2001年 パラグアイの労働事情

2001年9月26日 講演録

パラグアイ中央統一労働組合(CUT)
アベルルシオアマリジャ

全国商業労働組合中央執行委員

 

 1989年に、エストロ・エスネル軍事独裁政権が崩壊しました。この後に民主主義が生まれました。そしてこの時期にたくさんの労働組合が結成され、CUTもこの1989年に設立されました。

国内の状況

 我が国の政治・経済・社会情勢について、この3年間のお話をします。隣国の状況とは大きく違っています。政治的に大変不安定です。特に1993年からは不安定な状態が続き、民主主義がきちんと実行されていないので、もう社会は爆発寸前の状況になっています。
 現在の政権はゴンサレス・マッキー政権です。この政権は3大政党の合意による連立政権として生まれました。そして、この政権は1999年3月に大きな労働運動が起こって、その後に生まれた政権です。
 そして、アルガーニャ大統領の暗殺事件が99年に起こりました。そしてこの暗殺事件により、クバス大統領が辞任しています。その後に2大政党の対立が起きました。というのも、以前にオビエド将軍がクーデター未遂事件を起こして10年の禁固刑に処せられましたが、この将軍を釈放してしまったことで、大きな政治対立が起きました。
 経済状態は、必要な対策がとられていないので、大変不安定な状況になっています。またそれと同時に、政治的にも不安定な状況です。それは、現在の政権に正統性が欠けるからです。ただし、最高裁判所は、現在の政権は2003年4月までは継続していいという承認を出しています。
 多くの国民が随分前から不満を持って生活をしています。このように、国内の混乱状況に加えて、いろいろな外国からの要因も加わっています。我が国は大変経済が脆弱であり、特に経済が輸出に頼っているところに原因があるとも言えます。
 そして長期に渡って景気後退が続き、失業者が増加し、政府の基盤が脆弱であり、民主主義の伝統がなく、国民が希望を失っていて、安全でない国というのが現在のパラグアイの社会・政治・経済状況であると言えます。
 緊急対策をとらないと、国内情勢は爆発的な状況に耐えられなくなるものになると思います。
 これにつけ加えて、現在、農民が主要道路の封鎖を行っています。例えば、1つの町の住民が総じて立ち上がるような運動も起こしています。ですから、社会が爆発的な状況になっています。このような状況になったのも、政府の統治能力がないからだと言えます。そして現在、ブラジルとの国境が一部封鎖されています。

CUTの活動方針

 民主主義に移行している社会ではどこでも、労働組合の目的は労働法の遵守に置かれると思います。今年の優先課題の1つは、法律の遵守、特に政府に監督をきちんとしてもらうようにさせることが挙げられます。また、ストなどの行動面や、団体協約などの交渉面で、政府が対応してくれるように、継続的に闘っていくことです。
 CUTは社会保険改革に対して、国際機関が提案しているような個人年金制度には反対で、公平な分配のできる社会保険制度を維持していきたいと思っています。
 国際関係では、南米南部労働組合連合の中で活発に活動していくことや、世界の労働組合と接触していくことを、主な目的にしています。この南米南部労働組合連合ですが、ここには南米の主要なナショナルセンターが参加しています。ブラジルからはCGT、CUT、FSが参加していますし、アルゼンチンではCUT(労働総同盟)が参加しています。またウルグアイのPIT-CNTも参加していますし、ボリビアのCUT(労働総同盟、)チリのCUTも参加しています。
 次に、目標を達成するために行っている活動ですが、まず、労働法を守らせるために公に訴えたり、裁判に訴えたり、強制力のある手段をとったり、ILOに訴えたりと、いろいろな活動を行っています。この作業は大変難しい作業ですが、ますます重要になってきています。一番の問題は政府に意欲がないことや、政府に予算がないこと、そして政府の監督能力が弱いことなどが挙げられます。
 CUTが目指している社会保険の改革は、労働組合やほかの諸団体との間で統一行動をとって、社会保険庁、IPSという機関ですが、これを守るための統一戦線をつくっていきます。
 組合員の育成については、多くの組合員が国内レベルや国際レベルで教育関連の行事に参加しています。また、使用者に大変有利になる、零細中小企業関連法という法案が、現在審議されています。これについては国会で活発にロビー活動を行いましたが、成果は上がりませんでした。そこで行政当局に訴えて、拒否権を行使させることに成功しています。