2007年 アルゼンチンの労働事情

2007年2月7日 講演録

アルゼンチン労働総同盟(CGT)
マリア カリーナ トリヴィソッノ コッコーニ

国家公務員労働組合 機会均等局交渉チームメンバー兼CGT機会均等局書記

 

 まず過去数年間に経験した、劇的ともいえる雇用に関する大きな問題について報告する。最初は若者の雇用問題であり、もう一つは無届労働(インフォーマル労働)についてである。社会や政治、経済の不平等が依然として存在するために、世代や性別の差はあるが、いろいろな面で影響が出ている。われわれ労働組合運動としては、男女すべての労働者に平等な機会と処遇が与えられるような政策を促進し、適用させるように努力することを求められている。
 無届労働の実態であるが、これは主婦のような家庭で作業をしている人たちを除くと、約400万人を数え、全雇用者の45.8%を占めている。このうち女性が150万人、家事労働をしている人を加えると200万人を超える。明るい兆しも見えている。労働省が労働組合とともに努力した結果、2005年と06年に生まれた新規雇用のうち84%が届出をしている正規雇用であった。無届雇用はさまざまな分野に存在し、不安定な雇用で賃金が安く、社会的な恩恵も得られない、そこには女性が多いという特徴がある。
 若者の雇用も深刻になっている。問題解決のために努力しており、教育訓練を重視している。しかし、なかなか仕事にアクセスできないのが実態である。このため若者が気力を失い、トレーニングを受ける意欲もなくしている。特に社会的に不利益な状況にある貧しい若者たちはなかなか仕事が見つからず、仕事を得ても登録されないインフォーマルな仕事で、経営者からひどい処遇を受けることになる。そしてなかなか労働組合運動にも参加することが出来ないという問題がある。アルゼンチンでは、現在職のある成人1人に対し3人の職のない若者がいる。これは社会保険にも悪影響を与えており、経済全体は成長し危機を脱しているものの、若者たちに対しての就業機会がないというのが実態である。CGTをはじめ、いろいろな労働組合は、このような労働市場の中で影響を受けている人たちに対し、政府がきちんとした政策を打ち出すよう求めている。
 次に女性の均等問題について述べる。法的にはある程度の解決が出来ている。2002年に法律が制定され、女性の労働組合(役員)への参加率が30%以上でなければならないということになった。これにより、労働組合の中だけでなく、交渉する場での女性の構成率も30%になった。
 アルゼンチンの労働組合は企業別ではなく、産業別の組織であり、産別組合は90組織で、ナショナルセンターは一つである。日本のような労使協議制度はなく、多くの課題は産業別の団体交渉で取り上げられ解決に努める。2006年の賃上げ率は20%で、2007年は30%の引き上げを要求している。団体交渉では賃金のほか育児休暇とか、労働条件の改善、女性の雇用の機会均等、労働者の技能訓練など、いろいろな課題についての交渉を行っている。
 なお、公共部門は1番最後に団体交渉権を得たセクターであり、これは1992年に公務員にも団体交渉権を認めることが法律で承認された結果である。