2000年 ベネズエラの労働事情

2000年11月8日 講演録

国際自由労連・汎米州地域組織(ICFTU -ORIT)
ロナル・スアレス

青年部コーディネーター

 

国内情勢

 ベネズエラは、アメリカ大陸の中でも最も民主主義の伝統が長い国です。そして大統領は6 年ごとに、全国民の18歳以上の有権者による直接無記名選挙で選ばれます。
 憲法に定められた政府を倒そうという軍事クーデターがあり、1992年からベネズエラはさまざまな形で変遷を遂げてきました。92年には、革命派の人たちが蜂起したわけなのですけれども、その後の1998年の大統領選挙で、革命勢力が政治勢力を伸ばし、革命軍の司令官であった、ウーゴ・チャベス・フリアス氏が大統領として選ばれました。
 この新しい政権によって、大きな政治的改革が行われようとしています。政府系の機関、それから各政党とも今、汚職、横領などによって、非常に悪い状態を示しております。そういった中で、国民は政府機関に対する信頼を失っており、チャベス大統領は国を新たに変えるためのさまざまな提案をつくり、国民に提案をしているところです。
 そして最初の行動として、ベネズエラ憲法の改正が行われました。これは、1999年12月に行われた国民投票によって承認されたもので、その後、行われたことは、国会の解散でした。この新しい憲法体制になったベネズエラでは、まず国会があり、その中の国会議員は国民の選挙によって選ばれます。その中に内閣もあり、それぞれの閣僚が構成しています。司法では、その最高機関として最高裁判所があります。
 次に、経済のほうですが、ベネズエラは皆さんもご存じのように、世界でも十指に入る石油産出国、輸出国です。しかし、農業はあまり発展しておらず、全土の5%しか農地として利用されていません。その農地も、山岳地帯と沿岸地帯に集中しており、プランテーションもありますが、機械化がなかなか進まず、伝統的な耕作方法がとられています。
 専らつくられているのは補助的な作物で、例えば、シリアル、とうもろこし、米、イモ類、じゃがいも、さつまいも、それから綿などです。輸出として主に作られている作物には、コーヒー、綿などがありますが、世界の農業の競争に打ち勝てるような競争力は持っていません。牧畜の分野においては、新しい牧畜技術、牧畜用の機械などの導入によって、例えば、食肉、牛乳などの生産が増大しているところです。特に豚肉と鶏肉の生産も行われるようになりました。
漁業に関しては、政府が漁船の買い入れなどに融資をするシステムなどを導入して、漁獲高も上がってきています。鉱物資源では、鉄、鉛、銅、ボーキサイト、金、ダイヤモンドなどを産出しています。石油関連の事業では、原油は産出するものの、あまり有効な使われ方をしていません。おまけに石油価格の下降などによって、大きな成長というものがなかなか得られないでいます。

労働状況

 社会的な面ですが、労働市場はここ数年の労働事情の推移に関してはおおむね良好で、1998年下半期のデータでは、労働人口のうち65.4%が就業しています。その中で、90年から98年までずっと続いていることですが、25歳から44歳までの就業率は、95%を常に上回っているという状態です。しかしながら、一番就業率が低い人たちというのは、女性と65 歳以上の人たちです。独立した人たち、例えば、自営業、共済などで働いている人、自分でサービス業などを行っている人は、ここ数年で増大しており、自営業でも専門知識を持たずにさまざまな商売をしている人たちが、ここ数年、増大してきています。独立した仕事をしている人たちの中で、専門職ではない自営業の人たちは、80.9%にも上ります。

労働運動の現状

 最後に、現在のベネズエラのORIT 、それからベネズエラの労働組合運動ですが、これらは緊張状態にあります。というのは、ベネズエラ政府が12月に国民投票を行って、ベネズエラ労働総同盟(CTV )という組織を解散させようとしています。その解散の是非を問う国民投票が12 月に行われるのですけれども、そういう政府側の動きに対して、ORIT を始めとする各労働組織は抗議の手紙などを送り、また、さまざまな国際組織、友好関係を結んでいる労働組合などにも、支
援要請の手紙を送っているところです。これはILO の87号、97号の規約にも反する、2つの労働の基本原則に反する重大なことであると私たちは思っています。
 これは、政府によって労働組合運動を操作したいという意向のあらわれだと私たちは考え、今非常に警戒をしているところです。そのことについて、詳しく説明した資料を持っていますので、ご希望の方がいらっしゃいましたら、あとでコピーを差し上げたいと思います。

2000年7月19日 講演録

ベネズエラ労働総同盟(CTV)
フリオ・セデーニョ・カルドナ

青年文化スポーツ部コーディネーター

 

 ベネズエラ労働総同盟(CTV )は1936 年末にできた組織で、現在230 万人の組合員がいて、ベネズエラの中では一番大きな組織です。

政治・経済・社会情勢

 1990 年~96 年までの間に、ベネズエラの経済には大きな波が2 回ありました。これは政府の財政政策や金融政策が変化したからです。我が国の金融政策が失敗したこと、そして労働組合のリーダーだけでなく実業家にも汚職があり、私どもの社会・経済の状況が悪化してきました。そして社会の分裂が起こりました。このような社会不満の中から、新しいリーダーとして、軍人であるウゴ・チャベス大統領が当選しました。そして、99 年に国会を解散して憲法改正に臨みましたが、ウゴ・チャベス氏の政権というのは全体主義的な政権であると言えます。その後はいろいろな政治改革が行われていますが、なかなかこれらが終わらないので大変不安定な状況になっています。また大統領は全体主義な立場から、また軍人的な立場から、ベネズエラの政治システムすべてを変えようとしているところにも不安な面があります。そしてその政治改革は不安定な状況にあり、反面、経済政策がほとんど行われていないので、国家が国家経済の計画策定や実施機関としての役割を果たせずに、社会的な不安が高まっています。このような混乱した状況、困難な状況の中、一番被害を受けるのは社会的に最も弱い人たちであり、失業率や貧困、またインフォーマルセクターなどが増えています。

CTVの活動

 私ども労働組合としては、生存の権利を確保するため、そしていろいろな現在の問題を解決するために計画を行っていますが、チャベス大統領は全体主義的な政策をとっており、労働組合を消そうとしています。私ども労働組合の現在の目標は経済、雇用、社会保障、社会の安全に対して労働者がいろいろ影響を受けるので、その問題に関する分析を行っています。
 次にベネズエラの各分野を統合する活動があります。これはユニセフとかユネスコなどを通じて、私どもがただ単に労働組合としての活動ではなく、社会サービスを行う団体としての活動を実行しようとすることにあります。
 私どもは新聞にいろいろな記事を載せたり、地域レベルでの抗議行動を行ったりして、我が国の主に経済政策を変えようとしています。今月の30 日に大統領だけでなく、地方の長や市議会議員、そして地方議会の議員などを選ぶ大規模な選挙が行われます。これによって我が国の政治的な様相が相当変わるのではないかと思っています。
 また、私どもは教育活動も行っていて、女性や若者や成人への労働組合運動の教育や、モラルの面での教育などを行っています。現在、社会的にも不安定な状況にありますが、選挙が終わって、新政権といってもどうもチャベス氏が勝ちそうですが、選挙が行われれば私どもの社会状況が少しはよくなるのではないかと期待しています。