2016年 ブラジルの労働事情

2017年1月20日講演録

ブラジル中央統一労働組合(CUT)
ロドリゴ・ロドリゲス・コスタ・エ・リマ

ブラジリア州書記長

 

1.労働情勢の全体状況

 過去15年の失業率はかつてない高水準に達している。雇用も収入もなく、賃金総額は減少し、それに伴い消費も減退している。耐久財、非耐久財の両方に及ぶ需要の減少によって、既に高金利と激しく乱高下する為替レートに苛まれているそれらの財の生産企業は減産体制を取っている。製造産業におけるこの負の動きは資本財(機械設備)産業にも同様に打撃を与えている。工業生産高の下落とそこから生じた失業増の道をたどると商業及びサービス活動の減退がやって来る。

図1 合計失業率

出典:州データ分析システム(Seade)財団/労組間社会経済調査・統計所(DIEESE)間協約、労働雇用省(MTE)/労働者支援基金(FAT)、地域協約。雇用・失業調査(PED)

 加えて、近年、企業は極めて大きな負債を抱え、投資の拡大が困難なものもあれば、活動の継続に関係するほど、より重大な問題を抱えているものも多い。したがって、財政危機とその縮小に向けて採用された景気後退策のみならず、同程度に国の注意を要するものとして、非金融企業の金融危機も懸念される。最後に、2016年を通じて、おそらくは国内のより迅速なインフレ統制結果を得る目的で中央銀行が促進した動きとして、レアルの対ドルレートの引き上げが見られた。しかしながら、この動きによってブラジルの輸出企業あるいは輸入商品と競合しなければならない国内生産業者の暮らしはますます困難になっており、ついには、生産投資の意欲が損なわれている。
 2016年10月初旬に国際通貨基金(IMF)は中南米の景気予測を下方修正した。地域全体についてのIMFの予測は0.5%の縮小から0.6%の縮小に変更になったが、ブラジルに関する予測はより楽観的で3.8%の縮小から3.3%の縮小に変更された。これは地域全体に占めるブラジルの相対的な比重の高さに鑑みると残りの国々の予測の悪化を補ってもあまりある。例えば、南米南部共同市場(メルコスール)の重要なパートナーである隣国アルゼンチンについての予測は1%の縮小から1.7%の縮小へと変更された。

2. 労働組合が現在直面している課題

 ブラジルでは、新自由主義の企てを実行する目的でメディアと議会右派が結託して進めたクーデターにより、ジウマ・ルセーフ大統領の政治的権利が剥奪されたが、大統領は弾劾にあたる罪を犯していないと考える。
 これまでのところ、ブラジルのクーデター政権は既に保健、教育、その他の社会政策を今後20年間凍結する計画を提示し、年金の最低受給年齢を65歳とし、拠出期間を35年から50年に延長することを企てる社会保障改革法案の議会審議を開始するに至っている。
 債務利払いを優先させるために社会分野の予算をカットする政策を実行しているが、このモデルは富裕層にのみ有利に働き、貧困層には不利となる。景気の減速に伴い失業は膨らみ続けている。

3. 課題解決に向けた取り組み

 CUT及び社会運動は、これまでに我々が獲得してきた社会保障の権利への縛りを含む法案の阻止を試みて大規模な動員を行ってきた。国際分野では、とりわけ中南米諸国に関しては、労働者階級全体を強化する形で、互いに組合運動との協力の拡大に努力を尽くしてきた。それは、一つの国または地域だけで獲得された成果は将来的に他の国または地域への国際資本の逃避によって労働市場の破壊に転じる可能性があると確信しているからである。
 女性、とりわけ黒人女性の労働市場参入の拡大、ならびに参入条件の改善及び権利付与に努めてきた。この点で、労働市場における不平等を縮小し、性、人種、年齢、性的指向に関わりなく、全ての労働者に機会と権利を保障するよう努めてきた。
 黒人はブラジル人口の42%を占めるが、その平均賃金は非黒人を36.1%下回る。この国の指導的地位に就いているのは女性の9%、黒人のわずか1%に過ぎない。就業機会における不平等と肌の色及び性差を理由とする労働条件の格差は我々の取り組み課題において顕著な位置を占めてきた。
 市場の均衡を求める一つの形として、労働者の労働協約や協定にILO条約を挿入することが挙げられる。報酬の平等を扱うILO第100号条約と差別に関する第111号条約は、市場における性差と人種の平等を求めるための戦略となる。

