2008年 ペルーの労働事情

2008年12月3日 講演録

ペルー統一労働組合同盟(CUT)
ファン・ペドロ・チャン・カストロ

 

 ペルーの人口は約2,800万人、そのうち200万人が移民労働者としてアジアや北米で働いている。現在ペルーは政治も安定し、経済成長しているが、富の分配、社会経済の発展が適正に行われていない。
 2007年12月にアメリカと自由貿易協定が結ばれ、ペルーは新自由主義的な政治的な傾向が強まり、労働者の権利が更に制限され、雇用が不安定になっている。
 正規雇用が減り、労働者の基本的な権利が欠如する低賃金のインフォーマル雇用が大幅に増えている。
 労働人口の84%が中小・零細企業で働き、そのほとんどが不完全雇用(能力以下の仕事に従事している)・不安定雇用で低賃金で働いている。中小・零細企業の50%は家族経営のような企業で従業員10人以下である。
 ペルーでは、女性の参加率が最低30%にならないといけないと規約で決まっている。数ヶ月前のナショナルセンターの大会で決定した執行役員の女性が占める割合は、38.7%だった。しかし、これには色々と難しい問題もある。男性幹部になる適当な人がいない場合から女性を選ぶ、女性役員が一生懸命働こうとしても、職場や家庭の事情があって対応できない、リーダーとしての教育を受けていないなどの問題があり、なかなか女性リーダーになれないでいるのが実情である。我々は、女性が高い能力を持ってきちんとリーダーとしての役割を果たすことができるようサポートしていかなければならないと考えている。
 毎年35万人の若者が労働市場に参入するが、新規雇用は毎年25万件しか生まれない。こうした雇用のほとんどがパートや短期雇用であり、低賃金で商業や一次産業の仕事が多い。
 また、多くの多国籍企業が資源開発分野に進出しているが、ハイテクを使い操業しているが、環境破壊を招きわずかな雇用しか生まず、企業の利益に偏り労働者に不利益な政策となっている。われわれ労働組合は、労働者に不利益なこのような政治・経済に対してディーセントワークを求めて変えていくために活動している。
 このような問題を解決していくためにも労働組合の強化と統合が必要であり、それと同時に労働組合内部の改革も進めている。特に労働組合の近代化、若年層のリーダーの養成が重要と考えている。そのため、若者やサービス部門、インフォーマル部門、自営部門などの組織化や組合参加のキャンペーンを行っている。
 また、労働総合法を作るために活動を積極的に推進している。ペルーには、労働関係の法律が細かく分かれており総合的な法律が存在しない。細かい法律だと労働者に不利になってしまうので、法律を1つにまとめる必要があると考えている。
 もう一つ必要なことは、労働組合のグローバル化、つまり労働組合に統合ということが必要だと考えている。

2008年2月6日 講演録

ペルー統一労働組合連盟(CUT-PERU)
アルフォンソ ヘルナン ガンボア プリセニョ

組合員兼CUT-PERU青年・高齢者アドバイザー

 

 ペルー労働運動には4つのナショナルセンターがあり、CUT-PERU(ペルー労働組合連盟)はその主要な1つの組織である。労働運動の今日的な課題をあげると、[1]人口の80%近くを占める自営の労働者全員をナショナルセンターに加盟させるべく努力している。彼らに社会保障を始めとするあらゆる権利を認めさせ、ルール化すること。[2]労働一般法および公職雇用法の承認および施行を通じ、民間企業および行政の労働者の労働権を回復する。[3]労働者の企業との直接契約の復活を要求し、雇用の安定化を図る。[4]国際的な貿易条約の基本権利に関する労働条項や企業の社会的責任の矛盾の解決に関する項目に参画する。[5]ペルーの労働運動と国際的な労働運動との連携を強化し、国際的な連帯行動や、直接的な労働運動展開のための協力行動を強化する。
 次に多国籍企業における労働問題については、[1]多国籍企業における雇用関係は、派遣、請負などの雇用などが中心なため、きわめて不安定な雇用状況におかれている。[2]労働組合の組織化は、極端な制限に特徴づけられ、組織化に取り組む労働者の解雇事件も多い。一方、産業別の集団交渉への体系的な抵抗があり、何年も交渉が続きながら解決されていない事例がある。[3]鉱業関係など、労使紛争が多発している。これは、労働関係の不安定さの露呈と、90年代から尾を引いている実質的な賃金凍結状態に端を発している。