2009年 コロンビアの労働事情

2009年9月4日 講演録

コロンビア労働組合連盟(CTC)
ラウル・エンリケ・ゴメス・ベラスコ(Mr. Raul Enrique Gomez Velasco)

国家公務員労働組合連合 委員長兼CTC北サンタンデール地域委員長

 

 コロンビアは、60年前から国内における内戦が続いており、特にゲリラ、麻薬組織、民兵による暴力の横行などによって国内の社会不安が増大している。そのため南米の中で唯一まだ治安が安定していない状況にある。
 労働状況に関しても、国の社会・政治情勢に左右されている。政府は治安対策を優先し、ゲリラ対策や麻薬組織対策に没頭しているため、なかなか労働関係の状況が改善されない。要するに政府にそこまでの余力がないのが実情だ。それが労働を不安定な状態に陥れ、その結果として低賃金、不完全就業が生じ、雇用、社会保障や教育といった問題に関する意思・決定の場から労働組合が排除されている。
 1991年に憲法改正が行われた。この改正の一番重要な点は基本的人権に関する見直しが行われたことである。25条の労働権、39条の組合権、48条の年金に関する法律、また55条、56条の国民の権利を守る、団体交渉に関する権利も見直された。
 今の労働法は、民間セクターに関する法律と公的セクターに関する法律とに分かれている。民間セクターに関しては、1951年に作られた法律行動を再編集した形でまとめられている。
 2002年に労働市場改革が現政権のウリベ大統領の下で行われた。この改革により、今まで勤務時間が朝6時から夕方6時までと決まっていたものが、朝6時から夜10時までに延長され、1週間当たりの労働時間も48時間となった。このように長時間勤務になったにもかかわらず、賃金はほとんど上がっていない状況にある。
 公的セクターでは、民営化が着々と進んでいるが、団体交渉権は認められず、賃金もほとんど上がっていない状態にある。
 労働組合に関する法律は、非常に整備されているが実際には正しく適用されておらず、組合活動を行ってもなかなか良い成果が得られず、効果的な活動が行われていないのが実情である。
 コロンビアでは、労働組合運動は国家と企業の敵とみなされ、政府は組合運動と武装グループを結びつける敵対的な発言を続けている。多くの組合リーダーがさまざまな圧力や脅迫を受けて、今年に入ってからだけでも18名の組合リーダーが暗殺された。私も、2年前にターゲットになり襲撃されそうになった。
 企業、労働組合、政府の三者による会合の仕組みがあるが、実際はそれが機能し、成果を上げているか、非常に疑問であり、問題だと考えている。

コロンビア労働組合連盟(CTC)
ジェセニア・マルガリタ・オカンポ・バリオス(Ms. Yesenia Margarita Ocampo Barrios)

アトランティコ州労働組合連盟 書記長

 

 コロンビアの状況は、秩序が安定していないことが大きな問題となっている。その中で労働組合としての最大の課題は、組織拡大である。より多くの人間を動員することができれば、労働界や国、そして社会全体にとっても非常に大きな力になると考えている。そのような意味でも政府や国民に対して労働組合のイメージを変えていく努力をしなくてはならない。なぜならば、政府は労働組合が国民の敵であると宣伝しているからである。
 また、雇用を確保するためにもディーセントワークの達成に向けて努力していかなければならない。最も重要なことは、労働者の生活の質を安定させることである。
 また、三者構成の対話も推し進めていかなければならない。社会対話を実現するためには三者構成であることが重要な鍵になってくると思う。
 長期的に考えると、労働者の権利をしっかりと確保していく必要がある。労働者の権利を保障することは、生活の安定のためにも必要なことである。また、そのような中で雇用を安定させる努力をしていかなければならない。現在の政府は軍事方面にばかり力を注いでいるが、雇用安定に重点をおく政策も進めてもらえるよう努力する必要があると考えている。われわれは、ディーセントワークが達成できるよう、さまざまなキャンペーンを繰り広げている。社会対話を実現させ、三者合意を達成するために力をあわせなければならない。そのためにもいくつかのナショナルセンターが国を変えるために努力して統一する必要がある。
 一方、組合リーダーの育成も重要である。社会対話の重要な当事者になるためにも、そして政府の態度を是正するためにも、組合リーダーの育成に力を入れていく必要がある。
 また、ILO、ITUCなどの国際組織に積極的に働きかけ、コロンビアの労働事情を広く知ってもらうための活動も行っていかなければならない。コロンビア内部の問題を外からの支援を受けて解決していくのに役立つと考えているからである。
 コロンビアでは9月に全国的に大規模なデモ行進が予定されている。これは、3つのナショナルセンターが力を合わせた成果として全国レベルで行われるもので、一つの明るいニュースと言うことができる。