2010年 ウルグアイの労働事情

2011年2月18日 講演録

ウルグアイ労働組合連合会-全国労働者連合(PIT-CNT)
マリア フェルナンダ アギーレ マヤ(Ms. Maria Fernanda Aguirre Maya)

ウルグアイ・レストラン・ホテル労働組合(SUGHU)・書記長

イスマエル コルタッソ ブリスク(Mr. Ismael Cortazzo Brysk)
上下水道国営企業労働組合連盟(FFOSE)・副事務局長

 

1.労働事情(全般)

 ウルグアイの2010年の経済成長率は8.4%以上、2011年は5%以上と予測されており、これは過去に比べて非常に高い成長率である。平均失業率は6.6%で、これも過去の数値を大きく下回った。さらに、2005年から2009年までの間に実質賃金が平均27%で上昇し、就業者数が1,547,000人増加し、失業者数が121,000人減少したことが挙げられる。同時に貧困率も4ポイント近く減少し、中南米最大の減少率になった。それにもかかわらず、富の再配分は後退している。
 2000年代になって左派政権が樹立され、2005年には17年間開催されなかった賃金審議会が開催された。これによって公共部門の団体交渉ができるようになり、労働組合の加入率が200%上昇し、加盟労働者が12万人から35万人に増加した。2009年には、民間部門と公共部門の双方で団体交渉を認める法律が制定された。また、労働組合活動保護法が施行され、団体交渉が労使対等の立場で行えるようになった。
 わが国の団体交渉法は3つのレベルで交渉を行うことを定めている。まずは、国レベルの政労使の代表からなる三者構成の審議会があり、ここで最低賃金や全体的な労働条件を定める。次に、産業レベル、最後に企業レベルの団体交渉となる。法律で、企業レベルの団体交渉では、その上位のレベルで決められた労働条件を下回ってはならないと規定されている。これによって、規模が小さいがゆえに不利な労働条件を呑むことが避けられる。

2.労働組合が現在直面している課題

 直面している課題・目標は、[1]国家による生産部門へのてこ入れ、[2]富、賃金、年金のよりよい再分配、[3]現行の構造改革の進展、[4]貧困と社会からの疎外に対する対策、[5]賃金審議会と労働組合活動の自由の防衛、[6]住宅と学校の建設、[7]教育制度の改革、[8]労働者も参加する国家改革、などである。
 経営者側は賃金審議会で労働条件を議論することに反対している。また、最低賃金の制定と労働組合活動の保護を認めようとしていない。現在、支配者階級が大手マスメディアを通じて労働組合運動を国民の大多数から孤立させようとしている。このキャンペーンは、幾人かの政府高官の支援や承諾を受けている場合が多く、その激しい攻撃に苦しんでいる。PIT-CNTは、結束を固め、いかなる日和見主義にも屈せず、労働者全体を導かなければならないと考えている。

3.課題解決に向けた取り組み

 これらの目標を達成するために、組織拡大のための大規模なキャンペーンを行ったり、国立職業訓練機関の活動に参画している。住宅供給が非常に少ないという問題を解決するために「労働者住宅プログラム」を開始した。
 また、生産性向上による富の再分配に関する提案を策定している。昨年は数多くのデモを行い、この問題が非常に重要で緊急に解決すべき課題であることを政府や財界に対して主張した。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 政府との関係は良好である。現政権の任期中にも進展があったが、いくつかの点では矛盾もみられる。
 現在、ウルグアイで議論が白熱しているのが富の再分配に関する法律についてである。連邦政府は労働組合に対しても、その方法について意見を出すよう求めている。議会はPIT-CNTを独立した組織と認めているが、本当の意味で、そのような地位を確立するまでには至っていない。
 また、政府に対しては、民衆が望むような新しい選挙制度を導入するよう求めている。さらに、現政権の進める経済政策について、国家が直接投資者としての役割を果たすべきであり、そのプロセスのほとんどを外国資本の手に委ねてはならないと主張している。

5.多国籍企業の進出と労使紛争の状況

 ウルグアイにも多くの多国籍企業や外国資本が存在しており、経済のあらゆる部門に浸透している。しかし、残念なことに雇用は増えても職能の質の向上にはつながっていない。たとえば、観光分野では多くの多国籍企業が進出しており、この分野での収入が大きく増えている。これらの企業は国から優遇されているにもかかわらず、労働条件が悪く従業員の反発を招いており、労使紛争の種となっている。