2014年 ペルーの労働事情

2015年1月23日 講演録

ペルー統一労働組合同盟(CUT)組織部長
自営業者労働組合青年担当
アデラ・デイシー・ゲヴァラ・オラノ

 

1. ペルーの労働情勢(全般)

 ペルーは銅産業を中心とした資源輸出国であり、このほかには観光業が主要な産業となっている。
 ペルーにおける輸出向け原材料の採掘は、主に貧しい労働者や農民を不当に搾取することにより行なわれている。具体的な例として、石油の探査と採掘があげられる。ペルー南部のクスコ県では、アメリカの会社がカミセアでガスの探査作業を行なっている。しかし、賃金はアメリカで労働者に支払われる最低賃金とは比較にならないほど低く、ガスや石油の探査に従事する労働者に対する賃金は時給10ドル(約1216円)以上の支払いからは遠く及ばず、安全衛生、社会保障などの法律も守られていない。労働者が保護されていないだけではなく、環境保護もされず、作業場所が実質的な有害廃棄物の廃棄場所になっている。
 2005年から2010年にかけて、ペルー経済はとても好調と言われている。しかしながら、雇用は改善されていない。この間の雇用増は、インフォーマルセクター労働者、つまり、税金を払わない労働者が増えているということである。
 さらに、貿易赤字、国内需要の減少による国内産業の消滅、国内消費の減少を招いている。
(注)ペルーの最低賃金(2014年)は月750PEN(ペルー ヌエボ・ソル)で、約2万9453円。

2. 労働組合の直面する課題

 この10年間に労働市場参入者数は着実に増えているが、ラテンアメリカ諸国と同様に、若年層の失業率が高い。現在のオジャンタ・ウマラ政権は「若年労働市場アクセスおよび社会保護法」を推進している。これは若年労働者を雇用した企業に税の優遇策を提供するものであるが、名称に反して若年労働者を保護するものではなく、短期雇用で若年労働者を使い捨てにすることを認めるものである。これにより、安定した雇用が失われることから、労働組合加入者は激減している。
 ペルーの労働運動は弱く、組織率は8.65%で、ラテンアメリカ諸国の中でも最も低い国の一つである。労働組合の資金不足による組織の脆弱性は、労働運動が弱い最大の原因になっている。
 さらに、労働運動における深刻な問題として、組合員の世代間ギャップがある。1990年代にアルベルト・フジモリ大統領は、テロの撲滅に取り組み評価を得たが、同時に労働組合運動も撲滅しようとした。この危機により、労働組合幹部の世代交代が突如中断されることになり、90年代半ばには、30歳以下の労働組合幹部がいなくなった。このギャップが、世代間のコミュニケーションに悪い影響を与え、リーダーの交代を困難にしている。さらに、労働組合の上層部の派閥問題があり、これが不条理な分裂・対立を招いている。

3. 解決に向けた取組み

 ペルー統一労働組合同盟(CUT)は1993年の設立以来、労働者に深刻な影響を与える政府の政策の変更を求めて運動を進めてきた。たとえば、ILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)や、ペルーが批准した国際協定に基づく1979年制定の憲法第51条にある労働者の団結権、さまざまな法律で認められている団体交渉、労働協約締結の権利などを尊重する政策を要求してきた。
 その実現のため、デモを行なったり、ワークショップを開いたりして、賃金と生産性に基づいた戦略的な経済成長を提案し、常任委員会では議会に政府の提案を拒否するよう要請してきた。

4. その他

 ペルー経済の失速は世界経済危機によって、アメリカ、EU、アジア太平洋諸国、中国などの天然資源の購入潜在能力が減少したことによるものである。また、90年以降に行なわれた、例えば貿易の開放や対外貿易への依存、環境政策や労働の柔軟化、逆累進課税などは、ネオリベラル政策の完全な失敗によるものである。

*1ドル=121.62円(2015年3月12日現在)
*1ペルー ヌエボ・ソル=39.27円(2015年3月12日現在)