2016年 アルゼンチンの労働事情

2017年1月20日 講演録

アルゼンチン労働組合同盟(CGT-RA)
ハビエル・マルセロ・アルムア

アルゼンチン建設労働組合中央選挙委員会書記

 

1.労働情勢の全体状況

*1アルゼンチンペソ=7.2円(2017年2月20日現在)
  2014年 2015年 2016年(見通し)
実質GDP(%)
(出典:INDEC 国家統計庁)
0.5%
(INDEC)
2.1%
(INDEC)
(2016年第二四半期の推定GDPは前年同期と比較し-3.4%の見込み。(INDEC)
物価上昇率(%) 物価上昇率は、国の市場価格の一般的な上昇を示す。これは、購入可能な物品および通貨の購買力に対するアルゼンチンペソの価値を示す。(年38%) (年26.9%) (年45%相当)
最低賃金
時間 日 月当り
月471ペソ
(USD 550ドル)
最低賃金(SMVM)は賃金審議会で決める。賃金審議会は労働省の管轄下にあり、主な経営者団体、CGT(労働組合同盟)、CTA(中央労働組合)が参加する。
月6,060ペソ
(USD 600ドル)
月8,060ペソ
(USD500ドル)
(最新の資料による)
労使紛争件数
出典: MTEySS(労働雇用社会保険省)、技術プログラミング労働調査次官室、労使関係調査局
(出典)
ストを伴った紛争:
1,336件
スト参加者:
1,458,238人
日数:11,057,860
ストを伴った紛争:
1,235件
スト参加者:
1,147,777人
日数:4,955,667
2016年の上半期、ストを伴った民間部門での紛争件数は、257件、スト参加者は約262,000人、合計454,000日。
2016年の上半期、公共部門でのストを伴った紛争は、426件、スト参加者約1,244,500人、合計4,949,800日。
失業率(%)
(出典:INDEC国家統計局)
(7.5%) (7.1%) (9.3%)
法定労働時間
(出典元)
時間/日
一日8時間
週48時間
法律20,744号
時間外割増率
土曜日13時までは50%増割、土曜日13時以降と祝日は100%割増。

 アルゼンチンにおける雇用の質を説明する指標の一つに、未登録雇用の問題がある。これは、企業は正式に設立された"フォーマル"企業であっても、雇用関係の申告がないために、労働法制や社会保障が適用されない企業での雇用のことを指す。経済活動人口の30%が未登録雇用と推定される。
 しかし、問題はこうした未登録雇用だけではない。経営者による雇用関係を避ける動きは増加傾向にあり、下請け、派遣、労働詐欺行為など構造的なものとなっている。
 他方、“フォーマル企業”での不安定雇用の影響を受け、“偽装個人事業者”も増えている。こうした労働者は、労働者の権利・団体交渉・労働組合運動の対象外である。

2. 労働組合が現在直面している課題

 アルゼンチン労働組合同盟(CGT-RA)は、まだ解決すべき多くの問題があると考える。例えば、貧困や疎外の撲滅、質の高い雇用の創出によるインフォーマル労働や失業の撲滅、児童労働等の撲滅、労働に対する租税の減税、保健制度の強化などである。

3.課題解決に向けた取り組み

 実際に施行可能な法案づくりと戦略の策定。例えば、登録労働促進・労働詐欺防止法(法律26940号)、55歳から年金を受け取ることのできる建設業早期退職法(法律26494号)などは、労働者の保護をめざした司法的な手段の例である。

  1. すべての利害関係者との対話。
  2. 国家ならびに国家の役割を強化するための活動。特に、労働監督に関する警察力の強化。
  3. 独自の技術グループの設立と維持。アルゼンチン労働組合同盟(CGT-RA)によるディーセントワーク学際グループ(EMTD)の設立。アルゼンチン労働組合同盟(CGT-RA)は労働組合のナショナルセンターとして世界で初めてディーセントワーク促進の組合組織を作り、ほかの国や地域に紹介している。
  4. 啓発キャンペーン
  5. 賃金審議会への積極的な参加。この審議会は労働雇用社会保険省内にあり、常に対話をめざし、労働者と経営者が多元的に参加し、労使関係に関するテーマ(所得の再配分、失業者への支援、真の尊厳ある雇用の創出へのコミットメント、未登録労働との闘いなど)を評価することを目的としている。
  6. 労働リスク法(LRT)合同委員会への積極的な参加。アルゼンチン労働組合同盟(CGT-RA)は2012年から2013年に参加することで、他の2分野からの合意を得て、賠償を伴う職業病のリストを拡大した。

4.その他

 2017年11月、アルゼンチンで第4回児童労働世界会議が開催されることは非常に重要である。ILOが2025年までにあらゆる形態の児童労働に終止符を打つこと(ターゲット8.7)を進めていることから、アルゼンチン政府は同会議の内容の拡充を決定し、児童労働や強制労働などを扱う。
 また、若者の質の高い雇用創出のため、社会的経済的インクルージョンの積極的な政策について審議することを支援する。
 この第4回児童労働世界会議では、社会アクターや政府は、三者の対話に基づいて連携し、児童労働や強制労働の防止に向けた具体的かつ効果的な活動に合意することが重要である。