1998年 エクアドルの労働事情

1998年9月24日 講演録

エクアドルナショナル・テクスタイル社労働組合
ラウル・オズワルド・トゥボン

書記長

 

経済社会事情と労働者の生活

 ここ数年間、エクアドルはある意味での危機を生きてきました。政府の中でかなりの汚職が見つかってきたからです。1997年2月5日の段階で、前大統領のブカラン氏の周辺から大変な汚職が見つかったことで、大統領追放となりました。そして、大統領代理となったファビアン・アラルコン氏は、組合活動に対して、かなり対抗的な態度をとった人物です。私たちとしては、この新しい大統領が、労働組合に対して対話の姿勢をとることを期待していました。しかし、現在は、調整対策をとられる状況になりました。つまり、前政権にかなり財政的な混乱があったことで、今の財政が非常に逼迫していること、そして、エクアドルの通貨のスクレが、ドルに対して15%、価値が切り下げられたという現状があるからです。今まで、労働組合の人間、労働者としては、何らかの補助金というものがありました。基本的な給与は、大体10万スクレです。また、給与のほかにボーナスと補助金で72万スクレで、全部で82万スクレを実質的には受け取っていました。
 実際に、家計調査を行って、家庭の消費がどのぐらいかかっているかという調査をしました。そのときには、120万スクレが家計費にかかっているという数字が出ています。つまり、我々が実際にもらっている給料、所得とかなり大きな差がありました。それにもかかわらず、政府が、前に出していた補助金を打ち切るという方針を出しました。また一方では、ガスボンベが15キログラム、4,900スクレだったものが、2万5,000スクレに上がってしまったという、公共料金値上げもありました。別の公共料金の値上げのケースを言いますと、1キロワット当たり129スクレであった金額が490スクレという金額に上がって、要するに、経済活動自体にも非常に支障が出てくるようになったわけです。

失業とナショナルセンターの統一

 雇用の話に移りますと、実際に、労働力人口は450万人いますが、そのうち15%が完全失業者、48.2%が不完全失業という形になっています。ナショナルセンターは5つあり、私が今回代表してきていますCEOSL、そしてCTE、CEDOC-CUT、CEDOC-CLAT、UGTEという機関があります。
 私が今回代表してきましたCEOSL、エクアドル自由労働組合総同盟ですが、目指しているのは、1つのナショナルセンター、そして統一のあるナショナルセンターをつくることを方針に掲げており、また政府と協定を結ぶという方向で動いていて、数回前の協議からそちらの方向に向かって動いています。
労働者を1つにまとめるということは非常に大事なことだと思っています。といいますのは、政府側、また民間の企業からの圧力を、一丸となって受けとめていくことができると言えるからです。
 唯一、統合的なナショナルセンターをつくるという方向で、次のように、幾つかテーマを掲げています。まず国の現実問題をきちんと把握する、民主化を促進する、労働者を組織していく、貧困のセクターをカバーしていく、社会保険の問題、そして協調の政策をとっていく、教育を強化する、資源を有効利用する、そして、このCEOSLという組織、エクアドル自由労働組合総同盟の地方分権化を図っていくということです。そして、総同盟の中に3つの戦線というものをつくっています。女性のための戦線、若者のための戦線、人権擁護のための戦線という方針があり、これはすべて働くものの権利を守るという方向で動いています。

労働組合と政府との対話

 今現在、政府と進めている社会対話、社会協約の中で、雇用を増やしていく方向で動いていますが、雇用を増やす分野としては、アグロ・インダストリー、観光業務、中小企業、そして手工業の分野です。それを国家促進基金を使ってファイナンスしていくという話をしています。労働大臣自身も、社会対話、社会協定というものが再び根づくことを期待していて、特に教育の分野、職業訓練を国の訓練機関を使って行っていきたいと表明しています。そして、統一給与を支払うことです。いわゆる、基本給のほかに食費とか扶養手当がついているのですが、分野によって金額が違うのでそれを統一していこうという方向で動いています。それと、退職金のための基金というものをつくることです。退職する段階で、企業からの退職金がなくならないような措置をするための基金の設置です。このようなシステムを構築するために、5ヵ月かけて対話を行っています。そのテーマの中心は社会保険、雇用、教育訓練、労働関係の柔軟化を含めた労働関係の近代化、そして先ほど話した給与の統一ということです。