2011年 バーレーンの労働事情

2012年2月10日 講演録

バーレーン労働組合総連盟(GFBTU)
Mr. ファイーズ・サイード・ハサン・アリ

 

1.労働情勢(全般)

 バーレーンの特徴として、人口121万人の内23万人が外国籍であること、民間労働者45万5,000人の83%が外国籍人口で構成されていることが挙げられる。
 GFBTUが設立されたのは2003年に政治改革が行われた後である。しかし、現在、労働者の置かれた状況は非常に困難なものになっている。

2.労働組合の直面する課題

 2011年3月から、バーレーンの民間企業、省庁と複数の政府公社において、数千人の労働者が一斉に解雇された。解雇理由は彼らが反政府デモとストに参加したというものであったが、実際には宗派を背景とした労働者の解雇であった。
 GFBTUとしてこの状況に対する憂慮を表明し、通勤することもままならない治安情勢悪化の中で、ゼネストを宣言した。3月に非常事態令が宣言されたが、その1週間後に、国家当局が市街地、国内における治安、安全を保障するということを約束したため、GFBTUはゼネスト中止を決定した。それとともに、経営者団体、経営者の代表、政府の代表との包括的国民対話が行われた。
 多くの組合員が組合活動を理由に解雇処分を受け、組合役員が全員あるいは大部分が解雇される事態となった。多くの組合関係者がストライキに参加したことに関して取り調べを受け、国家公安裁判所(非常事態裁判所)で訴追すると脅迫された。これは組合に対するあからさまな支配介入行為である。

3.課題解決に向けた取り組み

 GFBTUは、解雇された労働者の氏名、職場、解雇日、雇用主の提出した解雇理由をすべて記録し、リストを労働省に提出して、解雇者の職場復帰を要求した。同時に、ILOにも提訴した。こうしたGFBTUの取り組み、ILO等に対する働きかけを経て、問題を改善しようという方向性が生まれた。国民対話会議においてもGFBTUはこの問題の解決の重要性を強調したが、実際の職場復帰は遅々として進んでいない。 

4.ナショナルセンターと政府との関係

 これまでは政府との関係は非常に良好で、一定の民主主義が存在した。2011年4月までは労働組合は政府から毎年補助金を受けていた。しかし、解雇された組合員の職場復帰阻止、組合事務所の閉鎖、メディアによる中傷など、政府の基本姿勢は反組合となっている。この背景は、「アラブの春」の影響が自らに及ぶことを恐れた政権が先手を打って強硬策に出たためである。

5.多国籍企業の状況

 バーレーンは外国からの投資を誘致し奨励するため、異例なほど企業を優遇する環境を作り上げた。フォーチュン上位500社はこの理由で、バーレーンを中東における事業の拠点に選んでいる。
 多国籍企業においてもいくらかの労働争議はあるが、このような案件はすべて労働省に提起されるか、直接裁判に持ち込まれている。