2011年 ブラジルの労働事情

2011年12月9日 講演録

労働組合の力(FS) ゴイアス州
Mr. ホドリーゴ・アウヴェス・カルヴェーロ

マリンガ市商業関連従業員労働組合
Mr. レオシデス フォルナッザ

 

1. 当該国の労働情勢(全般)

 ブラジルでは失業率は毎月、ブラジル地理統計院(IBGE)が統括する月次雇用調査によって決定される。調査は、国内の6つの大都市圏(サンパウロ、リオデジャネイロ、ベロオリゾンチ、ポルトアレグレ、サルヴァドール、レシーフェ)の労働人口(PEA)を対象に毎月行なわれる。2002年1月以降、現行の方法で記録された失業率は、2004年4月(13.1%)であり、最低は2010年12月(5.3%)であった。失業率は2006年と2009年の2回、前年度に比べて上昇した。また、世界金融危機が原因で連続して上昇を記録した後は、失業率は低下している。2011年4月の失業率は6.4%となった。

2. 労働組合が現在直面している課題

 現在、まだ労働者から搾取を行なう企業がたくさんある。とりわけ児童労働は悲惨な実態である。別の問題として、労働のアウトソーシング化の問題がある。これは労働の質を下げると私たちは考えているため、FSとしては、アウトソーシング化には反対している。労働組合が直面している課題の1つは、組合運動に対する司法の介入である。ブラジルの場合、労働協約を結んだとき、労働組合は組合費を追加徴収している。しかし、この追加徴収は違法なのではないかというかたちで司法からの介入がある。

3. 課題解決に向けた取り組み

 ブラジルには現在7つのナショナルセンターがある。この7つのナショナルセンターの間で、力を合わせようとしている。力を合わせるということによって、反組合的な政策に対抗する声を上げていこうと考えている。例えば、ILOに対して提訴することや労働者を動員することによって、商業、金属、化学等といったさまざまな産別の力を発揮することも容易になると私は考えている。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 ブラジルのルーラ元大統領は組合運動の出身であり、同じ労働党から選出された、その後継者であるルセフ現大統領も各ナショナルセンターに対して、よい関係を維持していることは特筆すべきである。各ナショナルセンターとも、団結を念頭に活動しており、いずれも同じ旗の下に集っている。ただし、国会議員513名中、労働者を代表しているのは73名にすぎない。労働側議員の議席が少ない中、新しい法律を成立させることは難しい状況である。

5. 多国籍企業の進出状況と労使紛争

 多国籍企業の進出は、雇用を創出し発展を促す意味において肯定的なことではある。しかし、これらの企業が得る利益の大半は本社へ送金されてしまう。ブラジルでは、ジュセリーノ・クビシェッキ政権(1956-1961)以降、多国籍企業の進出が注目され始めた。現在ブラジルで操業する多国籍企業の例を、本社所在国ごとに挙げると、ブラジル三菱(日本)、IBM(米国)、フォルクスワーゲン(ドイツ)、フィアット(イタリア)、GM(米国)、トヨタ(日本)、ノキア(フィンランド)、ネスレ(スイス)、ソニー(日本)、シーメンス(ドイツ)、デル(米国)、プジョー(フランス)などである。また、ブラジルに本社があり、海外で操業する多国籍企業も存在する。例えば、ペトロブラス、ヴァーレ、サヂア、ペルヂガォン、ウェグ、アルパルガタス、ジェルダウなどである。多国籍企業においては、生産コストの低減を目的として、一つの製品を部分ごとに別々の国で製造することが普通である。ブラジルでは、こうした大企業が、労働力が安価な小都市へ移転している。生産内容は同じであるのに対して、労働者の賃金が低いことは組合にとっては大きな課題となっている。