2002年 メキシコの労働事情

2002年7月3日 講演録

メキシコ労働組合連盟(CTM)
ヘスス グティエレス バルガス

自動車運転手関連労働組合 教育訓練担当書記

 

国内の状況

 メキシコの歴史は3つに分けることができます。最初は1521年からのスペインによる植民地(コロニアル)時代、次が1810年の独立以降、そして1910年のメキシコ革命から今日までです。
 メキシコで労働組合が多く存在する地域は、メキシコ市の周辺部と中心部です。それと西方のグアダラハラの周辺部、そしてアメリカとの国境近くのティファナです。ここにはマキラドーラという保税加工区があります。
 メキシコは経済が発展している地域と発展途上の地域に分けられます。産業は北部が盛んで、世界一の消費国であるアメリカに近いことが主な要因になっています。また、日本の企業もメキシコに進出しており、太平洋地域ですとか、バハ・カリフォルニア州、ソノラ州、シナロア州、グアダラハラ州などに進出しています。
 今年の5月の完全失業率は2.3%です。これは、労働人口に対する完全失業率です。これはメキシコを48地域に分けてモニターしたもので、特に都市部で12歳以上を対象に調査したものです。そして、産業別の労働者の比率で多い順にいうと、一番多いのが第1次産業、次が工業や電気、次が加工業、建設、商業、サービス、通信、輸送、政府、そしてアメリカ労働者です。これはメキシコ人で一時的にアメリカに出稼ぎに行く人たちを指しています。
 次にGDPです。産業別では、農牧漁業で2%減少していて、鉱業が4.7%増えています。電気、ガス、水は2%、サービス、金融、保険、不動産関係が4.6%、社会福祉関係が0.6%それぞれ増加しました。ほかの産業はほとんど下がっていて、一番大きいのが加工産業で5.6%下がっています。ホテル関係、レストラン、商業関係も下がっています。
 メキシコの最低賃金は地理的に3つに分けられます。加重平均が今39.74ペソ、つまりは1日に4ドル弱ということになります。去年から今年にかけては5.78%上がっています。最低賃金は、それぞれの企業と交渉して設定される企業内の賃金とは異なっています。
 次に、メキシコの政治状況ですが、70年間政権を担当していた政党からの政権交代が起こりました。現在の大統領が所属する政党は、国民行動党といって、保守の右派に属する政党です。国会の下院は、ほとんど3つの政党が同じ比率で議席を占めています。この3つの政党とは、PRI(制度的革命党、PAN )(国民行動党、PRD(革命民主党)です。)上院はPRIが第1党で、次にPAN、最後にPRDと続きます。
 そして行政府の間では、国営企業の民営化が検討されていて、特に国の基幹産業である電力、石油産業の民営化が行われることになっています。経済活動では、現在、民間の投資が主導しています。社会面では南部のチアパス州やゲレロ州の一部で大変暴力的な形での抗議運動が展開されています。
 CTMの大会で選出される役員の任期は6年です。大会に次いで議決機関として中央委員会があり、中央委員の任期は1年です。そして執行機関である中央執行委員会の任期は6年です。CTMの地方組織として各州レベルで連合体があり、その下にはリージョンの連合体があり、その下にそれぞれの企業内労働組合があります。これは分野ごとに成り立っています。それ以外にも産業別労働組合というものがあります。そして、CTMの審査機関は、会計監査審査委員会があります。これは組合メンバーに対して審査を行ったり罰則を設けたりする機関です。

CTMの活動方針

 労働者の権利と利益を守ることにあります。CTMの大会では、グローバル化に対しては、労働者が今までに獲得した権利が守られるという条件つきで、賛成することにしました。
 現在、連邦労働法の改正をめぐって、労働者、経営側、政府の三者審議会が形成されています。関連の機関にもこのプロセスに参加するように呼び掛けています。というのは、CTMが、この労働法改正に関して、政府と経営側との間に立つ仲介役としての役割を果たしているからです。グローバル化というのは、経済プロセスの中で、後戻りできないものです。つまり、グローバル化というのは、避けることのできないもので、このグローバル化の恩恵を得て競争力をつけたいと思っています。そのためにはグローバル化の外に出るのではなく、グローバル化を受け入れて、組合員の職業訓練に力を入れたいと思っています。したがって、政労使三者会議で、いい結論が出ることを望んでおり、もしここでいい結論が出ない場合には、メキシコ全土で動員をかけることになります。