2017年 コロンビアの労働事情

2017年10月20日講演録

コロンビア労働組合連盟(CTC)
マリア フェルナンダ ポッス カストリヨン
(Ms.Maria Fernanda Possu Castrillon)

コロンビナ全国労働組合コルカウカ支部 相談委員会メンバー

マリア コンスエロ バウティスタ コルメナレス
(Ms.Maria Consuelo Bautista Colmenares)

コロンビア銀行員労働組合 男女若年平等局長

 コロンビア労働組合連盟(CTC)を代表して下記の参加者がレクチャーした。

  • ・マリア コンスエロ バウティスタ コルメナレス
 

1.労働情勢

 実質GDPは、2015年が3.1%、2016年が2.0%である。
 物価上昇率は、2015年が6.8%、2016年が9.8%となっている。
 失業率は、2015年が8.0% 、2016年が8.7%である。
 最低賃金(時間額)は、2015年が2,684ペソ、2016年が2,872ペソ、2017年が3,073ペソである。なお、直近の為替レートは1ドル=2,950コロンビアペソとなっている。
 法定労働時間は、1日8時間、週48時間である。

2.労働組合を取り巻く困難な状況

労働者のおかれた環境

 コロンビアは世界で3番目に格差の大きな国である。国の富の20%が限られた人々に集中している。
 ネオリベラルの時代が90年代にあり、国の公共サービスの99.9%が民営化された。この中には、医療や社会保険、年金なども含まれる。
 そして、労働人口2,216万人のうち61.6%が社会保障の恩恵を受けていない状態にある。また、73.8%の人々が不安定雇用の中にあり、彼らは社会保険、社会保障の恩恵も受けられず、労働組合に入ることもできない実態にある。ちなみに、15歳~24歳の若者の21.2%がNEET、つまり、就学・就労しておらず、職業訓練も受けていない状態にある。
 なお、2016年10月~12月のデータで、週15時間以上の家内労働を行う児童と青少年を含む拡大児童労働率は12.5%にも及んでいる。

コロンビアにおける社会保障の実態

 医療と年金に関する加入状況の特徴として、雇用のインフォーマル性に起因し、その疎外率が高いことが挙げられる。2016年には就業者の35.5%しか医療・年金制度に加入していない。ちなみに就業者中61.6%が総合社会保障制度(医療・年金・労災・退職・遺族補償)から疎外されている。
 年金制度は定額または配当型給付の公的年金制度と個人年金貯蓄制度の二つの枠組みに基づいているが、定年に達した人の35%しか年金を受け取っていない実態にある。

労働組合運動がおかれた困難な状況

 コロンビアの労働組合メンバーは102万人で組織率はわずか4.6%にとどまっている。
 労働組合は政府から抑圧されており抗議行動なども騒乱対策として弾圧されている。
 1973年から2017年3月までの間に労働組合リーダーに対する攻撃が14,400件もあり、うち3,100件余りが暗殺事件となっている。2016年も組合活動家に対する侵害活動が続き、268件の侵害が報告されている。うち19件が暗殺、17件が襲撃、188件が脅迫となっている。
 スト権も公共秩序を乱すものと見做され、労働者の正当な権利として認められていない。このような労働者の権利の侵害に対する提訴を裁判所に持ち込むと、大抵は経営者側に有利な判決が出されている実態にある。2012年~2015年の間の労働組合活動の侵害に関する220案件中76%に対して権利を否定するか立件しない、管轄外の宣言がされている。
 コロンビアはこの50年間内戦状態にあったが、この50年間がコロンビアの労働者にとって最悪の時期だったといえる。
 コロンビア政府が労働組合活動を重視していない事例として、最近行われた政府と労働組合(ナショナルセンター)との話し合いをみてもよく分かる。そこでは、最低賃金の引き上げなどについて話し合われたが、その話し合いは決裂し、政府は、一方的に政令で最低賃金額を宣言したのである。この政府が政令で定めた最低賃金の上昇額は消費者物価を上回るものではなく、こうした状態が6年も続いている。

世界各国からの連帯を求める

 こうした状況に対して、労働組合は何らかのアクションを起こさなければならないと思っており、そのためにも世界各国の労働組合からの連帯が必要である。その連帯を背景に政府に対してに働きかけを行い、労働者の権利、とりわけ、団体交渉を行う権利、労働組合を組織し加盟する権利を確保していきたい。