2003年 チリの労働事情

2003年2月19日 講演録

チリ中央統一労働組合(CUT)
フアン ナタナエル アギラ カスティージョ

教育省公務員労働組合 中央執行委員

 

 私は、教育省の国家公務員労働組合の出身です。その労働組合には3,500人のメンバーがいます。この労働組合は、全国公務員連盟に加盟しています。これはチリのすべての国家公務員を束ねている組織です。全国公務員連盟は、最近漸くチリ中央統一労働組合(CUT)に加盟しました。
 CUTは、私の知っている限りですが、前の3代の執行部から新しい組織・執行部に生まれ変わろうとしています。現在、CUTの組織改革で目指していることは、定期的に大会を開催し、その中で新たな組織としての方針を打ち出していこうというものです。

CUTの活動方針

 現在抱えている重要課題の中には、公務員労働改革の問題があります。この改革の中の活動として、団体交渉が認められるよう運動を展開し、7年間をかけた努力のおかげで、漸く団体交渉が認められることになりました。
 もう1つは社会保険制度の導入です。これは政府と労使の3者でずっと話し合われてきたテーマです。
 もう1つ、達成されたこととしては、年金制度の財源の多角化です。これは82年の軍事独裁政権のころから試みられてきたことなのですが、民間でも年金のサービスができるようになって、その財源が民間によってより運用されるようになりました。以前は賃金の25%が年金のための積立として徴収されていましたが、制度改革によって年金基金運用機関ができて、現在は賃金の12%が年金のための積立に回されています。ただ、この機関は、資金を運用して年金を払っていますので、金利が高いときはそれなりの利益を得ることができるのですが、金利の動向によって財源が増えたり減ったりする問題があります。
 この制度に関しては大きな進展が見られ、基金として4つ基金があります。労働者はこの4つの基金のうち、どれが自分にとって一番有利かを選べるようになりました。リスクの高い基金に資金を投入してよりよい利益を上げるか、それとも堅実型でいくか、そのミックスをするかという選び方ができるようになりました。以前は一本化されていたので、リスクをかぶるときは全員がそれをかぶらなくてはいけなかったということもあります。これは最善の策とは言えないかもしれませんが、選べるようになったということで1つの前進だと思っています。
 公務員は、全国で13万5,000人いますが、82年からの民主化で年金面、社会保障の面でも被害をこうむることになりました。以前は、公務員の社会保障制度というのは、全国基準化委員会というところが運用をしていましたが、年金基金運用機関という新しい制度に変わってから、その変化の中で、公務員にはかなり被害が出てしまいました。
 もう1つの問題は、チリとアメリカ、ヨーロッパ、そして韓国との間に結ばれている貿易自由化協定に、積極的に、そして現実的に参加することです。この貿易協定は実質的に調印を待つ段階ですが、CUTは、労働者がこれによって影響を受けないという、何かの後ろ盾をしっかり確立しなくてはいけないと思っています。特に、様々な製品が輸入されてきたときに、労働者が影響を受けないようにしたいと思っています。この自由貿易協定の直接的な影響は、まだ私たちの国には出てきていないのですが、経営者側が、それを機会に、今まで労働者が獲得してきた、さまざまな権利を侵害する危険性があります。その傾向が現在見えてきています。
 もう1つの課題は、労働者大学を設立することです。労働組合運動のリーダーが、社会的、経済的な知識をしっかり持てるようにしたいと考えています。国の現状に合った労働組合教育ができるようにすることを目的にしています。その前提として、2002年に労働運動学校がつくられました。今までに40人の労働運動リーダーが教育を受けていて、その中には私も含まれています。
 この労働運動学校の目的の1つは、今までにこの講座を受けている40人の労働運動リーダーが、国際的なレベルで開催されるセミナーに参加できるだけの知識を積めるようにすることです。このうち18人のメンバーが国の外に出ることができました。
 CUTがやろうとしていることは、全国大会の準備とか、重要な目的として、40人の労働教育を完了させること、そして先ほども説明したような、例えば年金の問題とか、今私たちが直面している問題をリーダーとして解決していくことです。