、こうした民営化はイスラエルだけではなく、おそらくヨルダンとパレスチナの皆様の地域でも、近々起こり得るものではないかと私は思っています。
 こうした争議の中で、労働組合に加盟する労働者の立場というものをこれからも守っていかなければいけないと強く意識してます。組合だけではなく、組合が構成するそれぞれの下部組織、そうした組織というのはすべてアミール・ペレツ議長によって統括されています。そうした労働者の立場を守る上でも、HISTADRUTの力、また団結力というものをさらに強めて、そしてそれまでずっとHISTADRUTが抱えていた政治的な要素をどんどんこれから払拭していき、取り除いていくことによって、真の意味でのHISTADRUTの力というものが発揮できると思っています。それこそが労働者の立場、生活を守る上では非常に大切であり、今後ともHISTADRUTの力を強めていきたいと思います。それがさらにもっとイスラエルの経済効率を高め、経済の発展にも寄与していくと思っています。
 今回、私が日本に来る機会を初めて知った際に、同時にまた、そうしたプログラムに、パレスチナ、ヨルダンの方々も一緒に参加するということを耳にして、私はどうしても日本に行きたいと強く思いました。そして、日本そのものにも、今回関心を持つようになりまして、日本文化などにも高い関心を持っています。また、私は日本に来る前から、イスラエルでシェケムの仕事をしている際にも、日本からはさまざまな電化製品などを輸入しており、そうした意味からも、日本とは、昔から関係を持ってきたと思っています。
 現在私が仕事をしているシェケムは、電化製品を輸入する子会社があるんです。その子会社、レシェト・シェケム・エレクトロニクス社では、以前からずっと、日本製品を輸入しており、私はそうした形で、日本の電化製品とは、既に昔から非常に親しくしてきたわけです。新しい日本製品が届くたびにそれを手にとり、その効率性の高さ、また完成度の高さに以前より非常に感銘を抱いておりました。そうした電化製品は、イスラエルでも非常に人気が高いわけです。それをつくった日本人というのは一体どういう人たちなのかというので、今回、日本に来るチャンスを与えられたということで、それを実際につくった日本の労働者、そしてそれを売るスーパーマーケットや、それをつくる工場を見ることは、私にとってはかけがえのない喜びであります。
 そのため、私は今回のプログラムの中には含まれてはおりませんでしたけれども、そうしたスーパーマーケットや店頭で、どういった形でそういったものが売られているのかということ、またそうした商業地を目にしたいということを強く望み、それもJILAFのプログラムの中に実現しそうなので、私としては非常に喜んでおります。そして実際の店頭、商業地、また工場を目にすることによって、必ずそこから私は何かを得られるであろうと確信しております。そしてそこから得たものは、今後、イスラエルでも大いに役立つものだと思ってます。

緊迫した労使関係

 今朝私のところ、またシェロモさんのところに、現地からファクスが届きまして、新たな労使関係の争いが始まりそうだと。おそらく、すぐにストライキに入らなければいけない状況になるのではないかと危倶しているのです。これは労働者の職場を守るための争議であり、やむを得ないストライキです。民営化が進む上で出てきたさまざまな問題、それを解決するための争議が、またイスラエルで新たに始まろうとしているとの報告を受けました。今朝、本部の方に連絡をして、我々は組合の代表者ですから、本当はすぐに帰国しなければならない。しかし何とか日を延ばして、ましてやパレスチナの方々とも今回、関係が持てるということで、何とか期間を延ばし日本に滞在させてくれるように、私たちは事務所にお願いをしたわけです。
 現在、争議になっている点も、やはり民営化に移行しよう、さらなる民営化を進めようという動きが出ていることで、私たちは非常に強く反対しています。私の会社、シェケムがそうであったように、民営化されたことにより多くのダメージが労働者にもたらされるからです。今後どうしても民営化をしていくということに賛成する状況にはなっておらず、指導部のみならず、労働者のさらなるダメージを避けるためにも、私たちは争議をおこすほかに道がないのです。

中東和平について

 最後になりますけれども、働く人の職場を守り、労働者の収入を守る、また労働者の立場を守る。これは、労働者という意味だけではなく、人間の尊厳を守るというのも非常に大切なことです。そのことは世界に共通のことです。すべての人々にとっても実に重要な、忘れてはならない、また捨ててはならないものです。我々は労働運動の中で、そうした労働者の立場を、今後もしっかりと守っていかなければいけないと肝に命じております。
 さらに今回は、パレスチナとイスラエルの両者が、さらにヨルダンの方々も一緒に加わって、同じ席上で話し合いをする。そして、さらに和平に対する解決策を模索していく。それを続けることによって、また関係を強化していくことによって、和平達成の一つの大きな糸口になっていくと思います。こうした話し合いを続けることによって、今の世代は無理でも、次の子供たちの世代は、本当の平和を得られるかもしれません。家族の平和、そしてそれは世界の平和につながるかもしれない。私は、そうした期待を、強く持っております。

オフェル・エイニ
政府労働者組合所得税部門会長

 