4.その他

 ブラジルの労働市場への移民の参入についてはより慎重な姿勢で見守ってきた。ブラジルは近年、仕事を求める外国人にとって有望な港であり続けてきた。移民の数は年々増え、たいていの場合、不安定雇用での就労に至っている(時には奴隷に類似の条件のもと雇われる場合も含まれる)。
 ブラジルは組合活動を含み、外国人に何らの政治的な権利も与えていない南米唯一の国である。この労働力が奴隷に類似の条件に服する状態に対する戦いは増しているものの、移民を保護する他の政策も必要である。想定されているのは、労働条件に加え、住居、保健、社会的保護に関する政策、そしてこの脆弱な労働力を収奪する生産体系の撲滅である。

ブラジルのCUTについて

 ブラジル中央統一労働組合(CUT)は階級代表、自治、民主制の特徴を有する最大レベルのブラジルの大衆労働組合組織であり、労働者階級の即時及び歴史的な権益の擁護を公約している。
 平等と連帯の原則を基盤とし、より良い生活・労働条件、そして公正で民主的な社会を求めて、労働力及び非労働力、都市及び農村、官民両部門の労働者の団結、これらの人々を組合として代表すること、そしてその戦いを指揮することを目的としている。
 国内の全ての経済活動分野に存在するCUTは、ブラジル及び中南米最大、そして世界で第5位の中央労働組合組織として、3,806の加盟組織、784万7,077人の加入労働者、基礎構成単位における2,398万1,044人の労働者を集結している。
 CUTはその創立以来、ブラジル、中南米、そして世界の歴史に沿って、政治、経済、社会の舞台で起こってきた変化や覇権闘争に重要な影響を及ぼしてきた。民主的労働関係制度の提案において達成された前進及び2002年の一工員の共和国大統領選出は、労働者階級の権利の保障と拡大に向けたCUTの疲れを知らぬ戦いにおける活動の直接的な帰結とこの変化を力強く示す事例である。

2017年1月20日講演録

労働組合の力(FS)
ジョアン・ヴィルマー・デ・アンドレード・ペレイラ

ポルト・アレグレ商業従業員組合(SINDEC)安全衛生局長

 

1.労働情勢の全体状況

  2014年 2015年 2016年(予測)
実質GDP(%)
(データの出典)
0.1%
ブラジル地理統計院
(IBGE)
-3.8%
(IBGE)
-3.3%国際通貨基金
(IMF)
インフレ率(%)
(データの出典)
全国消費者物価指数(NPC): 23%
(給与調整用参照基準)
広範囲消費者物価指数(IPCA): 6.41%
(インフレ目標用政府公式指数)
(IBGE)
INPC: 11.28%
IPCA: 0.67%
IBGE
INPC: 8.08%
IPCA: 7.32%
中央銀行
最低賃金
(時給、日額または月額)
(データの出典)
時給3.29レアル
日額24.13レアル
月額724.00レアル
労組間社会経済調査・統計所
(DIEESE)
時給3.58レアル
日額26.26レアル
月額788.00レアル
(DIEESE)
時給4.00レアル
日額29.23レアル
月額880.00レアル
(DIEESE)
労働争議件数
(データの出典)
法定労働時間
(データの出典)
1日8時間
1988年連邦憲法
週44時間
月220時間
1日当たり時間外労働2時間/割増率-
割増率は、平日は報酬の50%、日祭休日は100%
統合労働法(CLT)第59条
休日/割増率
すべての被用者は、日曜及び会社の技術的な要請の範囲内、法定休日及び宗教上の休日に優先的に取得できる連続24時間の有給週休の権利を有する。有給週休法(法605/1949号)。休日(日・祭日またはカテゴリーに応じた休日)労働に対しては100%の割増賃金が支払われる。

*1レアル=36.4円(2017年2月20日現在)

インフォーマル性:

