1999年 ウルグアイの労働事情

1999年10月20日 講演録

運輸労働組合連盟
エドアルド・ファビアン・ペレイラ

書記長

 

ウルグアイの概要

 地理的には、南米の南東部に位置し、ブラジル、アルゼンチンと国境を接しています。国土の面積は18万6,928平方キロメートル、領海の面積が12万5,000平方キロメートルあります。そして、気候は温暖から湿潤の亜熱帯気候まであります。そして、1年中均一に雨が降ります。我が国のエネルギー生産は、ほとんどが火力発電です。水力発電はウルグアイ川とネグロ川より行っています。国土の90%が牧畜農業として利用が可能です。人口はおよそ320万人で、その90%がヨーロッパ系です。残りの10%が黒人や混血系となっています。
 人口は15歳以下が27%、15歳から59歳が57%、60歳以上が16%となっています。10歳以上の国民の90%は読み書きができる識字者です。そして、国の義務教育制度は非宗教で無料で行われています。労働力人口のうちの40%、つまり50万人が雇用の問題を抱えているとされています。つまり、15万5,000人が失業者であり、8万人が潜在失業者、18万人が不安定な雇用であり、9万人は家政婦などの家事労働をしています。また、74万人が貧困状態であるとされ、労働者の45%が労働市場に参入することに大変不安定な状態になっています。

90年代のウルグアイ

 90年代のウルグアイの社会は、ネオ・リベラル的なイデオロギーの集中と排除が特徴づけられる政治社会、経済モデルが広まっていました。このモデルが社会の大きな分裂を招き、国民の多くは経済成長の恩恵を受けることができず、国内の生産手段は破壊されたと言ってよく、特に農業や製造業の荒廃が目立ちました。そして、医療や教育、住宅等の社会政策はお金を持っていなければ利用できないものとなりました。そして、国民が国政に参加できる道が閉ざされ、国家の政策はすべてマクロ経済的な均衡をとるという目標のみに集約され、多くの国民の生活が犠牲になりました。たとえば我が国の国家予算の中で、教育と医療、住宅関係の予算というのは5%しかありません。ユネスコによりますと、教育だけでも5%の国家予算が必要だと言われています。まだ労働市場に関する規制がないため、権利が行使できない状態にあり、不安定な雇用状態にあると言えます。
 ブラジルの自国通貨レアルの切り上げに端を発した危機により、我が国の保護を受けていない生産部門が打撃を受けました。今のような経済政策では競争力が失われるため、状況は深刻となり、企業が倒産し、農村の生産者は仕事をやめて都市周辺部へと移動するようになり、失業保険を受ける労働者が増え、給料は減額となりました。常に労働者が経済危機の犠牲を強いられることになります。農村部の生産者や輸出産品の生産者、自営業者、また、国内市場の停滞により国内市場で商売をする人も被害を受けることになり、ますます多くの国民がこの危機による犠牲を強いられることになります。
 1985年に民主主義を取り戻して以来、まずパイを大きくして、その後分配することが大切だと言われてきました。1986年、1988年、1992年、1995年と富のなるべくよい分配を求めるごとに、まず、パイを大きくしてから分配という、この言葉が繰り返されてきました。1985年以降、国の富は60%増えましたが、分配される額は同じままです。85年以前は15年間の独裁政権が続き、かつてないほど富の集中が進みましたが、現在でも85年と同じ不平等の状態が続いています。つまり、経済は成長したのですが、雇用の数や給料は増えていないということです。

メルコスールとブラジル通貨危機の影響

 これからメルコスール南米南部協同市場と統合の説明をしたいと思いますが、今までは労働組合運動の活動やさまざまな労働組合の大会の決定を尊重しながら、私たち独自の提案により、私たちは地域統合のプロセスに参加して討論してきました。しかし、これは今、行われているような貿易的な統合ではなく、国民の生活水準を向上させ、民主主義を強化させるような統合を目指していました。生産や社会を推進させるために、国家や民間団体が統合のプロセスに参加してきました。このような活動というのは、現在、ブラジルで起こっているような失業やさまざまな分野の深刻な経済危機といった、この統合に対する新たな危機に対処するために現在生まれている企業の競争力だけの強化や、自由な市場形成のみを目指す地域モデルとは反対のものであるということは確かです。
 メルコスール加盟諸国の間で合意を推進する必要があると思います。これは貿易だけにとどまるのではなく、生産的かつ部門別のマクロ経済政策に必要な調整作業を重要なものから行う必要があります。政府の構造を強化させて、ある問題が発生しても、それが危機的な状態をもたらす前に対処できるようにすることが必要ですし、社会全体に影響するような決定を下す前には、すべてのレベルに相談できるようにする必要があると思います。メルコスールは、貿易面での覇権主義を克服して、統合のプロセスを建設し、経済や生産的なセクターの補完関係を深めるものでなければなりません。メルコスール内すべてのナショナルセンターの行動統一を優先課題として推進させ、今では地域の労働者にとって基本的な政策手段となっているメルコスール内のナショナルセンターの調整を調和よく行いたいと思います。
 ブラジルの為替政策により生じたメルコスール地域の危機のもとで、メルコスール内にある労働組合組織のコーディネーターは地域の大統領との会見を申し込み、ウルグアイとブラジルの大統領が会見に応じました。そこでメルコスールを再確認することと合意を深める必要性があることを提案しました。
 ブラジルの通貨危機は、ウルグアイやアルゼンチンに2つの深刻な問題をもたらしています。これは特に、私どもからブラジルヘの輸出が難しくなってしまったということと、ブラジルの品物が安く私たちの国に入ってくるということです。そういった金融の問題が社会的な問題を生じ、特にアルゼンチン、ウルグアイでは雇用の問題をもたらしています。また、この2カ国は現在、政治的にもデリケートな時期にありますが、そのときにブラジルの通貨問題が起こったということです。つまり、ウルグアイ、アルゼンチンとも大統領選が行われる政権交代のときにあるのです。現在、経営側と政府側との間に対立が続いているので、私たち労働者としては、まとまって確固とした態度をとり、メルコスールの枠組みの中で作業することによって、この危機的な状況から脱却していきたいと思っています。

労働組合への抑圧とPIT一CNTの取り組み

 そして、現在の問題としては、労働組合の抑圧があります。経営側は大変古い考えを持っていて、一番いい労働組合というのは、労働組合が存在しないことだと考えています。また、ウルグアイはILOの協約をたくさん批准している国です。しかしながら、批准はされていても、実際は守られてはいません。そして、団体交渉ができないということがあります。現在、団体交渉がなされているのは強い労働組合を持つ20%の組織だけであり、政府もILOの条約を守っていません。例えば、131号というのは、国家最低賃金に関する条約ですが、これが守られていません。
 専門家の育成や社会保障ということに関しては、ウルグアイの労働組合は大きな役割を果たしています。これは参加や人材育成、また、作業を行うということで、いろいろな面で組合が大きな力を持っており、特に、社会保険銀行に対する協力も組合が行っています。
 PIT-CNTは国を代表するウルグアイ唯一のナショナルセンターです。組織化の問題や、現在、国が抱える危機的な状況による問題や基本的な政治活動に関連する問題など、いろいろな問題を抱えてはいますが、動員活動や提案によって、常に政治舞台の中心にいる組織と言えます。例えば、ことし3回24時間のゼネストを行っています。また、いろいろなほかの社会的な組織、農民の組織や学生の組織、年金生活者の組織との活動を繰り広げています。