1999年 チリの労働事情

1999年10月20日 講演録

マルセロ・ルチアノ・フェルナンデス・サリナス
全国教育労働者組合会議 中央執行委員

 

チリの政策

 チリはネオ・リベラル政策をとっていますが、これは以前の独裁主義者ピノチェッタ政権がつくったもので、これがラテンアメリカのモデルになっています。このネオ・リベラル政策は環境も人権も無視したものであり、特に雇用政策に反映していて、チリにはまだ雇用保険ではなく失業保険ですが、プロドラッグと呼ばれる失業保険制度があります。
 現在の与党連合はコンセルタシオンと呼ばれ、中道左派の連合ですが、社会の要求を満たすための政策を前政権に引き続いて行っています。しかしながら、現在の政策は、私ども労働者が提案しているような政策や民主化の希望とはかけ離れた状態になっていて、現在は国のいろいろな機能が停滞しています。そして、90年以降、ベルリンの壁が崩壊してから、我が国チリの労働組合運動は、大変ゆっくりとしたスピードで進展しています。そして、私どものナショナルセンターは3ヶ月にわたって分裂状態にありました。これは一部には、政党の労働組合に対する政策によるものでもあります。

CUTの活動

 私どもの労働組合CUTは、現在再建のプロセスにあります。より統合された形で自治権を持って刷新した組合をつくろうとしています。ただし、労働者はまだ刷新ができておらず、労働関係なども大変隅っこに追いやられた状態になっているので、現在のグローバル化社会に対応できずにいます。そして、反労働組合的な活動が行われています。
 労働組合としてはまず、刷新された労使関係を目指していますが、計画は進んでいても、実際はなかなか進んでいない状態にあります。そして、労働改革も行うということで、国会に議案として提出されてはいますが、2回否決されています。
 労働法は、政府が変わるたびに内容が改正されています。これは労働法というよりも、むしろ経営者のための法律と言ったほうがいいと思います。ですから、これから将来の労使関係は、いかに労働組合がリアクションをとっていくか、そして政治がどのように変わるかによるものだと思われます。
 現在、我が国では外国からの投資が盛んになされていますし、チリ製品もいろいろと外国に輸出されています。そして、チリの企業もますます多国籍化してきています。また、マクロ経済のバランスはコントロールされていると思います。しかし、チリの富の分配ということになると、世界で下から2番目、3番目に分配のきちんとできていない国だと思います。
 労働力人口は、580万人です。その中で組織化可能な人口が380万人です。CUTの組合員は、大体40万8,000人ぐらいです。今、我が国の産業は中小企業化が起こっていて、80%は中小企業です。残りの20%は大企業ですが、そういうところでなければ、労働組合の組織化が行われません。また、組織化は、公共部門で盛んです。組合の組織率は、女性が21.6%、男性は78.6%になっています。
 最後に政党支持についてですが、労働組合運動としては、特に決まった政党は支持しておらず、したがって、労働組合はいろいろな政党を支持しています。つまり、民主的な政党であったら支持したいということで、現在では、民主的な与党連合の支持が盛んですが、労働組合の中での大体3分の2は中道左派の政党を支持すると言われています。そして、3分の1は共産党を支持すると言われています。現在の会長は共産党系の組織の人間であり、書記長は独立系の社会党系統の人です。