 世界的な問題であるが、より貧しい国の方が影響を受けている度合いは高い。経済協力開発機構(OECD)によれば、今日、世界には社会保障や労働契約なしに暮らしている労働者が労働力全体の6割に当たる18億人存在するとされる。中南米のインフォーマル労働は労働者の半数にあたるが、同機関によると、農業分野の就業者を含むとこの数はさらに増える。ブラジルでは経済成長及び契約のフォーマル化が進んでいるにもかかわらず、インフォーマル性の度合いは高いままである。ブラジル地理統計院(IBGE)によれば、この国のインフォーマル性は労働者の約50%に及んでいるとされる。数百万の人々が何らの種類の社会的保護もなく(統合労働法で保障された利益を得る機会が与えられず、社会保障制度への拠出を行わず、失業保険や勤務年限保障基金(FGTS)、13ヵ月目の給与と呼ばれる賞与、従業員の企業利益・褒賞参加(PLR)、恩給、年金、各種厚生保険の利用機会が与えられていない状態)、自立した自己採算労働者(自営業者)として、あるいは労働手帳への署名が行われない職業において、不安定で保護も安全も保障されない状態に日々直面している。「保護のない」状態は、社会保障法や労働法の適用に関するものだけでなく、労働者を代表する組合組織が指揮する団体交渉から導かれた保護に関するものも含む。

アウトソーシング:

 労働法制をさらに柔軟化し、コストを削減する目的で、現在国会で、あらゆる活動のアウトソーシングを許す法案(第4330号法案)が審議されている。業務を委託された労働者の労働条件は、アウトソーシングを通じた利潤最適化戦略をとり、不安定化に強く軸足を置いている。得られたデータは、業務を委託された労働者の報酬額はそうでない労働者より24.7%低いことを示している。その上、業務を委託された労働者の労働時間は長く、雇用関係の期間は短くなっている。労働災害と死亡災害はこの国のアウトソーシングのもう一つの悲惨な側面であり、最も有害なものかもしれない。毎年、業務を委託された労働者の多数の事故や死亡件数が記録されている。企業はその活動が労働者の脆弱性の高さを示すような状況においてさえ、防止措置に投資していない。

ブラジルの労働市場の状況:

 過去2年間の労働市場の悪化は景気後退の結果であり、失業の拡大、仕事の不安定化(低報酬、低質のインフォーマル雇用の増加)、労働者の平均実質所得及び所得総額の減少が生じている。

失業率と失業者数:

 ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2016年第1四半期にブラジルの失業率は10.9%、失業労働者数は1,110万人に達したとされる。今は難しい時であるが、この国の労働市場の未来は少なくとも短期的には一層懸念される。様々な国の労働市場の趨勢を観測している国際労働機関(ILO)は、2017年に新規に発生する世界全体の失業者の5人に1人がブラジル人になると予測している。
 労働手帳に署名を受けて法的に保護された雇用が、最も打撃を受けている。民間部門における雇用者数は2014年第4四半期から2016年第1四半期の間に急落し、フォーマル雇用者は190万人近く減少したと推定される。反対に、自営業者(従事者140万人増)や家事労働(24万人)のような、法律による保護の程度が低い職種の増加が見られる。
 最も打撃を受けた産業部門は工業であり、過去2年間の解雇者数は最も多い。この産業部門の就業者水準は2014年比で12.7%減となった。これは170万人の従事者数の減少に相当する。雇用者数が最も多い産業部門であるサービス業の従事者数は1.3%減となり、50万9,000人分のポストが失われた。2014年第4四半期から2016年第1四半期の間、農業従事者数は940万人で安定していた。2014年末から2016年第1四半期の同じ期間に、家事サービス業の労働者数は29万3,000人増加した。商業、自動車・自動二輪修理業の小部門の従事者数は2015年には比較的安定していたが、2016年に入ると従事者数は28万人減少した。土木工事業の従事者は2015年年央までに2014年第4四半期より64万人減少した。
 最も影響を受けた者:若者、女性、中等学歴労働者の失業が多くなっている。
 収入減:数年に及ぶ勤労者所得の伸びを経て、労働市場に影響を与えた経済・政治危機によりこの成長傾向は中断した。2014年第4四半期から2016年第1四半期の間に見られた就業者数の減少は勤労者所得総計に実質4.3%の下落をもたらした。そして、実質平均所得は2,014レアルから2.4%減少し、1,966レアルに下がった。
 労働者としての保護、社会保障を伴わない雇用、インフォーマル労働が成長:同じ期間に自営業者は6.5%増加した。この就業上の地位の特徴である、労働者としての保護が少ないだけでなく、自営業者の収入は5.5%減となったが、これは全ての職種の中で最大の下落幅である。

