2010年 ニカラグアの労働事情

2010年9月3日 講演録

ニカラグア全国民主労働組合統一会議(CUS)
レステル・アントニオ・カルバハル・アルタミラアーノ(Mr.Lester Antonio Carvajal Altamirano)

アルネコム社労働組合 労働問題担当書記

 

1.労働事情

 グローバル化が進展する中、IMFからの要求により国内法が整備・改定された。主なものを挙げると、国家公務員・行政法、地方公務員法、司法公務員法、派遣労働者法、財政公正法、労働争議訴訟法などである。
以上にあげる法律は、中米自由貿易協定(CAFTA)ならびにヨーロッパ自由貿易協定(ADA)に対応するものである。
 ニカラグアの公式な失業率は20%と言われているが、国民の貧困状態から実際には失業率は更に高いと予想される。また、労働人口の30%がインフォーマルセクターに属していると言われている。
 我が国の問題は社会保険資金が枯渇する一方で、高齢者に対する年金支出が増大していることにある。これはフォーマルなセクターの労働者が減ってきていることに呼応している。次に児童労働問題があり、児童労働根絶法が一応存在するが、それが実効を現していない。

2.直面している課題

 我々が直面している主な課題は、(1)組織内の団結を実現するための合意形成、(2)組合運動リーダー育成ならびにコンピューターの習得など組合員の人材育成、(3)法(労働法、労働基準法)改正をめざした司法への働きかけ、(4)公正で労働事情(労働法に関する専門的な知識・経験など)に精通した司法官の育成を求める司法への働きかけ、(5)外国人労働者の待遇改善などである。

3.課題解決に向けた取り組み

*米州労働組合連合の支援の下、組織の自己改革を実施する
*全国レベルで三者会議(委員会)への参画と協議の展開(例えば最低賃金委員会、保税関税地区会議、労働衛生委員会)
*全国レベルの企画・計画を目指した全国労働審議会への参画
*立法、司法への参画
*技術・法制度に関する研修
*組織内の団結
*雇用の安定化
*悪条件労働の根絶
*外国人労働者の待遇改善、外国人労働者に対する研修についての労組間ならびに国を超えた合意形成
*派遣労働者対策、派遣労働の改善にむけた行動
*団体交渉改善に向けた交渉
*社会保障改善に向けた交渉

4.ナショナルセンターと政府との関係

 我々は下記の各種委員会に参加している。また、組織内の自己改革を推し進め、政府の介入を排除するための取り組みを行っている。
*法に則った全国労働審議会への参加
*全国最低賃金委員会への参加
*労働衛生委員会への参加
*児童労働根絶委員会への参加
*HIV感染者治療委員会の形成
*組織の自己改革を通じ、政府による政党・組合の癒着を排除
*ILO条約第87・98号条約違反をILOに提訴
*政府寄りの労組代表者だけをILOに派遣する行為に反対

5.多国籍企業の状況

 ニカラグアの労働賃金が非常に安く、豊富に得られるため、多くの多国籍企業が進出している。これらの多国籍企業は、税金が免除される保税地区で操業している。
 多国籍企業の問題は労働組合を組織することが禁止、または阻止されていることにより、労働者の組織化、団体協約の提起などをめぐる争議が頻発している。