2004年 パナマの労働事情

2004年6月30日 講演録

パナマ共和国労働組合連盟(CTRP)
ハビエル リカルド ホー ゴンザレス

パナマ全国商業労連 広報・報道担当書記兼CTRP青年委員

 

 私が所属するパナマ全国商業労連はパナマ労働組合連盟(CTRP)に加盟している組織です。全国商業労連はパナマのすべての県でCTRPの県レベルの組織の議長を務めており、CTRP内で一番大きな組織です。

パナマの労働運動

 パナマの労働運動は1880年以降に始まったと言われています。1880年代には大きな社会闘争があり、この時代はパナマ共和国の歴史と重なるところがあります。さまざま運動は太平洋と大西洋を結ぶ鉄道の建設とともに始まりました。ほかにも2つの歴史的な事業がありました。その1つは1886年にパナマ産のバナナの商業開発が始まったということです。もう一つは、20世紀の大規模な事業といってもいいパナマ運河の建設が、1880年にフランスによって始まったということです。パナマではこのように3つの大事業は大規模な外国資本によって行われたわけですが、国の指導者は労働組合運動を受け入れませんでした。労働組合運動には困難な時代があり、内外から政治的な圧力がかかり、労働組合を潰そうという動きがありました。労働組合はこうした圧力は普通のものだと考えています。現在ではパナマでは労働組合運動が根づいていると言っていいと思います。労働組合運動はどのような政権にとっても嫌がられる存在です。労働組合運動は、保守政権であっても、リベラルな政権、民主政権、軍事政権であっても、いつも毛虫のように嫌がられてきました。しかし、現在は、労働組合は毛虫としてではなく、パナマの国を強化して偉大な国にしていくことに貢献するときにあると思っています。

日常の活動

 全国商業労連の広報担当役員として、私の仕事には、6つの活動があります。まず、組合の活動や行事、集会、会議、その他組合が参加する活動について常に組合員に情報を提供することです。ほかにも組合内部の情報や、組合運動に関係し影響する外部の状況についても組合員に情報を提供します。2番目の活動として、組合に参加しているすべての企業の組合活動の内容がわかるように掲示板をつくり、そこに情報を掲示します。そして、新聞や口頭、または文書で組合の活動を正直にかつ適切に伝えます。私たちの組合が社会全体、組合全体に知れ渡るようにします。また広報部や担当の委員会を通じて年報を発行したり、組合活動を向上させ、擁護するための広報誌を発行します。新たなイベントを発表する場合にほかの担当書記からの支援が必要となるときには、ほかの担当書記と協力して作業をします。そのほかに組合活動とは関係しない活動や、国の法律で定めていない活動であっても、広報の担当書記として行うべき活動であればこういった活動を行っていきます。

自由貿易協定について

 CTRPは自由貿易協定に反対しています。理由は、自由貿易協定は農業従事者や牧畜業従事者に恩恵をもたらさないからです。米、ジャガイモ、レンズ豆、うずら豆、そのほかの農業製品がパナマに外国から入ってきますと、小規模または中規模な農家や農産物加工企業は倒産してしまいます。特に、アメリカから入ってくる農産物が問題です。例えば、アメリカから入ってくるジャガイモ1袋は税金を含めても5バルボア、つまり5ドルしかしないわけですが、パナマ産のジャガイモは1袋10ドルもします。つまり、パナマ産のジャガイモを売ることができなくなります。そうしますと失業を増やすことになってしまいます。そして、多国籍企業、例えばアメリカのような企業がパナマに入ってくるときは、アメリカの労働法を使ったり、アメリカの規則を採用したりします。そしてパナマ政府もこのようなことを提案しているわけです。このようなことをすると、パナマの労働者が獲得してきた労働法の成果、そして憲法を侵害することになります。

蔓延する汚職

 パナマには汚職の問題があります。現在の政府にもいろいろな汚職スキャンダルがあります。例えば、ハードドル・スキャンダルとか、HP1420スキャンダル、ハワードプロジェクト・スキャンダルといったものがあります。ハードドル問題というのは、大統領府の書記官が自分の冷蔵庫の中に5万ドルを隠していた事件です。ハードドル、つまり固いドルですね。冷蔵庫の中に隠してあってドルが固くなったので固いドルのスキャンダル、ハードドル・スキャンダルと呼ばれています。HP1420ですけれども、これはヘリコプターがメカニカルな問題でパナマ湾に墜落した事件にからむスキャンダルです。海の中に沈んでしまったヘリコプターを港湾局が回収しました。このヘリコプターには、大統領府の政治家や大臣などが乗っていました。ハワードプロジェクト・スキャンダルのハワードというのはアメリカが返還したパナマ運河近郊の地帯で、極めて広い面積を有しており、ここに自由貿易関係のプロジェクトをすすめようという計画があるわけです。ここを、アメリカが提案している自由貿易ゾーンにするというプロジェクトを実行しようということで、PRDという政党の政治家が6,000ドルのわいろを受け取りました。