2008年 エクアドルの労働事情

2008年12月3日 講演録

エクアドル自由労働組合総同盟(CEOSL)
ナンシー・オルティス・アシムバヤ

 

 エクアドルは法のもとで国民の権利を有する社会的国家であるが、必ずしも権利が尊重されるわけではなく、企業の利害が優先され、多くの場合企業が支配権と政治権力を不当に保持している。
 エクアドルの人口は、約1,200万人、経済活動人口660万人である。労働機会の不足により約350万人が移民として国外に流出している。経済活動人口の成長率は年率3.5%で、毎年約19万件の雇用が生み出されなければならないが、わが国では不可能である。そのため、多くの人がスペイン、イタリア、フランス、アメリカなどへ雇用の機会を求めて移動している。移民労働者たちのもたらすドルでわが国は2000年に国の通貨をドル化した。
 矛盾しているようだが、約80億ドルの損失をエクアドル国民に対して生んだ金融危機の後、2000年に施行したドル化を支えているのはこれら移民エクアドル人たちである。
 そして、労働力不足、不安定な雇用と低賃金が約70万人の児童労働を存在させている。仕事で疲労困憊のため、彼らの多くは勉強をしていない。国民の関心を喚起するキャンペーンで働く子供の数は減っているが、少なくとも最悪の形態の児童労働を根絶するにはまだまだ足りない。
 エクアドルの労働運動の課題は、対立ではなく労使対話ができるような環境を作るために労組指導者と企業幹部の考え方を変える必要だと考えている。雇用を生み出すための変化には合意、信頼、そして公共、民間への投資の安全性が必要だからである。労働者に対する企業家からの不当行為の抑制においては、進展はあったと我々は考えている。
 それは9月に可決された新憲法を通じて労働問題の介入、派遣労働、継続的な仕事に対するパート労働契約が禁止されるようになったからである。
 我々労働者は、ビジネスのための単なる道具ではなく人間である。したがって、公正な扱い、ディーセントワーク、そして人並みの賃金が必要なのだと認めるときがやってきたと考えている。
 憲法改正となったいま、労働組合を強化し、それにより組合内の民主主義も拡大し、執行部への女性参加を認め、組合の構造を近代化し、より結束し、連体し、社会に対する責任を持つ組合にするための時がやってきた。
 そのためには、内規を変え、労働者の個人加盟ができるようにし、自己負担による労働者の組織化や女性組織も可能にした。
 また、ITUCの統合やTUCAの大陸的統合を受けて、CEOSLとCEDOC-CLAT(エクアドル労働者階級連合:旧WCL系)との統合の見通しもある。

2008年2月6日 講演録

エクアドル自由労働組合総同盟(CEOSL)
ロサ アルグド コロネル

書記長兼社会保険労働組合書記

 

 エクアドルの人口は1,340万人、一人当たりGDPは2,840ドル、経済成長率は3.5%失業率は9.3%(いずれも2006年)である。
 この20年間、政府は公共財政を改善するために税制改革を行い、サービスを近代化するために民営化を進めてきており、現在結果が出始めている段階である。また、資本の開放および民間運営により銀行、電話、電力の近代化が行われている。エクアドルの主な輸出産品は石油である。石油生産は過去10年間連続して減少してきており、現在日産20万バレルになっている。現政権は多くの国営の石油採掘所を民間に開放する計画を発表した。金融システムについては、1999年に最悪といわれる危機にみまわれ、10以上の銀行が閉鎖された。4年間の集中的な健全化プロセスの後、金融システムは回復し、現在は世界の金融機関を規制しているBIS規制にそって運営されている。
 雇用労働情勢は非常に厳しい。2007年の失業率は過去数年間で最も高く13%になった。不安定雇用率は43%、潜在失業率は18%になっている。アメリカやヨーロッパに移民する人が増加している。派遣労働や時間給労働は不安定雇用をもたらし、経済活動の活性化を妨げている。不安定雇用労働者の収入は低く、国や政府が目指す個人消費の拡大による経済成長とは矛盾することになる。消費を促すには安定雇用が必要であり、その欠如は仲介・派遣雇用を増加し、これが国の社会問題の一部となり、ますます経済社会が悪化することになる。
 仲介・派遣雇用は労働の権利と保証およびその実行を規制することになる。さらに労働の権利を保証している国際条約や憲法の規定に相反することになる。つまり、これは憲法違反であり、国際条約を侵害するものである。また、仲介・派遣労働者を雇用する経営者は社会保険への加入を行っていないことも大きな問題である。
 政府の提案の一つは、エクアドルでの派遣労働をなくすことであった。労働は生きる権利であり、市場目的のために利用されてはならない。国民や労働組合の闘いに与する議員達は、労働の権利などが明確に保証されている憲法の中でこのテーマを取り扱う際、重要な役割を果たすことになる。派遣労働は90年代初頭にエクアドルで採用されたネオリベラリズムによりもたらされたものである。派遣労働をなくすことは、エクアドルの貧しい国民の福祉を犠牲にして利益を得ている経営側の非人間的な行為がなくなることを意味する。エクアドルでは、労働者の三分の一のみが安定雇用の正規雇用であり、派遣労働者は80万人にも上っている。
 CEOSLの現状は、ハイメ・アルシニエガ前会長は経営側の人間であり、CEOSLに問題をもたらし、エクアドルの労働運動を破壊した。しかし、エドゥアルド・バルデスとロサ・アルグルドが率いる現在の労働者グループは、エクアドルの労働運動が常に有していた尊敬や名誉を確実に回復しつつある。