2.労働組合が現在直面している課題

 (商業はその労働力の顕著さ、世帯消費、国内総生産(GDP)構成内訳における比重や寄与率のいずれから見てもブラジル経済にとって非常に重要な産業部門である。三つの主要部分(小売業、卸売業、車両)で構成される商業は、国内及び国際的な大規模ネットワークから無数の家族経営の小規模・零細事業所までを含む産業部門であり、多くの労働者を必要とし、伝統的に労働力を吸収してきた。しかしながら、この産業部門の活力と勢いもこの活動の抱える様々な問題や課題を覆い隠すには至っていない。この産業部門は労働条件と労働関係における高度の柔軟性、高い転職率、インフォーマル性、そして長時間労働及び低報酬に服する労働者数の多さで知られている。

3.課題解決に向けた取り組み

 組合は近年、賃金、とりわけ最低賃金を引き上げる政策を追求しており、インフレを上回る調整を達成することによって給与の購買力を高めている。労働時間や協約全般の遵守、安全・健康条件において問題を有する職場の取りしまり、そして労働省と共同でのインフォーマル状態の取りしまりに向けた活発な活動を展開している。組合は加えて、週労働時間の44時間から40時間への短縮に向けたキャンペーンを中央労働組合組織と共に闘ってきた。高い労働移動率(商業においては、労働者全体の64%に達している)も立ち向かうべきもう一つの深刻な問題である。労働者にとっての失業は安定性の喪失を示す。一般的に言って、報酬は減り、職業訓練は危うくなり、家族の中・長期的な計画は損なわれ、生活の質と福祉に重要な変化が引き起こされる。組合は労働移動率の高さを非難してきた。この問題は様々なイニシアチブと多数の関与を必要とするが、組合は、国際労働機関(ILO)の第158号条約の批准、雇用安定と引換にしたこの産業の公課等の負担減、職場検査の増加、離職を阻止するための最低賃金の引き上げなどの、幾つかの指針を示してきた。

4.その他

 組合運動は経済的、社会的、政治的権利に向けた労働者の戦いを動員し、連結し、組織するために活動している。そのために、中央労働組合組織のブラジル中央統一労働組合(CUT)、労働組合の力、ブラジル一般労働組合(UGT)、ブラジル労働者中央組織(CTB)、新中央労働組合(NCST)、ブラジル中央労働組合(CSB)は7月26日に雇用と権利保障のための労働者全国大会を開催した。その機会に、失業対策、そして労働者を害することになる社会保障制度の変更及び権利の柔軟化を阻止する活動を闘争課題と定めるに至った。
 この失業情勢を転じさせるには、給与総額の増加(より給料が高い雇用の増加)、官民投資(経済基盤、社会基盤、生産基盤への投資)、均衡した形での輸出入力の拡大等を源泉とする需要に支えられた経済成長が必要である。したがって、優先課題は成長が再開され、雇用が創出されるためのマクロ経済政策を目指した組合の統一活動である。
 行政府及び立法府において、ブラジルにおける社会権の前進を担ってきた憲法の基本原則を変更する多数の措置が審議されている。上院ではアウトソーシングの規制が審議され、社会保障の問題も再び議題に復帰している。労働改革の問題も再び表面化している。組合運動は常に、団体交渉の強化、企業現場における団結権、実効的な争議権、紛争の迅速な解決、業務を委託された労働者の真の保護によって、労働関係の仕組みを完璧にするような変更、全ての労働者に社会保障の権利を広げ、保障するような変更を話し合う用意がある。目の前にあるのは非常に複雑な議題であり、大規模な議論と交渉プロセスを支える提案を行う、高い組合活動能力が要請されよう。しかし、常に記憶に留めておくに値することとして、本質的に組合の活動能力を決定するのは、意思の結集とイニシアチブの統合を伴い、共同活動を運営することができる、一体性の効果的な示威活動と結び付いた、具体的な動員の力であるという点である。決して忘れてはならないのは、逆境の中で我々を成長させるのは統一であるという点である。

2017年1月20日講演録

労働組合の力(FS)
レイラ・サントス

クリーニング業者労働組合サンタカタリーナ州支部委員長

 

