2006年 ブラジルの労働事情

2006年2月15日 講演録

ブラジル労働総同盟(CGT)
Mr. Otton Da Costa MATA ROMA
オットン ダ コスタ マタ ロマ

リオデジャネイロ商業労働組合副会長兼CGT執行委員

 

 観光地であるリオデジャネイロ商業労働組合のメンバーでCGT執行委員を兼ねる立場で報告する。まず、我々は多国籍企業によるグローバル化に強く反対している。政府は多国籍企業の誘致を受け入れているが、国民の生活は改善していない。私たちは労働組合員や家族の生活を守るために教育を重視している。保育園から中等教育まで、組織化についての教育を行っている。私たちは、商業労働組合員の子供たちが学校に行くときには、市民権、労働組合の歴史、政治などを学び、自分たちが将来のブラジルを創って行くという意識を強く持っていけるよう、そして、労働市場の意味を学び、しっかりした認識を持って働けば、自分の職業で成功を手に入れることができることを教育している。
 ここで、ブラジルの労組と組合費の説明をする。ブラジルのナショナルセンターは法律的に認められているものではないが、事実としてはその存在が認められている。そこで800万人の労働者を代表しているということは、800万人のカテゴリーの中にその労働者がいるということで、全員が労働組合に加盟しているということではない。たとえばリオデジャネイロ市には38万人の商業労働者がいるが、組合加盟者は13万人である。しかし団体交渉では38万人の代表権を持っている。
 ブラジルには組合税という制度があり、組合員でなくてもすべて労働手帳にサインされている労働者たちは、年間で1日分の賃金が自動的に徴収される。その1日分のうちの60%は労組組織のベース(例:リオ商業労組)に行き活動費になる。残りの40%が州レベルとトップのところに行く。なお、この40のうちの5は連邦政府に納入されるのである。このように労働組合は、政府からの援助は一切受けていない。一方組合費は法律では最高で賃金の2%と決めてあるが、カタンドゥバ市商業労組(FS加盟)の例では大会で賃金の1%ときめており、このうちの80%が市のレベルに、20%が州と国のレベルにいく。組合員には組合が運営する福祉施策を通じて組合費が実質的に還元されるのである。
 私たちは、労働者の権利を守るために、多くの団体協約を締結している。これらの協約によって、労働者たちを経営者団体が収益のみを追求することから守るために活動している。今回ブラジルの友人たちとともに、そして招聘チームのメンバーと一緒に研修できたこと、日本の労使関係や文化について大いに学べることに深く感謝する。

ブラジル中央統一労組(CUT)
Ms. Marilene Rossoni
マリレネ ロッソーニ

食品労働組合組織局長兼CUT財政担当

 

 私は1989年に食肉加工流通工場の職に就き、すぐに労働組合に加盟し、96年に労組役員になった。日常活動の70%はCUTサンタカタリーナ州の役員として、30%は食品労働組合で働いている。ここでは活動の3つのテーマについて報告する。
 一つは繰り返し作業による障害への対策である。障害を訴えてくる人の数が多く、作業の交代制など工夫しているが、改善が遅れている。さらに、被害者たちの連絡委員会を作り対策を進めている。
 二つ目のテーマは、組合員教育である。今我々の組合には役員が24名いるが、その半分の人数を投入して教育に取り組んでいる。この教育により、組合員が職場で怪我や病気にならないように安全衛生活動を強化している。日本と違い産業別労組の取り組みとして職業安全衛生に積極的に取り組んでいる。
 三つ目は、組合員の権利を働く場所だけでなく、住んでいる所でも守る必要があり、組合員が多く住んでいる地域では市の行政・予算の運営にも話し合いの場を持って参加している。
 その他、農村からやってくる人たちの賃金への取り組みの必要性、さらに私自身新たな挑戦として、我々の持っている労働組合のモデルは、いまだ未熟なので、さらに検討しなおす必要性があると考えている。

働組合の力(FS)
Mr. Jose Carlos DA SIRUVA Longo
ジョゼ カルロス ダ シルバ ロンゴ

カタンドゥバ市商業労働組合会長兼FSサンパウロ執行委員

 

 私は靴の販売店員として15年間働いた後、人の役に立ちたいとの思いから労組に参加し、現在カタンドゥバ市商業労組の委員長を勤め、組合員の声を聞くため、日々職場を回っている。今日はそこでの日常的な活動について報告する。
労働組合は家庭の延長だとの考えを基に、レジャー、スポーツの提供、法律面のサポート、さらに医療、歯科などの支援も行っている。メンバーの死亡、子供の出生などへの経済的支援も行っている。
 使用者は往々にして労働者に過酷な労働を強い、ILOの国際基準や国の法律に違反することがある。週労働時間は44時間の規定であるが、現状では平均50 時間も働くことを強いられている。日曜日の労働も恒常的に行われ、労働基準局の検査なども少なく、訴えてもなかなか検査、監査などは行われないのが実態である。我々は社会的なキャンペーンを行い、休暇の必要性、食事手当、祝日出勤手当の倍増などの要求を行っているが、大店舗のスーパーマーケットなどは、そうした我々の要請を無視している。我々は最低週一回の日曜日は、労働者が家族と一緒に過ごせるようにすべきだと強く訴えている。
 ブラジルでは失業率も高まり、道端で物を売るといったインフォーマルセクターの労働者が増えているが、彼らは不法労働者扱いで、労働手帳にサインされることもないため労働組合員にもなれず、何の社会保障もなく働いている。これは大きな社会問題であり、労組も懸命に取り組んでいる。
 我々の組織形態は職種別産業別の形をとっており、これが理想的だと考えている。企業別労働組合ということも問われているが、われわれの組織する商業分野では、仮に企業別労組になってしまうと、労働者の権利を守ることは大変困難になると考えている。日本の組織率低下の問題に関連して参考にして貰えれば幸いである。