2006年 チリの労働事情

2006年2月15日 講演録

チリ中央統一労働組合(CUT)
Ms. Maria Angelica GARIDO ARANEDA
マリア アンヘリカ ガリド アラネダ

女性支援開発基金全国労働組合会長

 

 チリの人口は1,500万人、うち貧困層が308万人で人口の20.8%、極貧状態の人が84万9千人となっている。国連統計によると最も貧富の差が激しい国の一つである。国民の10%の豊かな人が富の41%を占め、40%の貧しい人が僅か5%の富を分け合っている状態である。
 最低賃金は月額12万ペソ、ドル換算で240ドル位であり、一方、労働市場の分極化が進んでおり、女性は伝統的に奉仕するような仕事、つまりサービス産業、医療、教育などの分野で働いている。
 1990年代に入り民主主義が復活し、労働運動はその流れに貢献した。しかし、グローバル化の中で、現在の政府と労働運動との間には大きな見解の相違が生まれている。労働組合員は全国で66万9千人、組織率は17.3%である。組合費(分担金)は最低賃金の0.08%(米ドル換算で20セントほど)、納付は義務化されていなかったため、全組合員の3分の1しか納めていなかった。しかし法律が改正され、給料からの天引きになったので、組合財政も改善が期待されている。
 チリの労働運動の成果としては、労働運動の自由化、労働時間の週48時間から45時間への短縮、労働裁判所の設置、2003年からの失業保険制度の制定などをあげることができる。
 私の属する企業体はNPO組織で、組合は10年の歴史を持つ企業別労組であり、全従業員470名程度、組合員は385名、うち女性が90%を占めており、組合役員は5名でうち女性が2名である。企業体が政府から補助金を得ているため、公務員に準じて団体交渉権は有していない。したがって協約は締結でないので、労使の協議の結果は合意書という形で公式文書にしている。この合意書で確認した事項は、[1]組合事務所の確保、[2]一定の時間について組合活動を有給としたこと、[3]56県組織の組合の代表者会議に月一回有給で参加できること、[4]諸手続きのための休暇を通常2日を4日に拡大、有給休暇を5日プラスで20日に増加、[5]賃金が米ドル換算で600ドル以上の人は10%、600ドル未満の人は12%の引き上げを実現、最低賃金の400ドルへの引き上げなどの成果を実現した。
 これからの目標として、加盟者の拡大、外部組織との連携の強化、政府系の組合組織をまとめること、そしてパートタイムなど非正規雇用労働者をより多く労組に加盟させることなどの課題に取り組んでいきたい。