1.労働情勢の全体状況

 主に労働雇用省(MTE)の音頭のもと、一連の公共政策を通じてより多くのより良い雇用の創出に向けた試みが増えてきているものの、その効果範囲は狭いように見え、効力の少なさが表されている。インフォーマル性はブラジル社会の顕著な特徴であり、失業率がますます上昇する現下の我が国の経済事情からは、失業者にとっての代案は最終的にはインフォーマル労働であると見られている。しかしインフォーマル労働は資本化率が低く、安価な財とサービスを提供する産業部門と結び付いている。業務の外部委託は企業にとって、従業員の雇用に伴うコストと諸税負担金の支払い額を減らし、倒産を免れる一つの代案と見られるようになってきている。業務の外部委託を生産再構築の主な戦略と見なす者は多い。業務の外部委託は、企業の利潤率の再構成を許すと同時に、労働力を制御する大きな力を資本家に提供するからである。しかしながら、ブラジルでは、とりわけ労働法制に依然として欠陥があり、まだ議論の余地が多い。

2.労働組合が現在直面している課題

 私が所属するクリーニング業における主たる課題は、労働者を団結させることである。労働者は大半が低学歴で「経営者の独裁」に弱く、労働条件に不満のある市民を政府が支えない国で働くのが困難な人々である。それは企業内の検査を行う監督官さえ存在しないからである。ブラジルの組合には企業を検査する自治権はなく、労働雇用省に依頼しなくてはならないが、得られる唯一の回答はそのような検査を行う人員がないというものである。このようにして私たちは連邦政府からの支持がないために手を縛られた状態となり、私たちの労働者が多くの場合非人間的な状態を過ごすのを座して見ているだけしかできないのである。

3.課題解決に向けた取り組み

 私たちの組合は、幾つかの労働条件の向上を試みて労働者及び企業オーナーとの会合を実現するよう最大限努力している。2014年の創立以来、労働協約として、ブラジル全土のクリーニング業労働者の職種における最低賃金の引き上げを毎年交渉し、我が国の統合労働法の幾つかの欠陥点の是正を最大限試みてきた。しかしながら私たちには資金も労働雇用省の支援もなく、統合労働法は緊急の改正が必要である。法改正によって初めて労働条件の悪化を食い止められるため、今は出口の見えない状況である。

4.その他

 我が国は緊急に統合労働法を見直すとともに、組合にもっと自治を与え、労働雇用省にもっと多くの監督官を雇う必要がある。

2017年1月20日講演録

ブラジル一般労働組合(UGT)
イタマール・バレット・ド・カルモ・シルヴァ

サンパウロ州警備労働組合 広報担当

 

1.労働情勢の全体状況

 ブラジルでは1980年代からアウトソーシングが存在している。これは世界中で見られる労働政策の一つである。
 業務を委託された労働者の職場における労働条件は委託する側の労働者のものよりも劣っているため、ブラジルは業務委託の労働関係を規制する必要がある。
 ブラジルではインフォーマル性と失業が増加傾向にあり、とりわけ女性、黒人、若者が影響を受けている。インフォーマル性は労働者を休暇、勤務年限保障基金(FGTS)、医療補助などの様々な保障から除外する。

2.労働組合が現在直面している課題

 ブラジルにおける政治危機、就業能力に関わる問題、労働関係の変更が私たちの最大の課題である。
 組合は、活動形態を変え、勤労者階級の願望に応える措置を講じられるよう、これらの課題を分析し、考察する必要がある。

3.課題解決に向けた取り組み

 サンパウロ州警備労働組合は、労働時間短縮などの労働分野の改善に賛成の立場にある。私たちの中央労働組合組織であるブラジル一般労働組合(UGT)と共に、解雇に対する管理を強める法が制定されるよう議員に働きかけた。
 より長い期間、労働者を企業に雇用し続ける姿勢は労働者にとっても企業にとっても良いことであるため、この方向を指し示す国際労働機関(ILO)の考え方に同調している。

4.その他

 労働時間短縮の問題を強調することが重要と考える。これは単に労働時間短縮の話だけでなく、労働者が家族と過ごす時間、自分の好きなことに費やす時間、あるいはさらに休息に用いる時間が増えることを意味するのである。
 労働者をこの種の生存のための牢獄から解き放ち、文化問題、価値、人生の意義などの領域に導き入れることが大切である。