2007年 ガイアナの労働事情

2007年10月10日 講演録

ガイアナ労働組合会議(GTUC)
モニカ フランセス スミス

会長・書記長補佐

 

国の概要

 ガイアナは南米大陸の北部、大西洋に面し北西にベネズエラ(スペイン語圏)、東にスリナム(オランダ語圏)に隣接している国である。ちなみにスリナムの隣は、仏領ギアナでフランス語圏である。長い植民地争いの末、フランス、イギリス、オランダの3国がこれらの国々を分割統治した歴史的経緯がある。1834年に奴隷制度が廃止されると砂糖工場の労働者として多くのインド・パキスタン人が移民してきた。ガイアナは1966年に英国から独立したが英連邦には残った。人口約77万、インド系住民51%、アフリカ系住民43%の多民族国家で英語を公用語とする。農業・林業・漁業が、米・砂糖の生産とともに国の経済を支える重要産業となっている。豊かな木材資源は森業の成長を促進する。また金、ボーキサイト、ダイアモンドなど鉱業も重要である。

労働運動

 ガイアナ労働組合会議(GTUC)は今年で結成70周年を迎えた。加盟組合13、組織人員約65,000人。最高決議機関は3年ごとに開かれる大会。その下に評議員会、中央執行委員会がある。中央執行委員会は会長が議長となって2週に一回は開催されるが執行長は書記長である。各種専門委員会はコーディネーターとして選出された中央執行委員が担当する。労使関係委員会、教育委員会、組織委員会、職場における労働安全衛生委員会がある。さらに政治、経済、住宅、協同組合の委員会がある。また女性労働者諮問委員会、青年運動の拠点として青年委員会(youth arm)がある。女性と青年の両委員会は大会への代表権が与えられている。2007年10月の大会で委員長、書記長とも交代する。

政党と人種

 労働運動は常に政治の動きに左右される運命にあるがガイアナにおいては政党と人種との関係が極めて強いために政党間の対立は人種的対立になる。政情不安から1992年の総選挙は国際監視団の下で行われている。このような不安定な政治情勢は労働組合の役割と機能に甚大な影響を与える。

 現在の与党は2006年8月の総選挙で勝利をおさめた人民進歩党(PPP/C)でインド系との結びつきが強い。一方、野党の人民全国会議党(PNC)はアフリカ系住民が強力に支持している。政府や政党と同盟的な関係にある労働組合は組合としての独立性をないがしろにしている。組合員のことより政党を優先しているともいえる。1999年に3日間のゼネストが敢行された時である。政府・与党に近い2つの組合が戦列から離脱したのである。このゼネストは公務員労組を支援するものであった。平和的にピケをはっていた公務員が警官の銃撃を受け負傷したことに対して抗議、ストに突入した公務員を支援するものであった。

政府と労働組合

 政府は過去7年間に公務関係労働者の賃上げを一方的かつ独断的に行っている。これは公務関係の4つの組合との労働協約に違反するものである。政府は2002年以来正当な理由もなく労組会議への補助金を中止している。労働関係の法律の改正も労組会議との協議もなく断行しようとしている。組合承認と認証に関する法律がそのいい例である。この改正案の狙いは政府が労働組合、最も組織人員の大きいガイアナ労組会議と協議しなければならないという項目を撤廃することである。ガイアナ労組会議は登録済み労組16のうち13を代表している。