2000年 ウルグアイの労働事情

2000年11月8日 講演録

マルセロ・アブダラ
ウルグアイ金属労働組合事務局長兼PIT-CNT 執行委員

 

ウルグアイの概要

 できるだけ簡潔に、自分の国、自分の組織の状況を説明したいと思います。まず、一般的な説明として、ウルグアイは人口約300万人ですが、この数は近年あまり変化がありません。識字率が高く、民主主義の国です。その中で独裁時代もありましたが、独裁政権が国会を解散し、さらに自分たちの力を強めようとしたときに、15日間のゼネストを行って、抵抗を示したという歴史もあります。
 1985年に民主化し、この民主化というのは今のところ、国民の期待にはあまり沿えていないようです。経済政策の失敗、市場を開放したことによる産業への影響、インフレ率の上昇、それによる経済の停滞、富の偏りなどが生まれています。現在でも、その状況は変わっておらず、経済成長も低く、マイナスの成長が続いています。外国からの資本の投入、
観光業による外貨の収入などがあってもなかなか回復することができません。
 さらにウルグアイはメルコスールという南米共同市場に加盟しておりますが、このメルコスールの加盟4ヶ国のネオリベラルな考え方もあり、なかなか地域全体での生産性のある活動を協力して行っていくという流れにはなっておらず、ただ単に、貿易の障壁を取り除くという、貿易関係の連合にとどまっているような状態です。
 ウルグアイの現状ですが、120万人の労働人口の中で、失業率は公称15%です。しかしながら、私たちは例えば、短期雇用の人たち、パートタイムの人たち、期間雇用の人たちなどの問題を含めると労働人口の約45 %が何らかの雇用の問題を抱えていると考えています。例えば、機械金属産業では、この6 、7年の間にそこで働いていた人たちの半分ぐらいの職が失われています。

労働運動の現状

 今、我が国の労働組合運動は、分裂の危機にあります。経営者側からの強い圧力によって、団体交渉などが形骸化しています。今のウルグアイには、憲法で権利として認められている自由な労働組合運動、そして団体交渉の権利が、実質的には認められていない無視されている状態です。ですので、私たちの労働組合運動は、非常に強力な経営者側の力と対峙せざるを得ない状況です。
 私たちの労働組合、ナショナルセンターは100年の歴史がありますが、3つの目的に集約されます。
 1つ目は、生産性の高い労働を求める全国的な運動の推進。2 つ目は、民営化を阻止するための緊急法の制定を求めるもの。この民営化というのは、政府の意思で行っているもので、労働者側の総意ではないというところを主張していきつつ、民営化の阻止に努力するというものです。3つ目は、国家予算の使い方ですが、今現在、国会で審議されている予算の配分を、より生産性の高い分野へ奨励、促進されるよう割り当てることを求めるというものです。
 産別組織である、私の所属する金属労働組合の目標は、同じく3つあります。サイエンスの分野の研究を深め、大学との協力関係や産学協同の協力関係を押し進めるというもので、特に公共企業と電機・機械・金属企業との連携をさらに促進していこうというのが第1 の目標です。この背景には、電機・機械・金属の製品をより多く求めているのが公共企業であるということがあります。ですので公共企業を通した国の高い購買力を通じて、我々の産業をさらに大きく成長させ、そしてこの産業から派生するさまざまな関連産業全体の力を押し上げていこうという目的があります。こういう連携がさらに強くなると、失業率もかなり改善されていくのではないかと、私たちは考えております。それに関連して、資料を持ってきました。1つは、このプロジェクトに対する提案、それから公共企業と電機・機械・金属企業との連携を強化するという意味での法改正案に対する提案ですので、JILAFに提出します。
 残りの2つの目標としては、崩壊させられて今はなかなか機能しなくなってしまった団体交渉の復活、それから未組織労働者を組織化する、加盟してもらうところに努力を注ぐというものです。そのために、私たちはナショナルセンターレベルでは、この経済危機で影響を受けた、あらゆる立場の労働者との対話を積極的に行い、さらに先ほど申し上げました、より生産性の高い労働に力を注ぐようにとの提案を政府に行っていき、また私たちの労働組合運動を、未組織労働者に広く普及していこうと思っています。
 金属労組としましては、具体的な活動が計画されています。例えば、さまざまな代表を国会に送り、そこで私たちの意見を聞いてもらうということ、そのためのベースワークを行うということ、それから、経営者側との話し合いを頻繁に持つこと、そしてその話し合いの中で、より生産性の高い労働に力を注ぐように、短期的な目で生産活動を見ず、より長期的な広い視野に立って経営を行ってもらうようにという要求をすること、国民へ自分たちの活動情報の提供、公共企業の幹部との話し合いを持つこと、それと国立大学との協同作業を行うことなどです。さらに、今なかなか権利として認められなくなっている団体交渉の権利を回復するための署名運動をこれからも続けていくつもりです。これは11月末に手渡される予定です。
 税金の政策を変えるための働きかけを行うことがもう1つあります。というのは、ウルグアイでは、所得に対して税金が課されるのではなく、給料全体に税金が課される制度になっていて、労働者が払わなければならない税金の額がかなり大きく、労働者はそのために生活を維持することが容易ではなくなっているため、税制改定の要求を行うというものです。
 さらに、労働組合運動のリーダーや活動家を増やすための教育活動も進めていくつもりです。それは私たちの労働組合の新聞やベースワークなどを通じて、普及活動をしていくものです。さらに一般市民に対しても、情報提供、普及活動もしていき、それから国際的な活動に関しては、メルコスールの中の金属部門委員会、IMFの中の金属委員会などを通じて、他国の人たちとの連絡をさらに密にしていきたいと考えております。