政府労働者組合所得税部門について

 私は現在、所得税部門の会長を務めていますが、これもHISTADRUTの重要な部門の一つであります。現在イスラエルでは、税務署が全国の40カ所にございまして、それぞれの税務署には支部長が配置されています。
 そしてこの組合は、HISTADRUTでの決議にも、大きな影響力を及ぼします。私がこうして外国の方々と、いろいろと接触を持つというのは初めてのことではなく、世界中の労働組合の方々と意見交換をしたことがあります。一つ気がついたのは、すべての国々の人々、どこから来ようが、労働組合に対する考え方というのはかなり共通したものがあるということです。おそらくそれを基本として、すべてはそこから始めなければいけないのではないでしょうか。

中東和平について

 私の個人的な体験談なんですけれども、私の父は、イラク出身でありまして、かつて父が経営していた会社では、100人近いパレスチナ人の従業員を雇っておりました。
それは現在のように政治がこじれてしまうはるか以前のことですが、当時は、私の家庭にとってはパレスチナ人というのは、それこそ家族の一員と同様でした。
 私はおそらく近い将来、パレスチナの国ができるのではないかと思っています。おそらくすぐにではなくても、さまざまな和平プロセスを進めていくうちに、きっとパレスチナの方々は国を得ることができるでしょう。しかし、そうした国ができていろいろと急いで準備するのではなく、今からでも労働組合、また労働運動という形で、各分野で準備すべきことはたくさんあり、早くそれに取りかかるべきではないでしょうか。
 私はオスロ合意が実現する以前、ガザ地区にもイスラエル側の税務署というのがあり、オスロ合意が成立してからは、今後ガザなどの占領地区でどのような税務の仕事をやっていけぱいいかということで、いろいろな法律の合法化、法律策定の作業にも何度か携わったことがあります。
そして、オスロ合意が実現してから、占領地区、例えばガザ地区にあった税務署が閉鎖され、それによって1万5,200人の方々が職を失うか、また転職、仕事の内容を変えなければいけないという状況になりました。たとえ新しい税務署が開かれても、全くやり方、法律も違いますし、それで以前の仕事があまり役に立たなくなってしまうからです。
 政府がそうした人たちを解雇するときに、単に彼らがもう不必要となったからだ、という理由で多くの人たちが解雇されました。
 ガザ地区の失業・転職した方々がイスラエル国内で仕事をしなけれぱならなくなったものですから、全体の税務署の給料がこれ以上の賃上げをできなくなりました。部では賃金を下げなければならない状況になったのです。
 そして、オスロ合意後多くの人たちが転職して、もう一つ苦労した点というのは、職を変えなければいけない人たちをいかに早く新しい環境、新しい職場の環境に適応させるために、どんなコースをやったらいいのか。彼らを新しい事務所で働かせるためにはどんな扱い方をしていけばいいのか。仕事を変えるということによって、収入が減ることも往々にしてあり、そうした非常に難しい局面を労働者のみならず、私たち自身も経験してきました。
 そして、占領地区で仕事をしてきた人たちは、年金制度にも入っていたんですが、一部の人たちは全く新たな年金制度に入らざるを得なくなる。そうなると雇用者のほうでも非常に困ってしまうということで、その辺の問題は非常にこじれまして、一部は、年金制度を取りやめてしまおうか、一部では、うちの会社には来ないでくれ、帰ってくれと話はこじれにこじれました。現在、オスロ合意以前とその後も、65歳年金支給の仕組みは維持できるように、組合も何とか働きかけて、うまくいっています。
 それが、2年前にオスロ合意という一つの和平のプロセスが進んだときの大きな問題でした。その後もいろいろと私の組合では争議が続き、解雇とか、そういった問題が生じるたびに派手なストライキを打ってきました。そのたびに4,000人の人たちが一挙にストライキに入って、事務所も完全に閉めてしまう。それは、1人も解雇者を出さないためにはやむを得ない措置でありました。そうしたことが功を奏したのか、現在では私どもではある程度安定してきています。さらにオスロ合意後に、新たに転職して、私どものところの新しい職場にたどり着いた人たちも、あれから2年がたって、さまざまなコースで新たに学習して、勉強し直して、何とか私たちと一緒にうまくやっています。
 今、パレスチナの皆様を前に、ここで私が述べたいのは、この和平プロセスというのは、今は止まっていても、多かれ少なかれ前進するものです。おそらくこの前進というものはもはや食いとめることはできないでしょう。つまり、和平プロセスというのは必ず実現するでしょう。それぞれのユダヤのために、そして、パレスチナのために、両方が利益を得るような形で、パレスチナ国ができるにしろ、実現するのはおそらく時間の問題です。
 私が一つ言いたいのは、あなた方(注:パレスチナチーム)が自分の国を持つときに、準備を万端にしておいてくださいということです。私がオスロの合意で経験したようなこうした混乱を二度と繰り返さないようにしてほしい。パレスチナのナショナルセンターが強力な組織になるように、できるだけ早くその問題に取りかかって、和平が実現する前にはすべて準備が整っている、そうした状況に持っていくべきだと思います。
 もちろん、パレスチナ労組へ、われらのアミール・ペレツ議長以下、我々の側の専門家たちも喜んで支援しますし、またアドバイスもしていきます。たとえHISTADRUTがある程度強力な組織になっても、パレスチナ国ができれば、その後でもさまざまな問題が出てくるのは目に見えております。そうしたものにうまく対応していく上でも、今から準備を整えていく必要があるのではないでしょうか。