2003年 ウルグアイの労働事情

2003年2月19日 講演録

ウルグアイ労働組合連合会・全国労働者連合(PIT-CNT)
ホセ ディエゴ アロンソ ガルシア

ウルグアイ労働組合連合会・全国労働者連合 常任執行委員

 

 ウルグアイ労働組合連合会・全国労働者連合(PIT-CNT)はウルグアイの唯一のナショナルセンターです。民間・公共両部門の労働者が加盟しており、さまざまな考えを持った人たちが自由に自分の意見を言えることをモットーにしています。政党、政府とは完全に独立しており、組織率は14%です。

国内の状況

 ウルグアイは、ほかのラテンアメリカ諸国に比べて、幾つかのメリットを持っていました。識字率は99%、大学は無料でした。1920年代までさかのぼる富の分配の制度。それから医療制度も全国的に整備されていました。しかし、このような状況は60年代になって大きく変わってきました。傾向としては、市場が開放され、富が一極に集中するモデルが導入されてきました。このモデルが入ってくるようになったのは軍事政権を通じてであります。民主化を勝ち取った後、91年から98年までは年率7%という経済成長を果たしてきましたが、労働者の生活は回復されませんでした。
 その後4年の間に富の集中化、それから規制強化の傾向がさらに強まってきました。国内総生産は20%も落ち込み、失業者は26万人に増加しました。そして60万人の労働者が職場で問題を抱えています。国内消費高は10億ドルにまで減りました。このような状況から、富の一極集中化がより大きくなってきたわけです。
 2002年6月20日には、この経済的な危機に拍車をかけるようなことが起きました。ドルとペソの交換制度が変わり、ドルが国内で自由に流通できるようになったからです。これにより法律も改正され、経済的な格差をより大きくするものとなりました。この制度の導入により、国内のドル化がさらに進み、それぞれの世帯のドルによる負債が増えてきてしまいました。企業もドルの負債を抱え、金利は高くなる。そして競争は激しくなるけれども、それに対する特定の施策がない。そういった問題や、メルコスールからいろいろ要求された条件などものまなくてはいけない。隣国アルゼンチンの経済危機などにも影響されいて、賃金レベルは35%も低下し、ドルに対するペソの価値は70%も下がってしまいました。

PIT-CNTの活動

 PIT-CNTの直面する問題は、失業、賃金の下落、労働者の組織化など多くの問題を抱えています。若年労働者の国外流出を食いとめることも大きな問題です。ここ数カ月の間に、5万4,000人の高学歴の労働者が国外に流出したと言われています。
 このような状況の中で、労働者・国民の生活、特に食糧問題に対処をすることが、PIT-CNTでも緊急の課題になっています。現在、労働組合などが運営をしている食料配給所で配給を受ける女性や子供は、10万人に上ると言われています。
ウルグアイの自殺者数は、ラテンアメリカでも一番高い数値です。高齢化も進んでいます。
 PIT-CNTでは、35の提案事項を掲げた要求書を政府に対して提出しました。しかし残念ながら政府はそれを無視しています。このような状況の中で、労働組合は他の市民団体などと共闘して、現政府に代わる勢力を応援し、そのような勢力が政権を樹立できるようにすることです。これは暴力でできることではありません。民主的な手段によってなされなくてはなりません。できるだけさまざまな関係者がかかわり、議論ができるような機会をつくらなくてはいけない。そのような中で、できるだけ多くの人々のコンセンサスを得て、様々な政策提案ができるような、そういった機会をつくりたいと思っています。
 最近の活動としての話になりますが、平和を求めたデモを2月15日に行いました。そして、自由貿易協定に反対する国民投票、鉄道、水道、石油、通信事業の民営化を問う国民投票も要求しています。5月1日のメーデーの活動、特に3次産業における労働者の組織化、民間部門の労働組合に対しては団体交渉権を保障し、公共部門の労働者に対しては団体交渉権を与えるという法律をつくる要求も行なっています。そして最後に全国大会を開いて、私たちのこれからの活動計画を策定する予定です。