1999年ブラジルの労働事情

1999年10月20日 講演録

フランシスコ・サーレス・ガブリエウ・フェルナンデス
サンパウロ州金属労働者連盟 副委員長

 

サンパウロの状況

 私はブラジル、特にサンパウロに収入が集中している状態について説明します。ブラジル、サンパウロ州に起きている問題で、賃金の差が拡大していて、裕福な人と貧困の人たちの格差が多くなっているということがあります。
 ブラジル州政府の機関セアーデ財団と一緒に、ブラジルの労働組合のナショナルセンターがつくっている社会経済の調査機関のデータによると、ブラジルの1人当たり家族の収入はサンパウロ州で32%拡大したというデータが出ています。ただこの拡大というのは、94年から98年、ブラジルの大統領のフェルナンド・カルドゾの政権で計画されてきたプラノデアルが成立して、賃金を多くもらっている人たちの賃金がさらに拡大していったものです。
 つまり、フェルナンド・カルドゾの政権の中で起きたことは、一番低収入の人たちの賃金は10%しか上がっていないのに、多くもらっている人たちの賃金は37%拡大されだということです。そういった意味で、収入のピラミッドの一番下にいる人たちは賃金が10%上がり、ピラミッドの一番上の人たちはこれで45借上がったことになります。フェルナンド・カルドゾの政権の中で、インフレの育成をしたときには、一番底辺の人たちは0.1%賃金が上がり、ピラミッドの一番上の人たちの賃金は1.5%上がりました。社会経済のアナリストたちの話によると、この格差の原因で一番犬きいのは、就労の場がなくなってきたということです。経済の国際化によって、その格差も引き起こされたというふうにも言われています。
 賃金の拡大した人たちは、学歴のある専門知識の人たちです。その恩恵にあずかった人たちは、サービス産業の中で働いているコンサルタント、弁護士、マーケティングなどの分野で大企業で働いている人たちです。低層にいる人たちの職業を挙げると、警備員、掃除婦、運転手、ボーイなどです。
 1994年から1998年の傾向で見ることができるのは、金持ちと貧乏人の格差が広がってきて、社会経済の格差も大分広がってきたということです。ブラジルの最低賃金は月136レアルで、ドルに換算しますと69.5ドルです。この賃金を日本と比べてみると、日本の最低賃金は、東京では5,514円とききましたが、それに30日掛けると、15万円ぐらいになります。その違いを比べてみると、大変人きな格差があるとわかります。そういった意味合いで私たちは、これからもさらに裕福な資本があるところと、裕福な資本がないところがお互いに関連を持っていかなければならないと考えています。でなければ、私たちは全員死んでしまいます。

ダヴィ・ザイア
サンパウロ及び南マトグロッソ銀行員連盟 委員長

 

ブラジルの失業問題

 私たちの一番の問題は失業の問題だと思います。ここ10年間のブラジル経済の特徴は、生産の再構築を行うプロセスの中にあります。それと同時に、経済成長の衰退により、雇用が減少しています。 このようなプロセスにより失業が拡大しているにもかかわらず、まだ政府機関は十分な注意を払っていません。
 今年度上半期の失業率上昇の特徴を1つ挙げてみると、為替の問題によるものもあり、経済の不安から起こるということも考慮して考えなければいけないと思います。サンパウロ、ベロオリゾンテ、首都ブラジリア、ポルトアレグレ、レシフェ、サルバドルなどという大都市の地域で、雇用と失業の調査が行われています。1999年に関しては、意味ある高いレベルの指数が示されています。4月の失業率を挙げてみると、ベロオリゾンテ州では18.4%、首都ブラジリアで22.1%、ポルトアレグレ州で19.2%でした。大都市サンパウロでは、5月の失業率は20.3%です。人数としては、これはサンパウロ州のみですが、182万2,000人になります。
 全国レベルで比較してみると、就労労働人口が一番多く集中しているサンパウロ州の大都市で、失業の対象となっている多くの人たちは、家族を養う世帯主です。さらに、現在失業が深刻なのは彼らだけではなく、女性、40歳以上の失業者も数多くいて、既に職業的に経験のある人たちも失業の対象になっています。一方では、数年前より社会的状況は深刻化してきています。さらにもう一方で、生産のネットワークにも密接に関係していることですが、就労の場を多く削除されたことです。その意味を含めて、サンパウロ州都市部などの経済活動にも目を向けなければいけません。この12ヵ月を見比べてみると、産業分野での就労場所は7.4%減少しました。そのほかに、商業分野では6.6%、建設分野では24.4%減少しました。反対にサービス分野では、就労の場は5.6%広がりました。
 最後に、注意を払うべきことがもう一つあります。都市の上半期、季節的、周期的な浮き沈みで、今年度の終わりごろの月には消費が多くなり、経済活動が活性化するということがありますが、それにより、現在の失業率が低減するということは難しいでしょう。失業率が低減するためには、成長のリズムにのっとった経済を維持しなければなりません。

チアゴ・マウタ・フェルナンデス
ブラジル労働総同盟ミナスジェライス州 青年部長

 

ブラジルの経済とインフォーマルセクター

 現在のグローバル的な見通しから、ブラジルの経済情勢はほかの国と似ています。90年代の古い考え方、労働条件の改善要求は、既に流行おくれになってしまいました。今日の論点は、さらに大きな特徴があります。例えば、児童労働、女性の労働市場への進出、環境、社会の中でのバイオレンス、このようなさまざまな権利を巻き込んでいます。労働組合は、そのような分類に対しては再討論がされ、お互いの連結を組織的に行うことになります。このように、新たな問題点に対して、新たな結論が模索されています。あまりにも厳格な古い概念は横に置いて、現在の状態に応じるさらなるフレキシブルな提案を出そうとしています。例えば、国内のみならず国外の法人、又は政府とも組合との間に合意や協約を交わす試みをしています。JILAFとのこのような関係も一つの例だと思います。
 現在のブラジルの国民に打撃を与えているのは失業、または失業に関連した問題点です。ブラジルには1,000万人の失業者が実在しています。労働人口は約6,000万人です。労働人口以外の人口は1億人なので、全国の人口は1億6,000万人です。労働人口の中でも、労働者の約1,500万人の人たちは、使用者側に労働手帳に記入してもらえず、労働基準が適用されていません。不法な行為ですが、GSの調査によると、ブラジルではこのようなことが多く行われています。このように、多くの労働者は最悪な労働条件の中で働くか、あるいは反奴隷的な、インフォーマルな労働によってのみ収入源にありつくしかありません。1,200万人に及ぶインフォーマルセクターのブラジル人は、このようにして生き延びています。労働手帳に記入されてもされなくても、権利があってもなくても、臨時労働や道端での物売りなどを行って生き延びるしかありません。この路上での物売りの人たちは、社会に大きくの問題を投げかけています。それは、例えば税金は払いませんし、店で売っている価格より安く売りますが、ただ、品質に保証はなく、道を占領して都市の交通を妨げています。
 失業に関連してくるほかの問題としましては、児童労働、都市のバイオレンス、貧民街が都市化してきている、多く広がりつつある住宅問題などが挙げられます。このような問題点が、ブラジルの社会の日常を脅かし、解決策を出すために、多くのエネルギーが必要とされています。解決をするためには、社会全体の計画を持続的に実行する。そのためには政府、ナショナルセンター、または官・民、あるいは法人などの協力を必要としています。