2002年 ベネズエラの労働事情

2002年7月3日 講演録

ベネズエラ労働総同盟(CTV)
アドルフォ アントニオ パドロン ドゥラン

公務員・専門・技術・管理職全国単一組合 会長

 

国内の状況

 ベネズエラの労働組合運動は、ラテンアメリカではどこでもそうだと思いますが、ネオリベラリズムの政策の下にさらされています。その政策にのっとる一番いい労働組合活動というのは、労働組合活動がないことが一番いいとされています。労働組合の面から見た経済、社会、政治的な変動について3つの点から述べたいと思います。
 現在ベネズエラの社会状況は、爆発寸前の状況です。現在、階級間の紛争が激しくなっています。これは大統領が国の運営を進めるに当たっての政策として社会での差別を深めて、これを国を運営する戦略として使おうとしているからです。憲法が改正されて、下院がなくなりました。それと同時に大統領の意思によって暫定的な機関として検察庁ができるとともに、最高裁判所ができ、選挙委員会ができ、そしてオンブズマンが生まれましたが、こういった4つの機関というのはすべて大統領が決めた暫定的な組織です。そして労働組合活動においても、労働組合のリーダーを更迭するという動きが政府によってなされました。つまり、労働組合の組合員でない者も組合員もみんな労働組合のリーダーを決めるために投票を行なわせ、労働組合のリーダーの刷新を図ったわけです。労働組合の規約が無視されて投票が行われることになりました。これには労働組合運動を阻止するための政府の動きであったわけです。選挙の結果は、政府が推薦したリーダーが負けてしまいました。現在は労働組合のリーダーには労働大臣がなっています。それと同時に労働組合関係のキャンペーンのトップには文化大臣が就任しました。
 労働人口は1,050万人です。その中の85%が就労しています。就労人口の44%はフォーマルセクターに属し、56%はインフォーマルな仕事に就いています。失業率は15%から17%とされています。このデータは6月28日まで有効であった労働者移動禁止法というものに基づいての数です。つまりは、労働者の産業間の移動が禁止されていたわけです。最低賃金は1カ月182ドルです。チャベス大統領の政令によって、現在では公務員の給料は大統領が決めることになっています。ベネズエラでは必要最低限のものを買うために必要なお金は1カ月に256ドルとされています。したがって、この182ドルという最低賃金では食べることもできません。そして、水道や光熱費、洋服など生活に必要なものを買うお金は、1カ月に715ドル必要だとされています。500万の家庭のうちの120万の家庭が十分な食べ物を手に入れることができません。つまりは、貧困状態にあるわけです。ベネズエラには48万の企業が登録されていますが、労働移動が禁止されていた6月28日までに、17万5,000の会社が倒産してしまいました。

CTVの活動方針

 CTVは、年間の目標を定めて活動を展開します。
 今年の一番重要な目標は、現在実施中のものです。現在はいろいろな面での社会対立がありますので、CTVは教会、大学、その他の市民社会の団体と継続的な社会対話を行い、ガバナンスの面で、保健、失業、貧困に対する新しい政策を提供したいと思っています。現在、労働基本法の改正案に向けての分析を行っています。そして、社会保険法、労働基準法、職場の労働安全衛生法などについての新しい提案を現在準備中です。また、団体協約に関する見直し、社会保障の支払い要求、職業訓練計画、国際機関との文化交流です。今年の末にはCTVの総会が開かれますので、この大会に向けての準備を行っています。ほかにも、保健教育法案、ジェンダー問題の全国女性会議、協同組合、組合活動などを行っています。
 CTVは85の連盟からなっています。私が直接加盟している組合は保健医療関係の組合で、6万2,000人の組合員がおり、26の地域別組織があります。この州の組織がそれぞれの地域を担当します。私の組合は、全国レベルで1,840人の組合活動のリーダーがいます。そして選挙は4年に1度行われます。そのときに26の地域の代表が選ばれ、それぞれの病院での組合活動のリーダーが選ばれますので、同時に1,840人のリーダーが選ばれます。